音楽ナタリー Power Push - そらる

大切にしたいのは“こじんまりとした宇宙”

不安とプロ意識

──7月26日からはアルバムを携えた全国ツアー「ビー玉の中の宇宙の旅」が開催されます。そらるさんがソロでバンドを率いてツアーをやるのは今回が初めてですが、今の心境は?

そらる「ビー玉の中の宇宙」ミュージックビデオのワンシーン。

人前に出るのは怖いですし、初めてバンドと一緒にツアーを回るということもあって不安は感じています。でも、もう8、9年くらいのキャリアがありますし、何事も挑戦だなと思っているので成功させたいです。

──After the Rainのインタビューの際も、そらるさんは「ライブはいつも怖いという思いと闘いながら挑んでいます」と話していました(参照:After the Rain「クロクレストストーリー」インタビュー)。その思いはまだ変わらないんですね。

ステージに立った回数はすでに2ケタにとどまらないくらいのはずなんですけど、いくらやっても怖いですね。もともと自分はアーティストになりたいって欲があったわけではないんです。今でもアーティストとしてずっと生きていきたいとは別に思ってなくて。

──ただアルバムを出すとなれば、エンジニアとして自身が納得いく音を追求するし、ライブを開催する際はアイデアを出して成功したいと思っているわけですよね。これは立派なプロ意識だと感じますが。

「自分がアーティストだ」っていうふうには思ってないんですけど、アルバムを出すからにはちゃんとしたクオリティのものを出さないとダメだなって思いますし、ライブではちゃんとお客さんを満足させたいと考えています。例えば、自分の中で動画の投稿は遊びに近い感覚なんですよね。もちろん動画も本気で作ってはいるんですけど、CDの発表やライブの開催は動画と違って皆さんからお金をいただくものですから、しっかりと責任を持って取り組まなければいけないと思っています。

楽しめることを自分で選ぶ

──ある意味マイペースに自分がやりたい活動を貫いてきたそらるさんは、これから先どういう活動をしていきたいんでしょうか?

有名になりたいとか、活動の規模を大きくしていきたいって思いはほとんどなくて。好きなことをやってきた結果が今の状況で、これから先も好きなことを好きなようにやっていきたい。それに尽きますね。

──ただそらるさんの活動は年々規模が大きくなっているのも事実です。特に昨年から今年にかけてのAfter the Rainでの活動が注目を浴びたこともあり、そらるさんのソロ活動もより広い人に知られるようになったと思います。そこに対して戸惑いはないですか?

ソロの活動に関してはやっていることがそんなに変わってないんです。みんな動画を投稿しなくなって離れていく人も多い中で、自分は動画を投稿し続けて、ライブやったり、CD出したりっていうのを何年も続けているんですよね。あんまりやってることも感じてることも変わってないので、どれだけの人に見られているとかもあまり気にならなくて。ただまふまふとAfter the Rainを作ったとき、ユニットでは1人では決断できなような大きいことも、一緒にだったらがんばれるかなっていう思いがあったんです。例えば実写ミュージックビデオの撮影だったり、両国国技館のような大きい会場でのライブの開催は、きっと自分1人だったら取り組めていませんでしたから。ソロでの活動がユニットの活動につながったり、その逆もあると思いますし、自分がどうなりたいかっていう質問に答えるのは難しいんですけど、ソロでの活動はこれまでと同じで自分が楽しめることを自分で選んでやっていきたいなと思っています。

音楽はなくならない

──ここ数年でニコニコ動画をはじめとしたネット上の音楽シーンから離れて行ったクリエイターやボーカリストも多いと感じています。昨今の流れをそらるさんはどう感じていますか?

落ち着くところに落ち着くしかないと思ってますけど、去年より今年のほうがボカロが盛り上がってるんですよね。去年より明らかにミリオン再生の動画が増えてますから。ただ盛り上がるときがあれば、盛り下がることもあるから、人が増えることもあれば減ることがあるのも当然だと思っています。そうは言っても自分が投稿し始めた頃は本当に人がいなくて、ボカロの曲も数十再生とかのレベルでしたから。それに比べたら今のほうがずっとボカロや“歌ってみた”は盛り上がっています。

──そらるさん自身の活動は、あまり周りの変化に左右されていない?

そうですね。ただ新しくいろんなものがこれからも出てくると思うんです。自分も面白そうだと思ったらそっちに手を出すかもしれませんから、今後もずっと同じことをやっていくとは限らないですね。ただ音楽で何か面白いことをしようって流れはなくならないと思います。自分もまだまだ歌は続けるつもりでいますから。

ニューアルバム「ビー玉の中の宇宙」/ 2016年7月19日発売 / アニメイト限定セット [CD+グッズ] 3240円 / 通販版 [CD] 2160円 / 会場限定版 [CD] 1620円
「ビー玉の中の宇宙」
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収録曲
  1. アトモスフィア
    [作詞・作曲:はるまきごはん]
  2. 捨て子のステラ
    [作詞・作曲:Neru / 編曲:z'5、Neru]
  3. Discord Alien
    [作詞・作曲:buzzG]
  4. 悋気な惑星
    [作詞・作曲:みきとP]
  5. 宇宙葬
    [作詞・作曲:ちんたら]
  6. ブラックホール的犯行
    [作詞・作曲:YASUHIRO]
  7. 宙の入り口
    [作詞・作曲:TOKOTOKO(西沢さんP)]
  8. 永久のスーパースター
    [作詞・作曲:koyori]
  9. コスモと蒼い花
    [作詞・作曲:ぷす]
  10. 廃棄ロボットの夢
    [作詞・作曲:黒魔]
  11. キヲクノソラ
    [作詞・作曲:とあ]
  12. プルート
    [作詞・作曲:まふまふ]
  13. ビー玉の中の宇宙
    [作詞・作曲:そらる / 編曲:ぎぶそん]

そらる「summer tour 2016 -ビー玉の中の宇宙の旅-」

2016年7月26日(火)
大阪府 なんばHatch
2016年7月28日(木)
福岡県 DRUM LOGOS
2016年8月2日(火)
東京都 Zepp DiverCity TOKYO
2016年8月4日(木)
宮城県 Rensa
2016年8月9日(火)
広島県 広島CLUB QUATTRO
2016年8月11日(木・祝)
愛知県 DIAMOND HALL
そらる

ボーカリスト、エンジニア。2008年から動画共有サイトに“歌ってみた”動画を投稿し始める。自身の楽曲だけでなく多数の歌い手の作品のミックスも担当している。2012年6月に1stアルバム「そらあい」をリリース。2013年にはスズム feat. そらるとしてアニメ「ダンガンロンパ」のエンディングテーマ「絶望性:ヒーロー治療薬」を発表した。2015年には15曲入りのフルアルバム「夕溜まりのしおり」をリリース。また2016年よりまふまふと共に「After the Rain」名義での活動を開始し、4月に同名義初のアルバム「クロクレストストーリー」をリリースした。同年7月にはソロアルバム「ビー玉の中の宇宙」を発表し、今作を携えた全国ツアー「ビー玉の中の宇宙の旅」を開催する。