ナタリー PowerPush - 手嶌葵

映画「コクリコ坂から」の世界をより身近に シングル&アルバム連続リリース

出演キャラクターの心情が描かれていて面白い

──アルバム収録曲の中では、宮沢賢治による詩を原案にされた「紺色のうねりが」という曲にもエネルギーをもらいました。

この歌詞は、駿さんがずっと考えていた言葉らしいんです。私はとても好きだった小学校の校歌を思い出しながら歌ったりしました。ちょっと楽しげに(笑)。

──そうなんですね。この曲は、作詞のクレジットで宮崎駿さんと吾朗さんの名前が並んでいてレアですよね。

あ、そうですね。確かにレアですよね。ふふふ(笑)。

──ジブリファン的にたまらない構図です。ちなみにアルバムの曲順は、映画の世界観そのままに進んでいくんですか?

そうですね。内容的に映画「コクリコ坂」の歌集なので、映画内容に沿ったような曲順にはなっています。出演キャラクターの心情が描かれていて面白いですよ。ちなみに、「エスケープ」と「赤い水底」という曲は、武部さんが手がけられた劇中サウンドトラックとして先に誕生してた曲なんです。それに、あとから吾朗監督のアイデアで歌詞を付けて私が歌うことになりました。劇中ではほかにも主題歌「さよならの夏 ~コクリコ坂から~」はもちろん、「朝ごはんの歌」「初恋の頃」「紺色のうねりが」が流れます。

──映画の企画と脚本は宮崎駿さんなんですよね?

はい。「コクリコ坂から」の原作マンガ(1980年に雑誌「なかよし」で連載/佐山哲郎・原作、高橋千鶴・作画)は、駿さんが、社員さんと一緒にどこかの別荘に旅行されたときに読んだ1冊だそうです。以前映画化された「耳をすませば」もその頃に読んでいた作品らしいですね。

──へー、そんな成り立ちがあったんですね。原作マンガの「コクリコ坂から」は読まれましたか?

はい。少女マンガなのですっごい目がキラキラしてました(笑)。私は、普段なかなかマンガを読まないんです。活字がとても好きなので。でも、この作品にはとてもさわやかなシーンやドキリとするシーン、それに素敵な情景があって、面白かったです。

純粋に娯楽として、少し気持ちが明るくなるものとして楽しんでほしい

──ジブリ好きとしては早く映画「コクリコ坂から」が観たいです。7月16日に全国公開ですよね。では、最後に今回このシングルやアルバムを手に取ってくれるリスナーの方へ、改めて聴きどころやメッセージをお願いします。

そうですね。この歌集を手にとってくださる方には、お願いではないですけど、ぜひ映画とあわせて聴いていただきたいなぁって思います。なぜなら、映画の中で言葉にならなかったキャラクターの気持ちが、歌詞の中でたくさん触れられているんですね。この言葉から想像で広がるイメージが、映画では「あぁ、こんなふうになってるんだ」と楽しんでいただけると思うので。

──それは素敵な楽しみ方かもしれませんね。

あと、小さいお子様がいるご家庭は、「朝ごはんの歌」を覚えて歌ってほしいですね。年頃の娘さんだったり息子さんがいらっしゃるご家族には「初恋の頃」と「旗」かな。ちょっと難しい年頃を迎えた気持ちを、すっきりさせる音楽だと思います。ぜひ、ご家族で聴いていただいて、なんだろうなぁ、愛みたいな……。あったかい気持ちでひとつになれるような……。ちょっとでも幸せな気分になっていただければうれしいなぁなんて思います。

──震災後というのもありますけど、家族や友達を大切にしたい気持ちって日に日に大きくなりますよね。今回の手嶌さんの音楽やジブリ映画は、そんな気持ちに見事にシンクロしそうです。

誰かを思うあったかい気持ちだったり、切なくなってしまう気持ちを、さわやかに楽しんでいただける作品だと思います。純粋に娯楽として、少し気持ちが明るくなる映画や音楽として楽しんでほしいです。よろしくお願いします!

ニューシングル「さよならの夏 ~コクリコ坂から~」 / 2011年6月1日発売 / 1000円(税込) / ヤマハミュージックコミュニケーションズ / YCCW-30026

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CD収録曲
  1. さよならの夏~コクリコ坂から~
  2. 朝ごはんの歌
  3. 初恋の頃
  4. さよならの夏~コクリコ坂から~ (オリジナル・カラオケ)

ニューアルバム スタジオジブリ・プロデュース「コクリコ坂から歌集」 / 2011年7月6日発売 / 2400円(税込) / ヤマハミュージックコミュニケーションズ YCCW-10156

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CD収録曲
  1. さよならの夏~コクリコ坂から~
  2. エスケープ
  3. 朝ごはんの歌
  4. 春の風
  5. 懐かしい街
  6. 並木道 帰り道
  7. 初恋の頃(ALBUMバージョン)
  8. 赤い水底
  9. 紺色のうねりが
  10. 愛をこめて。海
  11. さよならの夏~コクリコ坂から~(主題歌 別バージョン)
手嶌葵

アーティスト写真

1987年、福岡県生まれの女性シンガー。2003年と2004年に出身地の福岡県で行われた「TEENS' MUSIC FESTIVAL」協賛のイベント「DIVA」に出場し、そのたぐいまれな歌声で観客を魅了した。その頃彼女が歌ったベット・ミドラーのカバー「The Rose」のデモを耳にした宮崎吾朗監督と鈴木敏夫・スタジオジブリプロデューサーが、2006年公開の映画「ゲド戦記」の主題歌への起用を決定。さらに劇中ヒロイン・テルーの声優も担当し、華々しいデビューを飾った。

2007年2月には2ndアルバム「春の歌集」をリリースし、ライブ活動を開始。並行して精力的な制作活動も続け、オリジナル曲のみならず洋楽カバーアルバムなども発表している。透明感あふれる歌声と豊かな表現力で、多くのファンを獲得。2011年6月には、スタジオジブリとの2度目のタッグとなる映画「コクリコ坂から」の主題歌「さよならの夏~コクリコ坂から~」を、映画公開直前の7月にはスタジオジブリ・プロデュースのアルバム「コクリコ坂から歌集」を発表する。