路上から“夜明け”まで

──さユりさんはほぼ毎週金曜日の夜に渋谷のスクランブル交差点にあるTSUTAYA前で路上ライブをしていますね。路上での演奏はいつから？

さユり　ライブをし始めたのは福岡に住んでたときからで、中学2年生ですね。最初は2人組で、私は歌う自信がなかったので曲作りと演奏だけっていうのを1年くらいやって、次第に1人でやるようになりました。

YKBX　路上でライブをするきっかけってなんだったんですか？

さユり　ライブをし始めたのは曲を作るイコールライブをするもんだっていう軽い気持ちでしたね。ライブハウスにも並行して出演してたんですけど、ライブハウスだとあまり観に来る人がいなかったので、聴いてもらわんと意味ないって思って路上でやってました。

──それで高校2年生の頃に上京し、今も東京で定期的にライブをし続けているんですね。

さユり　はい。高校を休学して上京して、もう2年経とうとしてます。

──また今年の3月には本来高校の卒業式だった日に東京・TSUTAYA O-nestでワンマンをして、ソールドアウトさせたそうですが。

さユり　はい。「初めてのワンマンを絶対ソールドアウトさせるぞ」と思って、ストリートライブをしまくってチケットを売ってました。それに高校にそのまま行っていたらこの日は卒業式だなって思うと、より特別な日に感じて。ちなみにそのステージには自分で“過去を過去にする会”ってテーマを設定していて。

──それはどういうものですか？

さユり　高校を休学せずに進んだ場合の未来とか、そんな自分に対して「行けばよかったのに」って思わせる後悔とかを卒業するための会ですね。それを卒業式の日に過去にすることで自分の進む道をハッキリさせたかったんです。ライブのタイトルも「夜明けの支度」って付けて。

今度こそ届けたい

──さユりさん自身と言える楽曲「ミカヅキ」を携えてメジャーデビューですね。どんなお気持ちですか？

さユり　「始まりだ！」っていう感じはあります。やるからにはたくさんの人に届けたい、聴いてほしいっていうのはあるんで。スタートだっていうふうには感じています。ここからですね。

──それはもっと多くの人に自分を受け入れてもらいたいっていう気持ちからでしょうか。

さユり　私、ホント生命の危機を感じるくらい友達がいないんですけど、でもたぶん誰かとつながってなきゃ死んじゃうんじゃないかって気もするんです（笑）。自分はライブするけど、人のライブを観に行ったり好きなものの集団に入ったりすることもなくて、ずっと1人で。

YKBX　うん。

さユり　だからこそライブハウスに行かない、人ともしゃべらない、家からも出ないで端っこにいるだけのような人にも自分の音楽が届いてほしいって思ってるから。私はいろんな人の「1人じゃないよ」ってメッセージを自分へのものだってあんまり思えなかったから、今度は私が、同じことを感じている人に届けたいんです。

2人が抱く“酸欠感”

YKBX　さユりちゃんの音楽って重い楽曲もあるかもしれないですけど、一部の人にだけしか共感されないって内容でもないですよね。「ミカヅキ」もそうですけど、普段この歌と同じ思いを持ってるっていう方が世の中にたくさんいると思うので、いろんな方に届いてほしいって思います。僕がこのプロジェクトに参加するのもそのためだと思ってますし。

──なるほど。YKBXさんとしても気合いの入ったプロジェクトだと。

YKBX　はい。

──これからの作品、どういう形で展開されていくのかホントに楽しみです。

YKBX　そうですね。実際次の展開に合わせて、観る人の想像を超えるビジュアルの作り方とか世界観、見せ方がまたできたらいいなとは思ってますね。そういうアイデアはホントにたくさんあるし。

さユり　まずはたくさんの人に「ミカヅキ」を聴いて、観てもらって、この先の活動や展開も楽しみにしてほしいです！