音楽ナタリー PowerPush - 和楽器バンド

多彩な表現を可能にした8人の進化

和楽器バンドが2月25日にミュージックビデオ「戦-ikusa- / なでしこ桜」を2作目の“映像シングル”としてDVD / Blu-rayで発売する。

本作に収録される2つの表題曲はどちらもアニメ「戦国無双」のタイアップ曲。ゲームソフト「戦国無双4-Ⅱ」のテーマソングでもある「戦-ikusa-」は、ハードなロックサウンドに乗せてメンバーが殺陣を披露するミュージックビデオも注目を集めている。また「なでしこ桜」はバンドが初めて制作したバラード曲。この曲の映像はメンバーが足下に水を張ったシチュエーションで楽曲を演奏する幻想的な雰囲気の作品となっている。

今回ナタリーは前作「華火」に続いて2度目となるインタビューを実施。8人のメンバーから今作の楽曲および映像制作のエピソードや今後の活動に向けての意気込みなどを話してもらった。

取材・文 / 鵜飼亮次 撮影 / 近澤幸司

いさぎよさのある曲

──「戦-ikusa-」はアニメ「戦国無双」のオープニング曲、「なでしこ桜」はエンディング曲とそれぞれ曲調は違うんですが、どちらも和楽器バンドのロック色と和のテイストの融合が十分に表現された楽曲になっていますね。

鈴華ゆう子(Vo) はい。「戦国無双」のBGMのイメージは「和+ロック」だったので、私たち和楽器バンドと合ってるって感じていて。今回は「戦国無双」のアニメとゲームのタイアップのお話をいただいてから曲を作っているんですけど、どちらも自然と和楽器バンドらしい曲になりましたね。

──ではまず「戦-ikusa-」についてお話を伺っていきたいんですが、作曲を担当した亜沙さんはどういう曲を作ろうと考えていましたか?

亜沙(B) サビがわかりやすい、王道のビートロックが作りたかったんです。僕が普段曲を作るときは音符の数を多くするというか、小刻みに変わるメロディになるんですけど、今回はいさぎよく少なくして。サビはシンプルに「放ってー!」って歌うような曲にしました。

──勢いがシンプルに伝わるナンバーになってると思います。レコーディングはどのように?

亜沙 まずリズム隊……ドラムとベースと和太鼓から録っていって。そうするとだいたいそこで楽曲のどの部分でどの音を出せばいいかっていうのが見えてくるんです。それをきっかけにメンバーが各楽器の大まかな組み合わせを決めていくという流れですね。

いぶくろ聖志(箏) 自分がやってる楽器のカッコいいと思える音を入れていくっていう。

鈴華ゆう子(Vo)

鈴華 この作り方は以前と変わらず、いつも同じ感じで作っていますね。全員でアレンジの方向性を決めていくんです。

蜷川べに(津軽三味線) リズム隊を入れたあとは三味線と琴を入れるんですけど、リズムだけの状態のところに自分たちの音を入れていくので、私はほかのいろんな楽器が入ってきたときのすみ分けを考えながら演奏していきました。「戦-ikusa-」のロックな感じって実は三味線と合わせやすいので、今回弾くときは「いかにロックっぽい音にできるか」というのを常に考えていましたね。

亜沙 あと「戦-ikusa-」はギターを目立たせようって話にもなって、今回はかなりギターの音を重ねています。

町屋(G) あとから追加したものも合わせて最大で7本。

黒流(和太鼓) そんなに!? すっごい入れてますね(笑)。

直感で入れてみた

亜沙 あと和楽器って打ち込みにくいからデモの段階では尺八を入れられなかったんですけど、レコーディングでは神永さんがうまい具合にいい演奏を入れてくれました。

神永大輔(尺八)

神永大輔(尺八) 尺八の音を録るのは最後のほうだから、デモの段階では曲がどうなるのかわからないことが多いんです。だからスタジオで初めて楽曲を聴いた瞬間に感じるフィーリングがすごく重要で。「戦-ikusa-」のイントロのフレーズは、マイクチェックのときに適当に「とりあえず入れてみましょうか」って言われて、あらかじめ考えてきたものではなく最初のインスピレーションで出してみた音なんです。それがけっこういい感じで、そのあとも2回3回と録ったんですが、やっぱり最初の音が勢いとかも含めて一番合っていたので。

鈴華 なんとなくのイメージで大ちゃんみたいに神がかったものを生む人もいるし、アレンジを作りこんでくる人もいる。歌に関して言えば、私はどこにコブシを入れて和っぽくして、どこでロック色を強めるのかっていうところを考えながら決めました。サビまではロックっぽくして、サビからは言葉が少ないのでコブシを振るっていう歌い方をしました。

亜沙 「戦-ikusa-」のラスサビ前で、ほとんど音がない静かなところに「チャーン」って鈴が鳴る部分、いいよね。デモでは何も入れてなかった部分なのに。

黒流 ありがとう。でもミュージックビデオだとその部分は音を入れた本人が切られるシーンになってるっていう(笑)。

ミュージックビデオ「戦-ikusa- / なでしこ桜」2015年2月25日発売 / avex trax
「戦-ikusa- / なでしこ桜」 / Amazon.co.jp
通常盤 Blu-ray / 1950円 / AVXD-92219 / Amazon.co.jp
通常盤 DVD / 1620円 / AVBD-92218 / Amazon.co.jp
「戦-ikusa- / なでしこ桜」 / Amazon.co.jp
Amazon限定盤 Blu-ray / 1950円 / AVX1-92221 / Amazon.co.jp
Amazon限定盤 DVD / 1620円 / AVB1-92220 / Amazon.co.jp
「戦-ikusa- / なでしこ桜」 / Amazon.co.jp
スペシャル盤 [Blu-ray+グッズ] 3456円 / AVX1-92223 / mu-mo
スペシャル盤 [DVD+グッズ] 3132円 / AVB1-92222 / mu-mo
※角度により2つの画像が切り替わるチェンジングジャケット仕様
Blu-ray / DVD収録内容
  1. 戦-ikusa- -MUSIC VIDEO-
  2. なでしこ桜 -MUSIC VIDEO-
  3. 戦-ikusa- -MAKING-
  4. なでしこ桜 -MAKING-
  5. 星月夜 -2014.8.27 at 赤坂BLITZ- (Amazon限定盤のみ収録)
和楽器バンド(ワガッキバンド)

和楽器バンド

ボーカル、尺八、箏(琴)、津軽三味線、和太鼓、ギター、ベース、ドラムからなる8人組。個々にプロとしてアーティスト活動するメンバーが、ニコニコ動画にアップした“演奏してみた”動画などを通じて集合し、2014年4月にエイベックスからボーカロイド曲のカバー集「ボカロ三昧」をリリース。同年8月には初のオリジナル曲となるDVD / Blu-ray「華火」を発表。ライブの動員をコンスタントに増やし、2015年1月に東京・渋谷公会堂で行われたライブのチケットも即日完売となった。2月には2枚目のDVD / Blu-ray「戦-ikusa- / なでしこ桜」をリリース。5月には台湾でメジャーデビュー1周年記念ライブを行い、9月からはバンドにとって初となる国内全国ツアーを展開する。