ナタリー PowerPush - 土岐麻子

きらめくイマジネーション! 今を輝くために解き放て「乱反射ガール」

「和田くん」と「川口くん」

──それから、本作には小学校の同級生が2人も参加されてますよね(笑)。川口大輔さんはここ最近の土岐さんの作品にとってキーマンとも言える立ち位置だと思いますが、和田唱(TRICERATOPS)さんとのコラボは今回が初めて?

初めてですね。去年、私のライブでゲストで出てくれて、一緒に3曲デュエットしたんですよ。そのときに「HUMAN NATURE」(オリジナル:マイケル・ジャクソン)を一緒に歌ってすごく面白かったんで、今回のアルバムには絶対入れようと。

──オリジナル曲も同時にオファーしたんですか?

きっかけはもっと前です。2007年に出した「TALKIN'」は「プライベートで交流のある人たちとだけ作品を作りたい」と考えて作ったアルバムなんですけど、和田くんがその話を聞いて「俺、同級生なのになんでそこに呼ばれないんだ!」みたいなことを言ってたらしく(笑)、人づてに連絡が来たんですよ。それで「いや、同級生だけど私は連絡先も知らないし、ちゃんと話したこともないし(笑)。ああ、でも今度ぜひ」って言ったら「俺もう頭の中で鳴った! もうモチーフできたよ! 今歌ってもいい!?」って。「あ、じゃあ今度聴かせて」とか言ってその場は終わって(笑)、でも連絡先も知らないから結局そのままになってたんですよ。それで、去年のライブで共演したときに「まだそのときの曲って覚えてる?」って言ったら「頭の中に入ってる」って。

──それが「Perfect You」だったと。でもこの曲、皆さんの想像している「TRICERATOPSの和田唱が作る曲」とは全く違いますよね、きっと。

うん。女性的なおしゃれさがありますよね。

──絶対にロック路線で来ると思ったら、まさかのドおしゃれ。

このアレンジは、私の入る余地なんて3%くらいしかないぐらい、完璧なデモを作ってきてくれたんですよ。ほぼこのまんま。こちらから私の音楽に合わせてディレクションしたんじゃなくて、和田くんが自然に作り上げたのがもうこの形になってたんです。引き出しがすごくあるんですよ、あの人は。

──和田さん自身はこの曲についてどう言ってましたか?

「土岐さんの声だったらこんな感じでいいんじゃない? なんかおしゃれな感じで」みたいなこと言ってたけど(笑)、ちゃんと話してないからわかんないですねぇ。でもTRICERATOPSって、デビューからずーっと変わんないですよね。いい意味で不器用な人たちだってずっと思ってたんですけど、実際はいろんな引き出しがあって。しかもモノマネがすごく上手。レコーディング中に平井堅さんのモノマネとかするんですけど、そっくりで(笑)。イメージとしては「TRICERATOPSの和田唱はモノマネなんてできない」と思うでしょ? あの歌い方しかできなさそうなのに、モノマネすると完璧なんですよ。和田アキ子さんの声マネも(笑)。実はいろんなものを細かく見てるし、いろんな表現ができるから。TRICERATOPSは信念があってあの雰囲気を壊さずやり続けてるんだと思うんですよね。

──ちなみに、和田さんや川口さんと一緒に作業していて、ふと小学校の思い出がフラッシュバックするようなことはないですか?

和田くんに関しては全然……。

──えっ(笑)。「和田くん」「川口くん」とはどんな関係だったんですか?

彼らは確か同じクラスになったことがあって、お互いに「唱ちゃん」「川ちゃん」みたいな感じで呼び合ってたはず。で、私と川口くんも結構長いあいだ同じクラスで、私にしてはよく話してた男子。でも和田くんと私は同じクラスになったことがなくて、クラブは一緒だったんです。まあ、有名なご両親を持っているので、彼も有名人だったんですよ。音楽の世界に入ったあと、再会して声をかけたときは「あ、そうなんだ!」みたいな感じで、向こうは私のこと全然覚えてなかった。そのぐらいの関係だったから、印象はあるけど思い出はなくて。

──川口さんとはそれなりに仲良しだったんですか?

同じクラスだった時間が長かったので。でも一緒に遊んだりはそんなになかったなー。

同級生から土岐サウンドの要へ

──今の川口さんは、土岐作品の色付けにおいて重要な位置を占める作曲家/アレンジャーのひとりですけど、それが小学校の同級生というのは、不思議な縁ですよね。

不思議ですよね~。

──今回の川口さんのアレンジは、これまでにも増して冴えているように感じました。タイトル曲「乱反射ガール」なんて特に、シティポップの良いところを引き継ぎつつ、きっちり今のサウンドに落とし込んでいるような。

川口くんも結構挑戦してくれるんですよね。彼は王道ポップスを作る人というイメージが強いと思うんですけど、私の作品に対してはいつも挑戦をしてくれてるというか。

──CHEMISTRYや中島美嘉さんの作品で聴く川口さんのサウンドとは、また違う指向ですよね。

いい意味でたぶん結構ミーハーな心を持ってるんですよ。マニアックな音楽に対しても深いし、それでいてLADY GAGAが来日すれば聴きに行くし。“勉強”のつもりはないのかもしれないけど、いろんなものに目を光らせているので頼りになります。

ニューアルバム「乱反射ガール」 / 2010年5月26日発売 / rhythm zone

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CD収録曲
  1. Intro ~prism boy~
  2. 乱反射ガール
  3. 熱砂の女
  4. 薄紅のCITY
  5. 鎌倉
  6. feelin' you
  7. ALL YOU NEED IS LOVE
  8. QUIZ
  9. Sentimental
  10. HUMAN NATURE / sings with 和田 唱 from TRICERATOPS
  11. Light My Fire
  12. Perfect You
  13. City Lights Serenade
DVD収録内容
  • VALENTINE LIVE TOUR @ Billboard Live TOKYO 2010.02.07
    smilin' / Flamingo / ファンタジア
  • LIVE『LOVE SONGS』 @ 赤坂BLITZ 2009.07.07
    SUPERSTAR / How Beautiful
  • 「乱反射ガール」MUSIC VIDEO
  • RECORDING & MUSIC VIDEO OFF SHOT
ワンマンライブ
【2010・7・17 六本木 土岐麻子、熱する。土岐麻子ライブ2010 ミッドサマー・熱砂の女!!】

日時:7月17日(土) 開場 17:15 / 開演 18:00
会場:ラフォーレミュージアム六本木

土岐麻子(ときあさこ)

プロフィール写真

1976年東京生まれ。1997年にCymbalsのリードボーカルとして、インディーズから2枚のミニアルバムを発表する。1999年にはメジャーデビューを果たし、数々の名作を生み出すも、2004年1月のライブをもってバンドは惜しまれつつ解散。同年2月には実父にして日本屈指のサックス奏者・土岐英史との共同プロデュースで初のソロアルバム「STANDARDS ~土岐麻子ジャズを歌う~」を発表する。2007年11月にはrhythmzone移籍第1弾アルバム「TALKIN'」を発表。2008年にミニアルバム「Summerin'」、2009年にはオリジナルアルバム「TOUCH」と、コラボレーション楽曲やカバーなどをまとめたベストアルバム「VOICE ~WORKS BEST~」をリリースした。