曲を書く作業はデトックス

──カップリング曲「LIFE CLOCK」は、1曲の中にいろんな表情を持った曲ですね。

これもトラック自体は結構前からあって。第一印象はさわやかな曲だな、MiChiっぽいなって思った。あと、少し優しい感じもあって。

──イントロでは時計の音や赤ちゃんの泣き声も入ってて、そこからサウンドがさまざまに変化していく。それはなんだか人生を表現しているようにも思えますね。

そうなの。タイトルを「LIFE CLOCK」と付けたのも、人生の時計を表したかったからなんです。生きてればいろんな時期があるじゃないですか。すごく調子のいいときもあれば、最悪だ、消えたいっていうときもある。でも、そういう悪いコンディションの時期に、ネガティブな判断をしてほしくないという思いで今回の歌詞を書いたんです。今がつらいから夢をあきらめるとか、そこで止めてしまうことはしないでいいっていう。

──サビの「この痛みはNot forever」ってフレーズとか、まさにそうですよね。

うん。とにかく、ずっとじゃないからって。つらい時期は絶対に終わるし、次はきっと明るいときが来るからって。

──そう信じることはすごく大切なことですよね。ただ、そのつらい渦中にいるときは気付けなかったりするんですけど。

確かに。苦しみを感じてるときって本当に先が見えないしね。でも、いつか絶対に変わるってことをわかっているだけでも、ちょっとはラクになると思う。理解はできなくても、ただそれをわかってるだけでも。

──ところで、MiChiさんは以前、自分のことをネガティブな人間だとおっしゃってて。

……そうだね（笑）。自分に対してはだいぶネガティブ。でも、曲を書くってことが自分の中の1つのリリースになったりするんで。人に伝えたいと思って書きながらも、自分に対して言ってることも多いし。だから結構デトックスになりますね、曲を書くっていう作業は。

これからの楽曲は少し変わっていくかも

──今回のシングルはリリースの経緯が特殊なだけに、また違う思いがこもった作品になったんじゃないですか？

うん。シングルでは初めて自分でプロデュースもしたし、いろいろ思い入れが強い1枚になりました。あの……今思い出したんですけど、「ONE」は泣きながら作ったんですよ。バカでしょ？ すごい恥ずかしいんだけど、どんだけ繊細なんだよっていう（笑）。

──いえいえ！

今でも歌うたびに泣きそうになるしね。そのくらい、自分の中ですごく強いメッセージなんだろうなって。だから本当に届いてほしいって思いますね。

──最後に訊きたいんですけど、3月11日以降、MiChiさんの中で音楽というものはどういうふうに変わっていきました？

もちろん目指すところは変わってないんだけど、やっぱり、もっと人に伝わるものを歌っていきたいと思うようになった。カッコつけなくていいから、もっと人の心を動かすもの、人に何か感じさせるものをね。

──楽曲の方向性や制作方法にも違いが出てくるんでしょうか？

あるかもしれない。あまりにもガラッとは変えたくないけど、なんか、変わっていくような気はしてます。

──それは次回のアルバムあたりで反映されたり？

そうですね。もちろんカッコいい曲もやっていきたいんだけど、例えば人を癒す曲もいいなあと思ったり。今後は、ゆっくり人の心を癒したりできる静かな曲にも挑戦したいですね。

──期待しています！ ということは、現在アルバムの制作も順調？

今は曲を選んだり、歌詞を集めているところ。最近はいろんな意味で自分の変化を楽しんでいるので、それがアルバムにうまく出ればいいなって。制作中はいつもその全体像が見えないんですけど、これから徐々に、大きなパズルができてくるような気がしてます。