MONGOL800×WANIMAインタビュー|両思いで影響を与えあう2組の魅力が詰まった「愛彌々」完成

MONGOL800とWANIMAのスプリットEP「愛彌々」(あいやいや)が6月22日にリリースされた。

かねてより親交があり、ライブやイベントで競演したことはあったが楽曲を共同制作したことはなかった2組。このたびのコラボレーションは、昨年オンエアされたラジオ番組でキヨサク(MONGOL800)とKENTA(WANIMA)が「いつかコラボレーションしよう」と言葉を交わしたことをきっかけに実現した。

「愛彌々」には2組が共同で制作した表題曲、MONGOL800がWANIMAに提供した「LAST PARADISE」、WANIMAがMONGOL800に提供した「てぃんがーら」、WANIMAによるMONGOL800の楽曲「rainbow」のカバー、MONGOL800によるWANIMAの楽曲「1106」のカバーの計5曲が収録されている。音楽ナタリーでは本作のリリースに際して2組にインタビュー。スプリットEPの制作エピソードやお互いの魅力を語り合ってもらった。

取材・文 / 西廣智一撮影 / 須田卓馬

いい意味でユルくて自然な関係

──MONGOL800とWANIMAの皆さんは2016年にライブで初めて競演されたんですよね。

FUJI(Dr, Cho / WANIMA) 2016年の「Are You Coming? Tour」ですよね(参照:WANIMA「この恩は音楽で返していく」万感のツアーファイナル)。

キヨサク(B, Vo / MONGOL800) そうか、6年前が初対バンか。

KENTA(Vo, B / WANIMA) 実はその前から交流はありました。サッシさん(MONGOL800の高里悟)とはWANIMAがデビューする前からの付き合い。音楽の話をするよりも、いろいろ身の回りのことをご相談する先輩でした。バンドの先輩といったら縦社会で厳しいイメージがありますけど、モンパチとは一切そういうことがなく、いい意味でも悪い意味でもユルくて自然な関係なんです。サッシさんとは釣りの話や書道の話もよくしていました。

キヨサク 最近はお互いのタイミングが合わないとなかなか会えないので、ツアーに呼んでもらったり、逆にモンパチのフェスに呼んだりして。WANIMAと沖縄の相性が抜群にいいので、そういうことも含めてね。そういえば、ビーチで一緒にバーベキューしたこともあったけど、あれはなんだっけ?

高里悟(Dr / MONGOL800) ライブで沖縄に来たんだよね?

FUJI そうです。僕たちが初めてツアーで沖縄に行ったときに、ライブが終わったあともちょっと残ったんです。モンパチがちょうどレコーディング中で、そこにお邪魔してバーベキューしました。

KENTA それも流れで企画していただいて。

キヨサク あんまり会ってないとかそういうことを忘れるぐらい、至って自然なお付き合いをさせていただいています(笑)。

MONGOL800、WANIMA。

KENTA 本当に自然です。どこに行ったってキヨサクさん、サッシさんは変わらないし。プライベートではサッシさんに釣りに連れていってもらったり、キヨサクさんにはごはんに連れていってもらったりと、ビジネスとかそういうのは一切なく。今回の「愛彌々」も去年の5月、僕がラジオ番組(J-WAVE「WOW MUSIC」)にキヨサクさんをご招待して、その中での「WANIMAとモンパチがコラボするんだったら、何が必要ですかね?」という何気ない質問から、ちょうど1年経ってこのスプリットEPが完成した。タイミング的にも今年は沖縄の返還50周年の年ですし、僕にとってこのスプリットは本当に大きな財産になりました。

キヨサク もちろん社交辞令で言ったつもりもなく、お互いやりたいという気持ちが根底にあったと思うし、いざ始まったらいろんなアイデアがKENTAからあふれ出して。始まってしまえばスピードに乗って、あっという間に完成したという感じかな。こんなペースで作れるんだと、俺らもびっくりですね(笑)。

FUJI 本当に早かったですよね。

キヨサク いい意味でアーティスト主導というか。連絡も直でやっているし、熱量が高いまま完成まで持っていけたのはよかったんじゃないですかね。なおかつ、スタジオに入ってみんなでワイワイやることで、バンドならではの初期衝動じゃないけど、1曲作るというときの瞬発力も出せたと思うし。

高里 WANIMAとモンパチは、スケジュールの動きが正反対なバンドなので、俺らが引っ張ってもらってる感じではあるんですけど(笑)。のんびりな俺らでもついていけて、あっという間にリリースまでたどり着けたし、面白かったですね。

KENTA 僕らの活動がうまくいかなくて、もがき苦しんでいたときに支えてくれたのがモンパチの音楽でした。そのときは僕らが引っ張ってもらっていたので、今ようやく引っ張ってあげられているなと(笑)。(高里に笑顔で肩にパンチをされて)痛っ!(笑) これ、ちゃんと“肩パン”って書いておいてください、ドスッて(笑)。

全員 (笑)。

──KO-SHINさんは2019年の「ROCK IN JAPAN FESTIVAL」で、モンパチのライブにサポートで参加していましたよね。

KO-SHIN(G, Cho / WANIMA) 僕は初めてギターでコピーしたのがモンパチの曲でした。もともと憧れていたからこそ人間性も合うところがあって。そういうことを踏まえると今回のスプリットEPのコラボに関しては実現できたのは本当に奇跡だなと思っています。

KENTA KO-SHINの幅を広げてくださったのはモンパチのお二人ですし、今回はKO-SHINが1人でどっしりとギターを弾けているのも、あのサポートがあったから。本当に感謝しかないです。

モンパチのよさもWANIMAのよさも入っている

──ここからは収録曲について伺っていきます。タイトルトラック「愛彌々」は2組が共演した1曲ですが、どのように制作を進めていったんですか?

KENTA 最初Aメロは僕で、サビ前はキヨサクさんと役割分担して作っていきましょうって話していたんですけど、僕の思いがあふれてしまって、「サッシさんだったらこう叩くよな、キヨサクさんならこう歌うよな」とイメージしながら1曲すべて作りできあがりました。それで、この思いを一度キヨサクさんとサッシさんに伝えよう、とデモをお送りしました。それから東京に集まっていただいて、みんなでセッションしながらブラッシュアップしていったんですが、その作業が本当に楽しかった。「ああ、サッシさんはやっぱりこう叩いた。キヨサクさんはこうやってベースを弾いた。やっぱりね」と、そうやって答え合わせするような1日でした。

キヨサク その「俺ならこうする、サッシだったらこうする」というイメージがあまりにも的確すぎて。モンパチの曲をカバーしてきたからわかるような細かいところだったり、俺だったらこういうラインで歌うだろうなというところまで気にして作ってもらっていたので、すんなり入れました。モンパチのよさもWANIMAのよさも入っていて、5人それぞれの顔が見えて聴きどころも多いし、それでいて曲の長さをまったく感じさせない。いろんな魅力が詰まっているんじゃないですかね。

高里 僕も入りやすい曲だったし、5人で集まったときはFUJIくんと2人でああだこうだやりながら進めていって。「モンパチとしてやるんだったら、ちょっと手数が多いかな?」と思うぐらいで、それは僕にとっては勉強にもなりました。この歳になっても勉強できることがあるって、なかなかないことじゃないですか。すごく楽しかったし、おかげさまでドラムが上手になって、少しは成長できたのかな。そういう意味でも、マジで引っ張ってもらいましたね。

FUJI そのお言葉、そっくりお返しします(笑)。サッシさんのタイム感って真似しようと思ってもなかなか真似できなかった部分で、WANIMAで曲を作っているときに「サッシさんみたいにリズムを後ろでとってほしい」という意見がよく出てくるくらいだったので、そういう部分を肌で感じられてすごく勉強になりました。

KENTA モンパチが出す独特なビート感やグルーヴというのがある。そのビート感が憧れの1つだったので、なんとかこのスプリットでFUJIくんがそれを盗めないかなと思っていたんですけど、実際に盗めそうなところでいうとドラムの椅子の背もたれですかね(笑)。あれ、絶対にFUJIくんが真似すると思ってるから。

FUJI (笑)。あ、サッシさんのスティックはいただきました。こっそりレコーディングのときに使おうと思ってます。

──楽しみながら、いろいろ影響を与え合っていたんですね。

高里 先輩後輩関係なく、僕らも学ぶことがいっぱいあるので。だって、全然違うバンドですからね。

FUJI さっきキヨサクさんが言った“バンド仲間”という感じですよね。

──KO-SHINさんはギターを1人で担当するということで、今回はチャレンジでもあったのかなと。

KO-SHIN モンパチらしい沖縄感や沖縄の色、WANIMAならではの熊本の感じというのを、相談しながら弾きました。なので、みんなで作ったギターサウンドという感じです。

キヨサク 彼は唯一、モンパチにも片足突っ込んでますから。

KENTA モンパチとして3人でステージに立っとるしね。

KO-SHIN 曲はずっとコピーさせてもらってきたんですけど、それだけじゃない感じを個人的に味わっているので、そこがこの曲に表現できるようにということは考えました。

KENTA  KO-SHINに「こうしたほうがいいよ」ってギターのアドバイスをすると、ことあるごとに「でも俺、ステージ一緒に立っとるからね」と強気な空気を出すから、俺も「お、おう……」しか言えんくなるし(笑)。

KO-SHIN そこだけちょっとマウントとれます(笑)。