もう蟬丸大好き!

──曲は花と嵐のイメージで書いたとおっしゃいましたが、majikoさんがもっとも感情移入できたキャラクターは?

アニメ「7SEEDS」より、ナツの登場シーン。

majiko 感情移入となると、ナツですね。読者の目線を代表しているのがナツだと思うんですけど、それもあって「ナツがんばれ!」みたいな感じで読んでいました。

高橋 原作でも最初はナツの目線から始まるので、アニメでも視聴者のみなさんには、ナツの目線を通じてこの世界を見てもらおうという考えはありました。

majiko 花が嵐に宛てた手紙をナツが見つけて、いったんそれを隠しちゃうエピソードがあるじゃないですか……。あそこのシーンは胸がギュッとした。それまで意思表示が希薄だったナツが、初めて人間らしさを出してきたところですよね。

高橋 そうですね、最初の黒ナツが出たところ。

majiko 黒ナツ(笑)。ナツが手紙を隠したのを蟬丸が見つけて「おまえおもしろい人間になってきたな」って言うんだけど、まさにだな、と。「きたっ!」って拳を握っちゃいましたよ(笑)。今まであんなに縮こまっていたのに、あんなに意地汚いことができるようになったんだな、とうれしくなっちゃいました。

アニメ「7SEEDS」より、夏のBチームにいる男子・蟬丸の登場シーン。いじめっ子を自称し、おどおどしたナツをからかうような態度を取るが、一緒にサバイバル生活をする中で徐々に優しい一面を見せていく。チームのムードメーカー的な存在。

高橋 蟬丸がね、ちょっとナツをかばうんですよね。最初はけっこう悪そうな感じで登場してきたのに実はいい奴……っていうのも、少女マンガのお約束かもしれないですけど。

majiko もう蟬丸が好きすぎてヤバイ。育ちの影響のせいか、人間観察ができるんですよね。だからナツが手紙を隠したときも、怒るわけでもなく、「あれえ?」っておちゃらけた感じでナツに接するじゃないですか。それで嵐には「自分が隠した」みたいな嘘をついて! 優しさが垣間見えたときには「もう蟬丸大好き!」って思いましたよ!

高橋 めっちゃいい奴なんですよ、蟬丸。

majiko アニメではまだ触れていないところかもしれないんですけど、夏のAチームとBチームが次第に仲良くなっていくのも興味深く読みました。夏のAチームは容姿端麗で能力も優秀なのに対して、Bチームは落ちこぼれの集まりで、全然違うタイプの人たちなのに。夏Aが孤立しちゃったときには、夏Bとの交流によって夏Aが変わっていくところなんかは、世界の縮図が垣間見えたような感じがしました。

「龍宮編」は入れたいエピソードが多すぎて、ほかの話よりも長尺に

──アニメは12話までが一挙公開という形式で配信中です。majikoさんの思う見どころはどこでしょうか?

majiko

majiko 12話しかないのに好きなエピソードをたくさん詰め込んでくれて、夏Aチームも早々に登場してくれて本当にうれしかったんですけど、私はやっぱり「龍宮編」の話が特に好きです。マリアのエピソードはさっき言ったとおりですけど、龍宮にいる人たちを別のシェルターに移送するエピソードなんかは本当にえげつなくて、そういうところも全部入れてくれたのがうれしかったです。すみません、私さっきから「うれしい」しか言ってないですね。もう、ただのファン心理で(笑)。

高橋 「龍宮編」はアニメだと第7話に当たり、まるまる1話分を使って描いています。いろいろと原作の要素を削って圧縮はしたんですけど、あれも入れたいこれも入れたいと言っていたら収まらなくなって、実はほかの話よりも長尺になっています。普通TVシリーズのアニメーションって、定尺といって放映時間にあわせて本編映像の時間は限られているんですけど、この「龍宮編」だけは6~7分長く作っちゃって。

majiko そうなんですね! 気付きませんでした、それは胸熱ですよ!

高橋 Netflixには放送枠という時間的な拘束がないので、そういうことも可能です。とはいえ、その分だけスタッフには負担をかけることになってしまうんですが……。

アニメ「7SEEDS」より、龍宮編に登場する腹話術師・真亜久。人形のピートとの漫才でシェルターにこもる人たちを元気づける役割を与えられている。

majiko 人形のピートが腹話術師の真亜久に「もうしゃべらせてくれへんの?」って語りかけるところは、涙腺が崩壊しちゃいました。

高橋 内容的にはしんどい話ですが、我々も力を入れて作ったので、ぜひ注目してほしいところです。

──最後にこれからアニメを観る方々へのメッセージをお願いします。

高橋 原作には刺さるようなメッセージ性の強いセリフがたくさんあります。それを伝えようと思ったとき、作り手側が一歩引いたり恥ずかしがったりしたらダメだと思ったので、アニメでは直球勝負をしました。話の進め方として、あえてサラッと言ってもらったところもあるんですけど、刺さるセリフはできるだけ立たせています。そういったところにも注目してもらえたらと思います。

majiko 本当に「7SEEDS」は人生で3本の指に入るくらいに面白いマンガで、アニメも原作のキャラがしっかり動いていて、声優さんたちも素晴らしい演技をしてくれているので絶対に観るべき作品だと思っています。私の曲が流れるエンディングロールも含めて、ぜひ最後まで観てほしいです。

高橋 人類が死に絶えたあとの世界ではありますけど、こういう生き方とか生き様といったものは、今を生きている自分たちにも当てはまることだと思っています。SFは苦手とか先入観を持たずに観てもらえたらなと。

アニメ「7SEEDS」より、花の登場シーン。

majiko 個人的には、エンディングテーマを花と嵐が出会うイメージで作ったので、ぜひ続きを作ってもらって、2人が出会うところまでをアニメ化してもらいたいです!

高橋 そうなるようにがんばります(笑)。

アニメ「7SEEDS」

原作

田村由美「7SEEDS」(小学館「flowersフラワーコミックスα」刊)

スタッフ / キャスト

監督:高橋幸雄

シリーズ構成:待田堂子

キャラクターデザイン:佐藤陽子

アニメーション制作:GONZO

田村由美「7SEEDS」
アニメ「7SEEDS」

フラワーコミックスアルファ(小学館)より全35巻+外伝1巻が発売中。

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CD収録曲

DISC 1

  1. エミリーと15の約束[作詞・作曲:カンザキイオリ / 編曲:大西省吾]
  2. ワンダーランド[作詞・作曲:majiko / 編曲:majiko、木下哲]
  3. MONSTER PARTY[作詞・作曲:majiko / 編曲:majiko、木下哲、菅原一樹]
  4. 狂おしいほど僕には美しい[作詞:Hiro-a-key / 作詞・作曲:Michael Kaneko]
  5. パラノイア[作詞・作曲:majiko / 編曲:majiko、木下哲]
  6. ひび割れた世界[作詞・作曲:小倉しんこう / 編曲:横山裕章]
  7. レイトショー [作詞・作曲・編曲:みきとP]
  8. 春、恋桜。[作詞・作曲:majiko / 編曲:横山裕章]
  9. ミミズ [作詞・作曲:majiko / 編曲:majiko、木下哲]
  10. マッシュルーム[作詞:蝶々P / 作曲:majiko / 編曲:NAOTO]
  11. グラマー[作詞・作曲:haruka nakamura / 編曲:haruka nakamura、majiko、木下哲]
  12. WISH[作詞:majiko / 作曲・編曲:横山裕章]

DISC 2(初回限定盤Bのみ)

  1. morrow - Acoustic Version
  2. Learn to Fly - Acoustic Version
  3. ノクチルカの夜 - Acoustic Version
  4. ひび割れた世界 - Acoustic Version
  5. 光の種 - Acoustic Version
  6. Avenir - Acoustic Version
  7. 君に最後の口づけを - Acoustic Version
初回限定盤A DVD収録内容

[LIVE]

  • ミミズ
  • ロキ
  • アイロニ
  • AM
  • ひび割れた世界
  • 心做し
  • 命に嫌われている。
  • パラノイア
  • 世田谷ナイトサファリ
  • アマデウス
  • 狂おしいほど僕には美しい
  • WISH
  • HUSH

[MV]

  • ひび割れた世界
  • パラノイア
  • 狂おしいほど僕には美しい
  • 春、恋桜。
majiko(マジコ)
majiko
2010年に“歌ってみた”動画を初投稿し「まじ娘」名義で歌い手としての活動をスタートさせる。2015年6月には東京・東京キネマ倶楽部にて初のワンマンライブ「Contrast release party」を開催。2016年12月にmajikoへと名義を変更し、2017年2月にメジャーデビューミニアルバム「CLOUD 7」をポニーキャニオンより発表。2018年2月にはユニバーサル ミュージックに移籍し、新作ミニアルバム「AUBE」をリリース。2019年6月にメジャー1stフルアルバム「寂しい人が一番偉いんだ」を発売した。8月から全国8カ所にてアコースティックツアーを開催、12月15日には恵比寿LIQUIDROOMでの公演を控えている。
高橋幸雄(タカハシユキオ)
アニメ監督、演出家。主な監督作に「ラストエグザイル ‐銀翼のファム‐ Over The Wishes」「犬とハサミは使いよう」など。