音楽ナタリー PowerPush - 田村ゆかり
4曲入りシングルで見せるゆかりんの“素”
田村ゆかりの通算25枚目となるシングル「あのね Love me Do」が完成した。バリエーションに富んだ4曲のオリジナルソングには、明るくキュートな“ゆかりん”とはまた違った等身大の表情も見え隠れする。2014年を締めくくる本作で彼女は何を伝えたかったのか。インタビューでその本質に迫った。
取材・文 / 臼杵成晃
ゆかりん(ゆかたん)の2014年
──前回のインタビュー(参照:田村ゆかり「秘密の扉から会いにきて」インタビュー)で最後におっしゃっていたネガティブな発言が、ファンの間でけっこう波紋を呼んでいたようで。すごく心配されてる方が多かったみたいで。
えーっ! いつものことですよ。今日も同じようなことしか言えませんよ(笑)。
──それを聞いたあとでは伺いにくいですけど……間もなく今年も終わりということで、2014年はどんな1年でしたか?
特に変わったこともない平凡な毎日を過ごしてました(笑)。何も成し遂げてないもんなー。ルーチンですよルーチン。
──夏には神楽坂ゆかさんの初めての単独コンサートがありましたよね(参照:昭和アイドル神楽坂ゆか、ついに単独コンサート実現)。
神楽坂さん……は私の活動なのかというと、まあ私なんですけど(笑)、楽しかったですね。ライブにはやっぱりゆかりんのファンが来るから、ちょっと盛り上がった曲をやんなきゃみたいな、ちょっと日和った部分もあって(笑)。時代感をモロに昭和にせず、今回は少しだけ現代に寄せました。ゆかたんは私の中では「時代を自由に行き来するアイドル」という設定で。でもゆかたんは「ゆかりんだったら絶対にこうしなくちゃいけない」みたいなものがないから、けっこう自由度が高くて。あと完全台本というのも面白かったですね。
──完全台本?
たまにアドリブは入れましたけど全部決められたセリフ通りで、その場でしゃべってる風にやるみたいな。ステージの上ではずっと演じてる状態だったのが、新鮮で楽しかったです。
──神楽坂さんは本人名義でやれないことを実験的に楽しめる、新しい武器となりつつあるのでしょうか。
そこまで強いものではないけど、結果的にそういう位置になっているかもしれないですね。
なかなか決められなかった表題曲
──新作「あのね Love me Do」は2014年を締めくくるシングルであり、資料には「記念すべき25枚目のシングル」とあります。
もうね、こうやって書くことがないから書きたがるんですよ! 特にそんな節目に思い入れもなく、まあいっぱい出したなーとは思いましたけど。
──前作「秘密の扉から会いにきて」はテレビアニメ「のうりん」のオープニングテーマということで、内容的にアニメに少し寄り添った作品でしたが、今作はノンタイアップでバラエティに富んだ4曲が収められています。この4曲はどのようにして選んだんですか?
ひさしぶりのシングルだし、盛り上がる感じがいいけどどうしようかなあというところで、ずっと表題曲は保留のままだったんですよ。ほかの3曲が先にパッパッパッと決まって。「エキセントリック・ラヴァー」を表題曲にしようかなとも思ったんですけど……これも日和りまして(笑)。映像を2曲撮ることは決まっていたので、じゃあ別に表題曲を作ろうと。
──結果的に表題曲となった「あのね Love me Do」はこれ以上ない表題曲感というか、どこをどう切り取っても申し分ない、150%の「田村ゆかりの表題曲」だなと思いました。歌詞もストレートなラブソングで。
めっちゃ時間かかりました。歌詞は物語調の、マンガの世界みたいなラブソングじゃなく、もう少し自分に近いものにしたかったんです。それで松井五郎さんに、こーんな長文の手紙を送って。
──PVも、ライブで恒例の「バーチャルデート」みたいな作りですけど、基本的には楽曲の世界観に合ったラブリーな内容で。
最後に大きいオチがありますけど。結局デートの練習でしたっていう(笑)。一見まともにラブリーなものに見えていたら成功です。これもすごく苦労したんですよ。監督さんのラフ案に「これは違う、これも違う」といっぱい意見を出させてもらって、結果こういう形になりました。最後のオチはその場で考えて「1人でやってたら面白くない?」って(笑)。これを入れずにストレートなものにもできるからって監督さんには言われてたんですけど、結局入れちゃいました。
──ジャケットもすごくラブリーですよね。
このウエディングドレス、初めは着る予定じゃなくて、壁にかけておくだけのつもりだったんです。この布のフワフワした部分だけ使いたくて。なのに当日「着てみようか」という話になって、着てみたらすごくかわいかったので「これで撮ろうか」ってその場で。急にメイン扱いに昇格っていう(笑)。
- ニューシングル「あのね Love me Do」2014年12月24日発売 / KING RECORDS
- 初回限定盤 [CD+DVD] 2160円 / KICM-91563 / Amazon.co.jp
- 通常盤 [CD] 1404円 / KICM-1563 / Amazon.co.jp
CD収録曲
- あのね Love me Do
- エキセントリック・ラヴァー
- まだ好きでいさせて
- you
初回限定盤DVD収録内容
- あのね Love me Do(MUSIC VIDEO)
- エキセントリック・ラヴァー(MUSIC VIDEO)
田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2015 Winter *Lantana in the Moonlight*
- 2015年2月14日(土)東京都 日本武道館
OPEN 16:00 / START 17:30 - 2015年2月15日(日)東京都 日本武道館
OPEN 15:00 / START 16:30
料金:7800円(全席指定・3歳以上有料)
※ニューシングル「あのね Love me Do」にライブチケットプレミア先行抽選シリアルナンバー封入。
田村ゆかり(タムラユカリ)
2月27日生まれ、福岡出身の声優アーティスト。1997年にCDデビューを果たし、声優および歌手としての活動を始める。いずれも精力的な活動で着実に評価を集め、2008年には声優として3人目となる日本武道館公演を行った。2014年12月には通算25枚目のシングル「あのね Love me Do」をリリース。2015年2月には東京・日本武道館での2DAYSライブ「田村ゆかり LOVE ♡ LIVE 2015 Winter *Lantana in the Moonlight*」を行う。