ナタリー PowerPush - 水樹奈々

強い絆を胸に次の一歩へ

この年末は4年連続となる「NHK紅白歌合戦」への出場が決定し、もはや国民的アーティストのひとりとして広く認知される存在となった水樹奈々。そんな彼女が、およそ2年5カ月ぶりとなるオリジナルフルアルバム「ROCKBOUND NEIGHBORS」を完成させた。

ナタリー3度目の登場となる今回は、多忙を極める中でサービス過剰とも言える全16曲入りのアルバムを作り上げた経緯や、録り下ろし楽曲にまつわる隠れたエピソード、そして2013年に控える2つのスペシャルライブについて話を訊いた。

取材・文 / 臼杵成晃

 
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ステーキ! ヒレカツ! ミックスフライ!

──水樹さんのアルバムは毎回盛りだくさんですが、今回は約2年半ぶりのフルアルバムとあって、一段と濃い内容になりましたね。録り下ろしの新曲が12曲も入った全16曲入りという。もしCDの盤面に温度があったら、ちょっと素手では触れないほどに熱いアルバムで。

あはははは。そうですね、本当に(笑)。「今こんなに新曲が入ってるアルバムはないですよ」って言われるんですけど、いつも応援してくださる皆さんはアルバムの隅々まで、シングルもカップリング曲まできっちりと聴き込んでくださるので、「どの曲をシングルカットしてもOKというくらい魂を込めた、捨て曲ナシのアルバムにしたい!」ということを常に考えています。アルバムは次の作品までに大体1年、2年と間が開く分「ずっと内に秘めていた思いを全部、出し惜しみなくぶつける!」という気持ちになっちゃうんですよね。今持っている全てのパワーを空っぽになるまで詰め込んで、ひとつの作品に仕上げられるようにっていつも考えてます。

──その結果、毎回すごいボリュームのアルバムになるんですね。

なっちゃうんです。だからいつも収録分数ギリギリとの戦いというか(笑)。

──インタールード的な曲を挟んでのこの曲数ならわかりますけど、そうじゃないですからね。曲数もすごいですけど、1曲1曲の熱量がすさまじくて。

今作に収録されるシングル曲は……ステーキ! ヒレカツ! ミックスフライ! みたいな(笑)、非常にハイカロリーなものが揃ってたので、そこに対等にぶつかっていける曲、もしくはお互いを引き立て合えるような新曲じゃないとバランスが崩れてしまうんです。三嶋プロデューサー(三嶋章夫。水樹をデビュー時から支えるプロデューサー)と一緒に、本当に何百曲ものデモを聴いて選んでいったんですけど、気付いたらハイパーな曲ばかり選んでいて。もっとバランスを考えて選曲したほうがいいんじゃないかという葛藤もあったのですが、バランスを取ることを優先するのは今の水樹奈々チームのやり方に反してしまうんじゃないか、枠に収まった作品になっちゃうんじゃないかって思ったんです。ちょうど夏のツアー(「NANA MIZUKI LIVE UNION 2012」)の最中に制作を始めたこともあって、ツアーの意思を継承したようなゴリッゴリの楽曲が多くなりました。

「岩に囲まれた隣人」?

──水樹さんはアルバムを作る際、最初に明確なイメージやコンセプトを考えるほうですか?

全く考えません!(笑) 直感で感じるままに、そのとき「歌いたい!」って感じた曲をセレクトしていくので。アルバムだからこそチャレンジできるような、新たな自分が引き出せる“冒険曲”もやりたいよね、みたいな大雑把なものだけを頭に描いて、あとはもう感じるままに。

──直感に委ねた結果ということは、ある意味アルバムは心理分析結果というか、そのときどきの水樹さんの心境が深いところで浮き彫りになっている?

そうなんです。本当に不思議なんですけど、いつもそのときの自分を素直に表すものができあがっていて。音楽って嘘がつけないんだなってそのたびに思います。アルバムはもちろん、シングルでも、ライブのステージに立つときでも、絶対にそのときの自分の精神状態が見えるものになるんです。それはもう、丸裸になったように。私の場合は、先にコンセプトを決めると頭でっかちになっちゃって、そのコンセプトに振り回されてしまうと思うんですよね。

──そうすると、作品を象徴するタイトルは必然的にあとで命名されるわけですよね。今回のアルバムタイトル「ROCKBOUND NEIGHBORS」というのは、一体……。

直訳すると「岩に囲まれた隣人」になってしまうんですけど(笑)。

──そうなんです。気になって辞書で調べてもわからなくて(笑)。きっとファンの皆さんも「?」だと思うので、ぜひ詳しく教えていただけたらと。

ですよね(笑)。アルバムの発売が正式決定したのが夏のツアー中だったんですけど、今回のツアーは私にとって得るものがとても多くて。だからアルバムはみんなとより裸になってぶつかり合える、みんなとつながれる作品にしたいと思ったんです。そんなとき真っ先に頭に浮かんだのが「NEIGHBORS」という言葉で。仲間、隣人、そばにいる人っていう……それは家族だったり友達だったり仲間だったり、広い意味でのつながりを表せる言葉なんじゃないかなって。例えばライブ会場だったら、見ず知らずの人と隣の席になっても、同じ音楽を通じていつの間にか仲間になっているような。じゃあそれはどんな“隣人”なんだろうって考えたときに、何物にも屈しない、強い強い思いのパワーを感じられる言葉として「ROCKBOUND」が思い浮かんだんです。今回は音楽的にも骨太な楽曲が多いので、きれいな発音の優雅なイメージより、ちょっと暑苦しいような言葉の響きが欲しくて、この言葉を選びました。

収録曲
  1. アヴァロンの王冠 [作詞:Hibiki / 作曲:藤田淳平(Elements Garden)/ 編曲:Evan Call(Elements Garden)]
  2. Naked Soldier [作詞・作曲:KOUTAPAI / 編曲:中山真斗(Elements Garden)]
  3. Get my drift? [作詞:Hassy / 作曲:加藤肇 / 編曲:大西省吾]
  4. Lovely Fruit [作詞:Hibiki / 作曲・編曲:上松範康(Elements Garden)]
    フジテレビ系TVアニメ「トリコ」エンディングテーマ
  5. ダーリンプラスティック [作詞:藤林聖子 / 作曲・編曲:伊藤寛之]
  6. BRIGHT STREAM [作詞:水樹奈々 / 作曲:吉木絵里子 / 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
    映画「魔法少女リリカルなのは The MOVIE 2nd A's」主題歌
  7. 星屑シンフォニー [作詞・作曲:しほり / 編曲:齋藤真也]
  8. LINKAGE [作詞:ゆうまお / 作曲:俊龍 / 編曲:加藤裕介]
    ニンテンドー3DS・PSP専用ゲームソフト「アンチェインブレイズエクシブ」主題歌
  9. STAR ROAD [作詞・作曲:水樹奈々 / 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
  10. Synchrogazer -Aufwachen Form- [作詞:水樹奈々 / 作曲・編曲:上松範康(Elements Garden)]
    TVアニメ「戦姫絶唱シンフォギア」オープニングテーマ
  11. Crescent Child [作詞:藤林聖子 / 作曲:松井喬樹 / 編曲:Integral Clover]
  12. 奇跡のメロディア [作詞:水樹奈々 / 作曲:上松範康(Elements Garden) 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
    PSP専用ソフト「シャイニング・アーク」主題歌
  13. METRO BAROQUE [作詞:水樹奈々 / 作曲:やしきん / 編曲:中山真斗(Elements Garden)]
    劇場版「BLOOD-C The Last Dark」主題歌
  14. Happy☆Go-Round! [作詞:Rico / 作曲・編曲:齋藤真也] フジテレビTWOオリジナルドラマ「スイッチガール!!2」主題歌
  15. Sacred Force -Extended Mix- [作詞:Hibiki / 作曲:しほり / 編曲:藤間仁(Elements Garden)]
    劇場版「魔法少女リリカルなのはThe MOVIE 2nd A's」挿入歌
  16. 約束 [作詞:SAYURI、水樹奈々 / 作曲:吉木絵里子 / 編曲:陶山隼]
水樹奈々(みずきなな)

プロフィール画像

愛媛県出身の声優アーティスト。1997年に声優としてデビューし、「魔法少女リリカルなのは」「シスター・プリンセス」「NARUTO -ナルト-」といったアニメ作品で人気を集める。2000年にはシングル「想い」で歌手デビュー。2009年6月にリリースされたアルバム「ULTIMATE DIAMOND」で、声優アーティストとして初のオリコンウイークリーチャート1位を獲得した。同年12月には「NHK紅白歌合戦」に初出場。2011年12月には声優アーティスト初の東京ドームコンサートを2日間にわたって開催し、大成功に収めた。2012年12月12日に通算9枚目のオリジナルアルバム「ROCKBOUND NEIGHBORS」をリリース。年末には4年連続となる「NHK紅白歌合戦」への出演が決定している。