ナタリー PowerPush - OKAMOTO'S
今だからこそ欲望を叫べ!!!! 新たな扉開いた野心作
OKAMOTO'Sが1stシングル「欲望を叫べ!!!!」をリリースした。この曲は、バンド名の由来となっている岡本太郎の生誕100年を記念して制作された曲であり、9月7日にリリースするニューアルバム「欲望」の全体像を牽引するものとなった。シングルとアルバムの話を軸に、驚くべきスピードで進化を続けるOKAMOTO'Sの今に迫った。
取材・文 / 三宅正一
自分の欲望に従ってとことんやる
──まず昨年11月にリリースした2ndアルバム「オカモトズに夢中」から、1stシングル「欲望を叫べ!!!!」に至るまでの流れを振り返ってもらうところからはじめさせてください。
オカモトレイジ(Dr) 初めての体験がけっこう多かったですね。
オカモトコウキ(G) ハマくんが加入してから、初のワンマンを12月に東名阪でやって。
オカモトショウ(Vo) そのあと初めての長い国内ツアーに出て。それと並行して次のアルバムのこともずっと考えていたんですよ。そんなときに岡本太郎財団から連絡をもらったんです。2011年は太郎の生誕100年なのでぜひ何か一緒にやってほしいという話をいただいて。
──すごいよね。
ショウ 最初は「バンド名を変えてくれ」って言われると思ってたんですけど(笑)。
ハマ・オカモト(B) あながち冗談でもなくて。自分たちの露出が少しずつ増えてきたので「いよいよそのときがきたかな」と覚悟したんですけど。最初はとりあえず会いたいっていう話だったから、青山にある岡本太郎記念館に行って。太郎本人が生活していたリビングに通してもらって、財団の方たちと話をしたんです。
レイジ そこって普段は身内以外入れない居住スペースで、置いてあるイスとか机が全部太郎の手作りなんですよ。
ショウ 冷蔵庫は青く塗られていたよね。
レイジ それはメーカーに特注で塗ってもらったらしいんですけど(笑)。「なんで冷蔵庫が白くなきゃいけないんだ!」ってメーカーの人に言ったらしいです。
──さすが(笑)。
ショウ そこで「あなたたちのように若い人が岡本太郎をリスペクトしてくれてるなんてすごくうれしい。ぜひ一緒に何かやりましょう」という話をいただいて。2月26日の太郎の誕生日に六本木ヒルズアリーナで「TARO100祭」というイベントがあるから、それに出演してほしいということと、太郎のために1曲作ってくれないかという。結果的にそれが、アルバムに向けて俺たちが最初に取り組みはじめたことで。
──でも、太郎に捧げる曲を書くって、相当なお題だよね。
ショウ そうなんですよね。実際に俺たちもどういう曲を書けばいいのか、なかなか答えが見つからなくて。それから太郎の作品を観たり、4人で太陽の塔を観に行ったりしてるうちに「欲望」だなって感じたんです。太郎の「芸術は爆発だ!」という名言からも感じる、自分の欲望に従ってとことんやるっていうイメージですよね。そこから曲の原形ができていったんですけど、まだ何か物足りない状態だったんです。でも、あるとき冒頭の「イエイエイエ! ドキドキューン!!」という叫びを足した瞬間に、すべてがピタッとハマって。すんなり展開も決まったんです。この曲ができてからアルバム全体のテーマも「欲望」だなって思って。
「欲望」って今はマイナスのイメージがあるような気がして
──みんなは「欲望」という言葉をどう捉えてるんですか?
ショウ 俺は、今の時代って欲望に忠実じゃない人が多いような気がしていて。欲望って本能に近い衝動ですよね。イコール、それは自分自身の核でもあり。まさに「考えるな、感じろ」っていうことなんじゃないかなって。
レイジ 俺は素直というか、素でいくって感じですね。
──ありのまま。
レイジ そうっすね。素直。さらけ出してる。そういうイメージです。だからアルバムも素直なものにしたいと思ったんです。
ハマ 言葉としては、「欲望」って今の世の中的にはマイナスのイメージがあるような気もしていて。
コウキ ああ、それはあるかも。
──特に震災以降はそういう風潮があるかもしれない。
ハマ うん。今だからこそあえて使いたいワードって言ったら変ですけど、今のOKAMOTO'Sだからこそそのままの意味で使える言葉かなって思いましたね。
──コウキくんは「欲望を叫べ!!!!」の原形をどういうイメージで作ったの?
コウキ 僕が原形を作ったといえばそうなんですけど、この曲に関してはみんなでセッションして作り上げていった部分が大きいですね。今年の春ツアーと並行して作ったので、ライブ感や演奏力の向上がどんどんセッションにも反映されていったんです。この曲で、バンドで作り上げていくスタイルが完成したなとも思いましたね。
──そういう意味でも今のOKAMOTO'Sにとってツアーの存在は大きかったし、しっかり制作にフィードバックすることができたのでは?
コウキ ホントにそう思います。今まで長時間のステージを毎晩のようにやることもなかったですし。これまでは俺らのことを知らない人の前でやって驚かれる、みたいなパターンが多かったんですけど、ツアーに来てくれたお客さんは、もちろん既に俺らのことを知っているわけで。その期待感をどう越えていくかというトライが自分たちを鍛えることに直結していきましたね。
期間生産限定盤収録曲
- 欲望を叫べ!!!!
- Future Eve
- 欲望を叫べ!!!!(アニメsize version)
- Future Eve(アニメ size version)
- 欲望を叫べ!!!!(instrumental)
- Future Eve (instrumental)
通常盤収録曲
- 欲望を叫べ!!!!
- Future Eve
- Live at LIQUIDROOM 20110422(Live Tour 2010-2011"Bring The BEAT! Bring The NOISE!")
OKAMOTO'S(おかもとず)
オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)の4人からなるロックバンド。バンド名およびメンバー名は、彼らが敬愛する岡本太郎に由来する。抜群の演奏力とアグレッシブなライブパフォーマンスに定評があり、2010年3月にはアメリカのショーケースイベント「SXSW」に出演。続けて行われた全米ツアーでも高い評価を受けた。次世代のロックシーンを担うホープとして注目を集める中、2010年5月にメジャー1stアルバム「10'S」、同年11月には2ndアルバム「オカモトズに夢中」を発表。2011年8月3日には初のシングル「欲望を叫べ!!!!」をリリースし、9月7日には3rdアルバム「欲望」を発表する。