Billboard Liveの要注目10公演を紹介 常連の佐野元春、土岐麻子、君島大空がその魅力を語る

2007年に東京と大阪で開業し、2020年には横浜にもオープンしたBillboard Live。これまで国内外の数々のレジェンドたちがそのステージに立ってきたが、この春以降も見逃せないライブが多数ラインナップされている。

本稿では4月以降に開催が予定されている注目の公演を紹介しつつ、まだBillboard Liveに行ったことがない人のために「Billboard Liveとはどんな場所なのか」を解説する。

また、本稿の後半では、常連アーティストにBillboard Liveの魅力を聞くアンケートを公開。佐野元春、土岐麻子、君島大空にこの会場での思い出などを回答してもらった。

文 / 村尾泰郎(P1)

世界的なトップアーティストの演奏を身近に楽しめる場所

ライブハウスより落ち着いていて、コンサートホールよりもカジュアル。食事をしたり、お酒を飲んだりしながら、くつろいだ環境でライブが楽しめるBillboard Liveは、じっくりと音楽を楽しみたい者にとって最高の場所だ。アメリカの歴史あるエンタテインメント情報誌「Billboard」が主催しているだけに、Billboard Liveからはエンタテインメントを大切にするアメリカの姿勢が伝わってくる。大人な空間なので、最初は少し敷居が高い気がしながらも、次第にその居心地のよさに惹かれていった音楽ファンも少なくないのではないだろうか。最近では出演するアーティストが多彩になり、Billboard Liveがますます身近に感じられてきたが、4月以降に出演が予定されている注目のアーティストを、いくつかピックアップしてみたいと思う。

東京・Billboard Live TOKYO

東京・Billboard Live TOKYO

大阪・Billboard Live OSAKA

大阪・Billboard Live OSAKA

神奈川・Billboard Live YOKOHAMA

神奈川・Billboard Live YOKOHAMA

まずは、現在のアメリカのジャズシーンを代表するピアニストのロバート・グラスパー。ジャズ、ヒップホップ、ソウルといったグルーヴミュージックを独自のアプローチで融合したサウンドが高く評されているグラスパーは、Experiment名義で発表した「ブラック・レディオ」(2012年)でピアニストとして初めてグラミー賞「Best R&B Album」部門を受賞。それ以降、グラミー賞を5度受賞してきたジャズ界のヒーローだ。今回の公演は、ピアノ、ベース、ドラム、DJという編成で、現在進行形のジャズを聴かせてくれるはず。

Robert Glasper

Robert Glasper
  • 2024年4月10日(水)・11日(木)神奈川県 Billboard Live YOKOHAMA
  • 2024年4月13日(土)大阪府 Billboard Live OSAKA
  • 2024年4月15日(月)~18日(木)東京都 Billboard Live TOKYO

さらにジャズ界のレジェンドも登場。1960年代から活動するギタリスト、ラリー・カールトンは70年代にフュージョンバンド・The Crusadersのメンバーとして活躍。フュージョンを代表するギタリストとして人気を集める一方で、ジョニ・ミッチェルやスティーリー・ダンなど、他ジャンルのアーティストの作品に参加してクロスオーバーな音楽性を発揮してきた才人だ。グラスパーやカールトンなど、トップアーティストの演奏を身近に楽しめるというのもBillboard Liveのいいところ。

Larry Carlton Salute Japan Tour ~The Crusaders - Steely Dan - Fourplay~

Larry Carlton
  • 2024年5月1日(水)・8日(水)神奈川県 Billboard Live YOKOHAMA
  • 2024年5月3日(金・祝)~6日(月・祝)東京都 Billboard Live TOKYO
  • 2024年5月9日(木)大阪府 Billboard Live OSAKA

ジャズ以外に目を向ければ、80’sポップスのスタンダード「Breakout」で知られるイギリスの男女デュオ、Swing Out Sisterは、リアルタイムで聴いていたリスナーにとってはうれしい再会だろう。ホーンを取り入れた彼らのきらびやかなブルーアイドソウルミュージックは、Billboard Liveの雰囲気にぴったり。また、意外なところでは、90年代にEnigmaとともにヒーリングミュージックブームを巻き起こしたDeep ForestがBillboard Liveに初登場。エレクトロニックミュージックに民族音楽を融合した幻想的なサウンドで人気を集めたDeep Forestは、デビュー作「Deep Forest」(1992年)でグラミー賞「Best World Music Album」を受賞。今年でデビュー30周年という節目を迎えた。今回は最新作「Burning」(2023年)を携えての来日で、初めてのBillboard Liveでどんなパフォーマンスを見せてくれるのか楽しみだ。

Swing Out Sister

Swing Out Sister
  • 2024年4月1日(月)~3日(水)東京都 Billboard Live TOKYO
  • 2024年4月5日(金)神奈川県 Billboard Live YOKOHAMA
  • 2024年4月8日(月)~9日(火)大阪府 Billboard Live OSAKA

DEEP FOREST - BURNING TOUR 2024 - 30th Anniversary

Deep Forest
  • 2024年4月8日(月)・9日(火)東京都 Billboard Live TOKYO

洗練されたシティポップのエッセンスを体感できる場所

一方、邦楽アーティストに目を向けると、近年のシティポップブームの中で若い世代のリスナーからも支持されるシンガーソングライター、南佳孝や尾崎亜美が出演する。南は昨年、デビュー50周年記念公演をBillboard Liveで開催したことも記憶に新しい。「モンロー・ウォーク」「スローなブギにしてくれ」など、ジャズやボサノバを吸収した歌は今聴いてもシャレている。また、1976年にデビューした尾崎は、77年に発表したシングル曲「マイ・ピュア・レディ」がヒットして一躍脚光を浴びた。洗練されたポップソングで人気を集めた尾崎は、自身の活動と並行してソングライターとしても活躍。杏里「オリビアを聴きながら」、松田聖子「天使のウィンク」など数々のヒット曲を手がけてきた。

南佳孝

南佳孝
  • 2024年4月4日(木)東京都 Billboard Live TOKYO
  • 2024年4月18日(木)大阪府 Billboard Live OSAKA
  • 2024年5月26日(日)神奈川県 Billboard Live YOKOHAMA

尾崎亜美 CONCERT 2024

尾崎亜美
  • 2024年4月8日(月)神奈川県 Billboard Live YOKOHAMA
  • 2024年4月11日(木)大阪府 Billboard Live OSAKA

そして、南や尾崎の都会的なポップセンスを今に受け継いでいるシンガーソングライター、土岐麻子もBillboard Liveに登場する。ライブを前にした4月24日に、彼女はソロデビュー20周年を記念したオールタイムベストアルバム「Peppermint Time ~20th Anniversary Best~」を発表。それだけに、ライブでは代表曲をたっぷりと聴かせてくれるのではないだろうか。彼女の都市生活の孤独や喜びを切り取ったポップソングは、Billboard Liveに映えることは間違いない。

土岐麻子

土岐麻子
  • 2024年5月2日(木)東京都 Billboard Live TOKYO
  • 2024年5月5日(日・祝)神奈川県 Billboard Live YOKOHAMA
  • 2024年5月7日(火)大阪府 Billboard Live OSAKA

注目すべき新たな才能に出会うことができる場所

Billboard Liveでは、こうしたベテラン勢に加えて注目すべき新人アーティストもピックアップしている。新たな才能に出会うこともできる。例えば、R&Bシンガーのジョイス・ライス。学生時代に動画サイトにあげたパフォーマンス映像が話題を呼んでデビューした彼女は、2021年に発表したデビューアルバム「Overgrown」がスマッシュヒットを記録した。90年代R&Bを思わせるサウンドと艶やかな歌声が注目を浴びた彼女は、アメリカ人の父親と日本人の母親の間に生まれた。同じく日系アーティストのUMIと日本語の楽曲「That's On You (Japanese Remix)」を発表するなど、自身のルーツである日本への愛着を持っているだけに、今回の公演は特別なものになるに違いない。

Joyce Wrice

Joyce Wrice
  • 2024年5月17日(金)神奈川県 Billboard Live YOKOHAMA
  • 2024年5月19日(日)東京都 Billboard Live TOKYO
  • 2024年5月21日(火)大阪府 Billboard Live OSAKA

また、Billboard Liveで公演する、と聞いて驚いたのがブルックリンを拠点に活動するタジャ・チークによるソロプロジェクト、ラ・レインだ。子供の頃からさまざまな楽器に親しんできたマルチプレイヤーのチーク。R&B、インディーロック、エレクトロ、サイケなど、多彩な音楽性をコラージュしたようなエクスペリメンタルでポップなサウンドは唯一無二。前作「Fatigue」(2021年)はイギリスの音楽誌「The Wire」が年間ベストアルバム1位に、アメリカの音楽サイト「Pitchfork」が年間ベストアルバム2位に選出されるなど、先鋭的な音楽メディアによって高く評価されてきた。そんな鬼才の初来日の舞台を用意したBillboard Liveに拍手を送りたい。

L'Rain

L'Rain
  • 2024年5月20日(月)・21日(火)東京都 Billboard Live TOKYO

そして、日本の音楽シーンから登場した新星、君島大空も要注目だ。昨年、1stアルバム「映帶する煙」、2ndアルバム「no public sounds」を続けてリリースしてリスナーを驚かせたが、ジャンルを自由に横断するオルタナティブな音楽性、そして緊張感に貫かれたスリリングなアンサンブルを聴かせるバンドサウンドで独自の世界を作り出している。さまざまな編成で聴かせるライブパフォーマスには定評があるアーティストだが、今回は彼のアルバムに参加している気鋭のドラマー、石若駿とのデュオでステージに挑む。

君島大空「外は春の形 vol.3」

君島大空
  • 2024年4月30日(火)東京都 Billboard Live TOKYO
  • 2024年5月2日(木)大阪府 Billboard Live OSAKA

以前、あるアーティストに取材をしたときのこと。Billboard Liveでコップや食器が立てる音を聞きながら演奏するとリラックスできる、という話をしていたのが印象的だった。きっと、Billboard Liveだからこそ生まれるアーティストと観客の関係がある。その特別な空気を、ぜひ味わってほしい。

2024年4月1日更新