ナタリー PowerPush - MiChi × the telephones

ダンスロックの化学反応! 運命的初コラボの舞台裏に迫る

常に革新的なアイデアとセンスで新たな音楽を届けてくれるMiChiが、キャリア初のコラボレーションにトライ。選ばれし相手は、圧倒的なグルーヴで日本中を踊らせるダンスロックバンド、the telephones。

意外とも言える組み合わせではあるが、完成したシングル「WoNdeR WomaN」には2つの個性がぶつかり合うことでしか生まれ得ない、感動的な化学反応が渦巻いている。予想を軽く凌駕するその仕上がりは、コラボレーションのあるべき姿を明確に描き出すと同時に、日本の音楽シーンの輝かしい未来をも鮮烈に照らし出しているように思う。この激しく踊れる“ワンダー”な1枚について、MiChiに話を訊いた。

取材・文/もりひでゆき

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the telephonesは最初は洋楽だと思って聴いてた

──MiChiさんにとっての初コラボは、実に面白い作品を生み出しましたね。

ですね。すごくサプライズ的な感じだと思います。これまでコラボをやらなかったのは、多分自分のカラーをもっと詰めてからっていう気持ちがあったからなんです。

──今回はタイミングも相手もバッチリだったと。

そうそう。the telephonesはね、去年の夏ぐらいにラジオで初めて聴いたんですよ。最初は洋楽だと思って聴いてたんだけど、曲が終わったら彼らが出てきて。あ、日本人なんだ、みたいな(笑)。そこから興味を持つようになって、ライブを観に行って挨拶させてもらったり、MiChiのラジオにゲストで来てもらったりして。

──その段階で、一緒に何か作りたいという気持ちも?

最初は音から感じるものが強くて、かっこいいなって聴いていただけでしたね。でも、一緒に話したり、絡むようになってからは、何かできたら面白そうって思うようになって。

──で、誘ったのはMiChiさんから?

そうです。多分向こうはちょっと意外だったんじゃないかな。音楽的に全く同じところにいたわけじゃないと思うし。でも、すぐに「面白そうじゃん」って言ってくれて。

──楽曲的なイメージもすぐに広がりました?

うん。雰囲気としては、ロックなんだけどキャッチーなポップさもある感じ。もちろん初めてのコラボだし、チャレンジみたいな気持ちもあったから、登場感やインパクトがあるものが良かった。だからこそ、テンポも速くてソウルがあるものっていうイメージでしたね。

普通はドラマ主題歌にこの曲を選ばないと思う

──まさに、そのとおりの仕上がりになってますね。ちなみにこの曲は海外ドラマ「ゴシップガール」のエンディングテーマになっていますが、それはどのタイミングで決まったんですか?

それは全然、後からなんですよ。

──え、そうなんですか。すごくマッチしているから、それを踏まえて作ったのかと思いましたよ。

だよね。すごくハマッてるなって、MiChiも思った。普通に考えるとこの曲を選ばないと思うんですよ。ソロの女性シンガーが女の子の気持ちを歌うR&Bとかね、そういう曲になるのかなって気がするじゃない?

──ああ、ドラマの内容的にはそういう選択になりがちかも。

でも、この曲が選ばれた。これを選んでくれた人はセンスありますよね(笑)。

──アハハハ。洋楽っぽいテイストを持った曲だから、海外ドラマとの相性は必然的にバッチリですしね。

そうだね。番組自体がドラマチックで、いろんなテーマの出来事がカオス的に起こったりするから、テンポ的にも合ってるし。しかもね、面白いことにMiChiがちょうど「ゴシップガール」にハマッたときだったんですよ。4月の誕生日にプロデューサーからBOXセットをプレゼントしてもらって、「ヤバイ、めっちゃ面白い!」って思ってたときに話をいただいたから。

──ちょっと運命的でもありますね。

そうなの。だからすっごいうれしかった。

「WoNdeR WomaN」にはグサッてくる何かがあった

──制作はどのように進めていったんですか? ジャケット写真のようにthe telephonesと一緒に実験しながら作っていった感じ?

そうそう。その感じがアートワークにもつながったんだけど、ほんとに2組での実験なんだよね。これはどうだろう、あれはどうだろうって言いながらできあがったものが、すごく良かったっていう。こういうテイストがいいですっていうのは少し提案させてもらったんだけど、音に関しては基本的にお任せな感じですね。最初にまず彼らが2曲上げてきてくれたから、そこから選んで。

──その2曲から「WoNdeR WomaN」を選んだのはどうしてですか?

インパクトだね、単純に。もうひとつの曲もね、ミディアムテンポで、カッコ良かったんだけど、こっちのほうがグサッてくる何かがあったから。これだなってすぐ思った。「うわー、来た!」みたいな登場感もあったし。

──曲が決まってからは、お互いに意見を出し合って詰めていく流れですかね。

そうそう。プリプロをして、音を足していったりアレンジを多少変えたり。その段階でMiChiが仮歌詞を書いて歌ってみたんだよね。彼らの前では、そのときに初めて歌ったからちょっと緊張しましたね。普段はあんまり緊張する人じゃないんだけど、初めて違う人と一緒にやったから。でも、現場は超リラックスした空気感で、いい感じでしたよ。

──楽しく、和気あいあいと?

うん。なんかね、すごい楽しそうなんですよ、あの4人。くっだらないことを常に語ってて(笑)。ずっと一緒にいるのに、よくそんなに話すことあるなっていうぐらい、ずっとしゃべってた。なにげないことでも大爆笑してたりとか(笑)。ああいいなぁって思いながら見てましたね。

ニューシングル「WoNdeR WomaN」 / 2010年6月23日発売 / Sony Music Associated Records

  • 「WoNdeR WomaN」
  • 初回生産限定盤 [CD+DVD] 1500円(税込) / AICL-2135~2136 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤 [CD] 1200円(税込) / AICL-2137 / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. WoNdeR WomaN / MiChi×the telephones
  2. Strong MAN / MiChi
  3. WoNdeR WomaN   / MiChi×the telephones
  4. WoNdeR WomaN / MiChi×the telephones
  5. Strong MAN / MiChi

アーティスト写真

MiChi(みち)

1985年、イギリス生まれ。イギリス人の父と日本人の母を持つ。2歳から10歳までを神戸で過ごし、1995年、阪神・淡路大震災の後、再びイギリスに移住。10歳から18歳までの最も多感な時期をイギリス・バーミンガム近郊で暮らし、シンガーを夢見る。
18歳で再来日。プロデューサー松澤友和と出会い、東京で本格的な音楽活動をスタート。東京・西麻布「YELLOW」などクラブシーンで話題を集める。2008年6月に1stアルバム「MiChi MadNesS」をリリースし、iTunes Storeでは史上初ダンスチャートの1・2・3位を2回独占。同じくダンスチャートTOP10に5曲同時ランクイン、総合アルバムチャート1位など新人としては破格の記録を達成する。
2008年10月「PROMiSE」でメジャーデビュー。2009年2月にリリースした2ndシングル「ChaNge the WoRLd」はドラマ「キイナ ~不可能犯罪捜査官~」主題歌に抜擢。ユニクロの世界キャンペーンキャラクターとしてCMに出演するなど幅広い活躍を見せる。2009年9月に待望の1stフルアルバム「UP TO YOU」をリリース。

the telephones(てれふぉんず)

アーティスト写真

2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーチェンジを経て、現在は石毛輝(Vo,G,Syn)、岡本伸明(Syn)、長島涼平(B,Cho)、松本誠治(Dr)の4人で活動を展開中。ポストパンク/ニューウェーブにも通ずるダンスロックサウンドが多くのファンを釘付けにしている。2007年に初の公式音源となるミニアルバム「we are the handclaps E.P.」をリリース。2008年1月に1stフルアルバム「JAPAN」を発表し、同年「ARABAKI ROCK FEST.08」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2008」「SUMMER SONIC 08」など各地のフェスを席巻。ハイテンションなパフォーマンスでオーディエンスを熱狂させる。2009年4月、EMIミュージック・ジャパン移籍を発表。同年8月にリリースしたフルアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」では彼らにしか作り出せない破壊力抜群のサウンドを響かせ、新旧のファンに歓迎された。