音楽ナタリー Power Push - WANIMA

リスナー巻き込む急成長バンドが今歌う新旧曲

本気の人は「がんばれ」の言葉は必要ない

──最後の「TRACE」は新曲ですね。これはいつ頃できた曲ですか?

藤原 前作のツアー中です。ツアー中、オフ日はほとんどスタジオにこもっていて。で、シングルを出そうって決まってから作った曲です。

松本 いい曲なんですけど、長いんですよ。実は4分ちょっとあって。

藤原弘樹(Dr, Cho)

──確かにWANIMAにとっては長めですね。

松本 はい、短いの大好きなんですよ。今回全体的にちょっと長くなっちゃったから、お客さん大丈夫かな……。

藤原 「WANIMA変わった」って言われないかな(笑)。

──いや、そこまで長くないですよ。一般的には十分短いです。

松本 長いとムズムズしちゃうんですよ。あと短いほうがYouTubeとかの再生回数も伸びたりしないかなって(笑)。

──ははは(笑)。この曲はどういう思いで書いたんですか?

松本 僕らも含めてですが、戦ってる人に届けばいいなって思って作りました。本気で何かに悩んでたり苦しんでる人には「がんばれ」っていう言葉は必要ないと思って。だってがんばっとるんやから。俺らもそうですけど、強い気持ちはあるんですけど、日々いろんなことがあってくじけそうになることもあるじゃないですか。でもそういうのをなんとか乗り越えてがんばっていこう、がんばっていきたいっていう思いを歌ってます。

──なるほど。

松本 前作に収録されている「1106」はじいちゃんに向けて作った曲なんですけど、最初の頃はじいちゃんに作った歌って言わなかったんですよ。伝わるもんやと思って。でも、あれをじいちゃんに作った歌って言ってから「聴こえ方が変わった」っていう人が多かったんで、言いたいことはストレートに言うっていうのも大切なのかなって思ったりもして。

西田光真(G, Cho)

──先ほど「大丈夫だよ」って言わないで「大丈夫だよ」と思ってることを伝えたいと思って「終わりのはじまり」を作ったと言っていましたけど、「1106」でのリスナーの反応を受けてちょっと考え方が変わった?

松本 変わったわけではないですけど、最近はストレートに言わないと伝わらないのかなっていう気はしていて。まあ僕らも、そもそもストレートっちゃストレートなんですけど。

藤原 でもシーン全体で、ストレートな歌詞が当たり前みたいになってきてるところはあるよね。でも聴いた人もいろいろ考えられるようにはしておきたいですね。

松本 はい。なので、この曲は本当にいろいろ考えながら作りました。いろんな人に届くと思います。

──この曲はMVが公開されてますね(参照:WANIMA、霧にも負けず熱演「TRACE」MV)。

松本 MVは山の上で撮ったんですけど、機材を持って実際に登山したんですよ。片道1時間くらいの距離を自分たちで運んで、全然寝ないで朝から晩まで撮影して。「TRACE」という単語には「痕跡を残す」って意味があって、登山するっていうことは1歩1歩刻むっていうことなんで……つながっちゃいました。

音楽をやれてるのがうれしい

──9月からはまたレコ発ツアーが始まりますね。

松本 ありがたいことに、チケット先行予約の応募がすごいです。驚いてます。練習しないと(笑)。「ワンチャンワンチャン」って言ってる場合じゃないなと。でもワンチャンは狙わないと。やることやってワンチャン狙おうと思います(笑)。

──ははは(笑)。

WANIMA

松本 でもワンチャンって男女の夜のそういうの以外でも、ライブで「ダイブしようかな、いや、ダイブせんでおこうかな……いや、ダイブしよう!」って勇気を出すこととかも指してるんです。……っていうふうに最近言うようにしてます(笑)。「手挙げようかな……挙げよう!」みたいなのもワンチャンです。

──何に対しても勇気を振り絞るっていうことがチャンスをつかむきっかけになるということですね。

松本 はい。あ、今回、ツアーの会場が少し大きくなったんです。

藤原 それに応じて自分らも気合い入れて大きくなります!

松本 今回のツアー、九州から始まるんですよね。WANIMAって「東京都在住、熊本県出身WANIMAです」って言ってるんですけど、実はまだ九州での人気があんまりで……。

──そうなんですか。地元だし九州では応援ムードなのかと。

松本 違うんですよ。WANIMAは熊本では活動してなかったんで。でも最近ようやく九州の人に「あいつら熊本出身なんやね。応援しようか」みたいに思ってもらえるようになってきました。しかも初日の宮崎は、ライブで初めて行くんですよ。

──初めてのところがツアー1発目って不安じゃないですか?

藤原 いや、楽しみです。

松本 でも毎回初めての気がするんですよ。そもそもCD出せるっていうのがうれしいです。

藤原 今回のシングル、実は「Can Not Behaved!!」のツアー中にレコーディングしてたんです。

松本 はい、ツアーファイナル前に。ツアーが終わる前に、次のことが始まって。追われてるみたいな気持ちにもなったけど(笑)、ありがたいです。音楽やりに東京に来たんで、音楽をやれてるのがすごいうれしいです。この感覚に慣れんようにしようと思ってます。

WANIMA「Think That... Tour」
  • 2015年9月1日(火)宮崎県 SR BOX
  • 2015年9月2日(水)鹿児島県 SR HALL
  • 2015年9月5日(土)広島県 ナミキジャンクション
  • 2015年9月6日(日)岡山県 YEBISU YA PRO
  • 2015年9月10日(木)石川県 vanvan V4
  • 2015年9月11日(金)新潟県 GOLDEN PIGS RED STAGE
  • 2015年9月13日(日)宮城県 仙台MACANA
  • 2015年9月23日(水・祝)愛媛県 Wstudio RED
  • 2015年9月25日(金)香川県 高松MONSTER
  • 2015年9月26日(土)大阪府 Music Club JANUS
  • 2015年9月27日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2015年10月4日(日)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
WANIMA(ワニマ)
WANIMA

熊本出身の松本健太(Vo, B)、西田光真(G, Cho)を中心に2010年初夏に結成されたメロディックパンクバンド。2012年12月に同じく熊本出身の藤原弘樹(Dr, Cho)が加入し、現在の編成となる。Ken YokoyamaやHOTSQUALL、FOUR GET ME A NOTSなどさまざまなバンドのツアーに参加し、各地で知名度を高める。これまでに制作したデモ作品3枚は、現在までに手売りで4000枚を突破。2014年にPIZZA OF DEATHが、レーベルとして初めてマネジメント契約をしたことを発表。同年10月、同レーベルより1stミニアルバム「Can Not Behaved!!」をリリースした。「VIVA LA ROCK 2015」「京都大作戦2015 ~いっ祭 がっ祭 感じな祭!~」といった各地のフェスやイベントに多数出演し、各会場で軒並み入場規制がかかるほどの動員を集める中、8月には4曲入りCD「Think That...」を発表する。