アルバム「mitaina」完成記念 映像作家・島田大介と対談
前作から1年1カ月を経て、たむらぱんのニューアルバム「mitaina」がリリースされた。イギリスのパンクバンド・SNUFFとの異色のコラボを果たした「フォーカス」、斎藤ネコがストリングスアレンジを手がけた「白い息」など、あらゆる要素を取り込んでポップに昇華させた、たむらぱんの新境地がこのアルバムには詰まっている。
今回はアルバムに収録されている「しんぱい」「白い息」のビデオクリップを制作した島田大介との対談を実施。曲だけでなく、アートワークやPVにもこだわり抜くたむらぱんが作品に込めた思いと、独特の言語感覚に注目してほしい。
取材・文 / 田島太陽 撮影 / 五十嵐絢也
──おふたりはいつもどのようにしてPVの制作を進めているんですか?
たむらぱん まずは曲のコンセプトからお話させてもらいます。表に見えてもいい部分と、露骨には出さないけど私が込めたかった思いやニュアンスも含めていろいろと。大切にしたい部分はそれぞれの曲にあるので、それを生かしながら楽しめるものにしていただきたいなと。島田さんには理解してもらっている印象があるので、すごくやりやすいです。私が勝手に思ってるだけかもしれないけど。
島田大介 ありがたいですね。でも僕は正直……、これ言っても平気かな? 最初は全く意味がわからなかったんです。暗号を投げかけられているような気分で(笑)。
たむらぱん えー!(笑)
島田 この外見だし、もっとふわふわした人かと思ってたんですよ。でも実はすごい人で。
──たむらぱんさんから暗号的なイメージを受け取って、それからどうしたんですか?
島田 投げられた暗号の中にはわかる単語もあったので、それを投げ返してみてちょっとずつ探っていった感じですね。「あ、これでいいのか」みたいな繰り返し。今までいろんなアーティストとお仕事をさせていただいたけど、多分一番独創的ですよ。でも彼女が伝えたいことや見ているところはなんとなく理解できたので、そこをわかり合えれば大きな問題にはならないかなと。
たむらぱん そうそう、私の頭の中にある全てを正確になんて伝えられないんですよね。でも完成したPVが私の理想とズレていないことが島田さんのすごいところなんです。アルバムもそうだけど、作り方や完成までの道程は人それぞれ違うのに、でき上がるといい作品になっているから面白いんですよね。
島田 初めてお仕事させてもらった「バンブー」のときは、「竹を食べたい」って言われたんです。「えっ!?」って思いました(笑)。
たむらぱん でもちゃんと実現していただいたのでありがたいです。あの竹のケーキ、ばっちりでしたもん。
──島田さんは、他のアーティストのPVはどういった流れで制作しているんですか?
島田 どなたと組むときも大きくは変わらないですね。楽曲を聴いて、アーティストとコミュニケーションを取って、落としどころを探るという流れです。特に、アーティストが何を伝えたいかを共有して一番大事にするようにしています。それがブレてしまうと全く違うものになってしまうし、逆に言えばそこさえ間違えなければどんな映像にしても大きく外れることもないと思うんです。あとはリスナー代表の気分で、最初に聴かせてもらった感想は率直に伝えていますね。
──たむらぱんさんの中では、依頼する前からPVのイメージはあるんですか?
たむらぱん なんとなく、色とか、質感とか、夜か朝かとか。首都高じゃなくて第三京浜みたいな。
──第三京浜? 島田さんはそれでわかるんですか?
島田 んー(笑)。
たむらぱん 疾走感の具合がね。
島田 あ、なるほど。
たむらぱん 気取ってないっていうのかな。料金も高くないとか。そういうイメージはもちろんあります。でも1から10まで私の世界で固めたいとは思っていなくて、希望だけ伝えて細かい決めごとはしないですね。それでどんな作品が生まれるかに期待している部分もあって。
作詞・作曲・アレンジはもちろん、ジャケットやWEBサイトのアートワークまで手掛けるマルチアーティスト・田村歩美のソロプロジェクト。2007年からMyspaceにおいて自ら楽曲プロモーションを開始し、日本初の「Myspace発メジャーデビューアーティスト」として、2008年4月に1stアルバム「ブタベスト」をリリースする。 その後多くのライブ活動を経て、2009年6月に多くのCMやTV番組のタイアップ曲を含む2ndアルバム「ノウニウノウン」、2010年12月に3rdアルバム「ナクナイ」、2012年1月に4thアルバム「mitaina」をリリース。また、松平健の「マツケンカレー」や、アイドルグループbump.yの「ともだち」などへの詞や曲の提供、さらにロッテ「Fit's」CM曲の歌唱など、多岐にわたる活動でその才能を発揮している。