「BOYS BE… ~young adult~」イタバシマサヒロ×玉越博幸×小沢一敬(スピードワゴン)座談会|いくつになってもキュンッ!としてたい 「BOYS BE…」に、大人の青春を描いた新シリーズが登場!

「BOYS BE…」はブルーハーツとちょっと似ている

1巻の帯には小沢が推薦コメントを寄せている。

──そんな「BOYS BE…」ファンの小沢さんが、新シリーズ「BOYS BE… ~young adult~」1巻帯には推薦コメントを寄せていらっしゃいます。

小沢 「いくつになってもBOYS BE…していたい」って書かせてもらいましたが、本当にそう思ってます。やっぱりキュンとしたいんですよ。40歳を過ぎたこの年になると、「ワーッ!」って叫び出したくなるような恋愛ってできないじゃないですか。中学生の頃ですけど、実際に夜中に女の子の家の前に行って「ワーッ!」って叫んだことがあるんですよ、俺。気持ちは昂ぶっているんだけど、なんて言ったらいいかわからなくて。で、誰か出てきそうになったから慌てて逃げるっていう。

イタバシ 結果だけ見ると、ピンポンダッシュのタチが悪いやつみたいですね(笑)。

小沢 でも、そういう気が狂いそうな恋愛をもう一度したいって思うんです。だから「BOYS BE…」って読んでて面白い。自分の代わりに、そういう恋愛をやってくれてるって感じるんです。でも、先生たちの前で失礼ですが、10代の頃は「BOYS BE…」が好きって言えませんでしたね。照れくさくて……。

イタバシ いえいえ、それが正しい読み方です(笑)。みんな友達の前では(同じく当時、週刊少年マガジンで連載されていた)「GTO」を読んでるって言っておいて、実はこっそり「BOYS BE…」を楽しみにしている。そういうポジションでしたから。

小沢 10代って、ツッパってなきゃいけないっていう空気があるでしょう? だから「BOYS BE…」を読んでるって言って「こいつラブコメ好きなんだ」って思われるのは恥ずかしかった。大人になって、ようやく堂々と言えるようになりました。てらいもなくまっすぐなことを言える主人公やヒロインが、当時の自分には眩しかったんですよね。俺、ブルーハーツも好きなんですけど、ちょっと「BOYS BE…」と似ていると思うんですよ。憧れを抱くようなまっすぐさがあって「俺の歌だ!」って感じるんです。

玉越 「俺の歌」ですか?

「BOYS BE… ~young adult~」第1話より。

小沢 俺のことを歌ってるって感じるんですよね。小説でも映画でもマンガでも「俺のことが書いてある!」って感じる作品が好きなんです。たとえばちょっと前の映画だと「永い言い訳」とか。浮気中に奥さんが死んじゃう物語で、俺は主人公とは仕事も違うし、境遇もまったく異なるんだけど、そこで描かれる気持ちはすごくわかって。だから「あ、これ俺の映画だ」って思えたんです。「BOYS BE…」も同じで、1話完結でいろんな話が載ってるでしょう? だから、1冊読むとどれかひとつは「俺の話だ!」って共感するエピソードがある。そこが素晴らしい。

イタバシ いやあ、そう思ってもらいたいと思って書いていたのでうれしいです。

「博幸は倒れても描けます!!」盲腸で入院しても休まず連載

小沢 今更ですが「BOYS BE…」って、毎週描いていたんですもんね。大変だったんじゃないですか?

イタバシ 玉越くんなんて倒れても描いてたもんね。連載中に盲腸になって入院したんですが、玉越君は麻酔が効かない体質で、もう悶え苦しんでたんです。それでさすがに休載だろうと思ってたんですが、お見舞いに来た玉越くんのお母さんが「うちの博幸は倒れても描けますからー!!」って、当時の担当編集さんに必死に訴えて(笑)。

玉越 連載が始まって2~3年くらいの頃ですね。

左から玉越博幸、イタバシマサヒロ、小沢一敬。

イタバシ さすがに担当さんも「お母さん、大丈夫です。1回休んだからって終わりなんてことはないですから」って焦っていました。でも結局、休まず描いたんだよね。担当さんが当時の編集長に「玉越さんが盲腸で倒れました。休ませてあげてください」っていったら、編集長は「うーん、わかりました。僕も鬼じゃない。今週は(半分の)16ページでいいです」って(笑)。

──すごい話ですね(笑)。

小沢 そもそも1話完結って難しくないですか。毎回オチまでたどり着かないといけないわけでしょう?

玉越 しかも「BOYS BE…」は必ずハッピーエンドですから。展開もある程度決まってくるんです。7ページくらいでキャラクター紹介とか前振りがあって、18ページくらいまでで告白を済ませ、残りの6ページでキスしたりとか。

「BOYS BE… ~young adult~」第1話より。

小沢 そこまで手の内を明かしちゃっていいんですか?

玉越 大丈夫ですよ(笑)。だから人の恋愛体験談とかを聞いていても「あ、これ1話で描くにはページ数が足りないな」とか思うようになりました(笑)。

小沢 僕らもいまだに漫才ライブをやってるんですが、やっぱりネタを書いてると「何ページだからだいたい何分」とか、「これくらいでこういう展開にした方がいい」とわかるようになってきました。

イタバシ やっぱりどんな世界でも、そういう感覚ってありますよね。

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シリーズ2500万部超! 王道恋愛マンガ「BOYS BE…」の後継作!! かつてクラーク博士は言った「Boys be ambitious!」。この言葉は決して少年だけに向けたものでなく、大人もまた然り。これは大志を見出せない、恋愛に不慣れな“大人に成り行く者達”へ贈る、青春物語──。

イタバシマサヒロ
イタバシマサヒロ
「BOYS BE…」の原作担当として、1991年にマンガ原作者デビュー。小説家としても活動し「七不思議学園の風来坊」「月が射す夏 コバヤシ少年の生活と冒険」「エーベルージュ 魔法を信じるかい?」などの作品を発表している。
玉越博幸(タマコシヒロユキ)
玉越博幸
1970年9月1日大阪生まれ。1991年に作画担当で連載開始したデビュー作「BOYS BE…」はヒットを記録し、現在も執筆が続く人気シリーズとなる。同作の原作を手がけるイタバシマサヒロとのタッグで描いた別作品にSFジュブナイル「A GIRLS」も存在する。
小沢一敬(オザワカズヒロ)
小沢一敬
1973年生まれ、愛知県出身。1998年に井戸田潤とともにお笑いコンビ・スピードワゴンを結成。2002年、翌2003年と2年連続で「M-1グランプリ」の決勝に進出し知名度を全国区に広げる。独特の言葉使いや世界観を打ち出したネタが人気を集め、バラエティ番組やドラマなど多方面で活躍中。