音楽も広告も「こうしたい」という思いを大切に

──お話を伺っていると、2人のコラボレーションは理想的ですよね。吉田さんはいろいろなタイプのアーティストやバンドの作品を手がけていらっしゃいますが、仕事をする上で「ここだけは気をつけている」ということはありますか？

吉田ユニ　広告の仕事の場合もそうなんですけど「目的を見失わないように」とは思ってますね。仕事を進めていく中でいろんな意見が入ってきて、結果的に中途半端になってしまうことがあって。だから「こうしたいんだけど」って言われたときも、どうしてそうしたいのかを聞くようにしてますね。そうすれば「だったら、こうしたほうがいいんじゃないですか？」って提案もできるので。

──音楽の現場でも同じことが言えるのかも。

たむらぱん　そうですね。もちろん自分の好きなことをやってるんだけど、自分以外のところに届けるためには、周りの意見も絶対に大事なんです。でも周りの意見が必要なときとそうじゃないときがあると思うし「そもそも、何をしたかったんだっけ？」ってなっちゃうのは怖いですよね。意見を取り入れて「こういうものができちゃいました」って言えば、責任が軽くなってラクかもしれない。でもそれはそのときだけのことで、長い目で見たらちゃんと自分で残していかないといけないなって。そういうことって、ここ最近特に思ってますね。

──大事なことだと思います。今回のコラボレーションみたいに、創造性を自由にぶつけ合う作品がもっともっと増えていけば、いろいろ変わってくると思うんですよね。特に最近って、CMにしても何にしても、シリアスなメッセージを投げかけるものだけが目立つ気がするので。

たむらぱん　そういう状況って、思いやりから生まれてくるものだし、それ自体はいいことだと思うんです。ただ、それが発展して「気にさわる」みたいな方向になりがちというか。その結果、面白さが減ってるのかもしれないですよね。そのバランスはすごく難しい。

吉田ユニ　そうですね。たぶん広告ってそういうことに敏感だと思うので。今までどおりにはいかないかもしれないけど、でも「今までどおりに」にやっていきたいですね。

たむらぱん　今回の出来事で、絶対心の中に何かが残ったと思うんですよ。だから以前と同じことをやっても、何かが違ったりはすると思う。それを「前のほうが良かった」っていうのではないポジティブさを持てたらいいですね。

同世代だしジェネレーションギャップはない

──この先も2人のコラボレーション作品が楽しみですね。

吉田ユニ　そうですね。

たむらぱん　機会があったら、ぜひ。

──雰囲気もすごく似てるし「面白い」って思えるものも近いんじゃないですか？

たむらぱん　そうだとうれしいんですけど。同世代っていうのもあるかもしれないですね。やっぱり見てきたものが似てるというか、ジェネレーションギャップはないので。

吉田ユニ　刺激になりますね。同世代の女性でこうやって活躍されてる方とお仕事するのは。

たむらぱん　「同じ世代の人が活躍してるんだな」って漠然と思ってるのと、今回みたいに直にやりとりするのは全然違いますからね。私は女性クリエイターの方とご一緒すること自体初めてだったし。すごく楽しかったです。

──仕事以外のところで遊んだりはしてないんですか？

吉田ユニ　まだですね。

たむらぱん　まだ、これからです。未来はこれからなので（笑）。