ナタリー PowerPush - 坂本真綾
シングル2枚と“冬”のアルバム 怒濤の3連続リリース
今年の1月に、アーティストデビュー15周年を締めくくるアルバム「You can't catch me」を発表した坂本真綾。過去最大規模となるアルバムツアーも終え、ひと段落つくタイミングかと思われた矢先、早くも新作に関するニュースが届けられた。しかもシングル2枚、コンセプトアルバム1枚を続けてリリースするという。
声優、女優としての顔も持つ彼女はこれまで、どちらかというとゆっくりしたペースで音楽を作り上げてきたが、15周年を境にハイペースかつアグレッシブな活動を見せ、ファンを楽しませている。今回ナタリーでは、そんな彼女の現在の心境や、合計13曲におよぶ新作3枚の制作秘話に迫るインタビューを行った。
取材・文 / 臼杵成晃
私からSFPの世界に飛び込みたかった
──今年の1月にリリースされたアルバム「You can't catch me」が、アーティストデビュー15周年の集大成と言える盛りだくさんの内容だったので、次はもう少し間を空けて進むんだろうと思っていたのですが……1年も経たないうちにシングル2枚、アルバム1枚と、かなり精力的ですよね。
去年からデビュー15周年にあわせて、1年かけて武道館ライブをやったりベストアルバムを出したり、集大成的な活動をしていたんですけど、その時点で、そこがピークで次の年に落ち着いちゃうのは嫌だなって思ってて。実際は1年ぐらい前からだいたい今年の予定を決めていたので「みんな今年が一番盛り上がってると思ってるけど、来年もっと大変なんだぞ!」って思いながらやってました(笑)。
──いや、みんな驚いたと思います(笑)。今日は今回リリースされる3作品について、順にお話を訊かせてください。まずはシングル「Buddy」です。「You can't catch me」の次の一手としてどういう曲がくるのだろう?といろんな方向性を予測していたのですが、School Food Punishment(以下、SFP)との組み合わせは意外でした。
お会いしたのは今回が初めてだったんですけど、サウンドがすごくカッコいいなとずっと思ってたんです。この曲はまずアニメの主題歌を歌わせていただくという話があって。どういう楽曲がいいだろうとか、アニメの世界観に合わせつつ、それでいて今の私の気分を表現するならこんな感じかなという話し合いをしているときに「例えばSFPさんとのコラボレーションってどうなんだろう」ってお名前を出させていただいたんです。
──かなり攻撃的なサウンドですが、これが元々のイメージとしてあった?
そうですね。ちょっとインパクトのあるものにしたいなっていう思いはありました。SFPさんはほかのアーティストへの楽曲提供が今までなかったようなので、興味を持っていただけるかな?と思っていたのですが、快く引き受けていただきました。
──音作りに関しては、坂本さんの持ってるアニメの世界観を含めたイメージを伝えながら?
彼らにはアニメの世界観を伝えるというよりも、むしろいつものやり方で作ってみてほしいとお願いしました。大まかに「どちらかと言うとアップテンポな曲で」というリクエストはしましたけど、私からSchool Food Punishmentの世界に飛び込みたかったんですね。私の今までの楽曲も聴いてくださって、その印象からすごく凝ったストリングスアレンジをプラスしたそうです。
かしこまらず、絶妙なバランスで
── カップリングの「something little」は羊毛とおはなのサポートをされている塚本亮さんの作曲ですね。そして編曲は安藤裕子さんの楽曲を手がけている山本隆二さん。これもまた新しい化学反応が起きたという印象です。
塚本さんにオーダーをしたのは全然違うニュアンスだったんです。やっぱり羊毛とおはなさんをイメージした、スローで、アコースティックな感じ。イメージどおりの曲をいただいたんですけど、「Buddy」のカップリングとしてアレンジを考えていたときに、ちょっと気を抜いた、かしこまりもせず、ガンガン押す感じでもなく、絶妙なバランスの音が欲しいなと思って、山本さんに「ちょっと変わったアレンジにしてほしい」ってお願いし直したんです。
──クレジットを見てアコースティックなものを想像していたら、1960~70年代のソフトロック的なアプローチで、すごく新鮮でした。
塚本さんもびっくりしてましたね(笑)。
──いわゆる「B面」というか、タイトル曲との対比として楽しめるカップリング曲が僕は大好きなんですけど、これはまさに理想の「B面曲」です。
わかりますわかります。B面はこうあるべきだと私も思います(笑)。
収録曲
- Buddy
- something little
- Buddy -Instrumental-
- something little -Instrumental-
初回盤特典CD 収録曲
- eternal return
- 秘密
- DOWN TOWN
- スピカ
- みずうみ
- ボクらの歴史
- キミノセイ
- 悲しくてやりきれない
- ムーンライト(または"きみが眠るための音楽")
収録曲
- おかえりなさい
- A HAPPY NEW YEAR
- おかえりなさい (Instrumental)
- A HAPPY NEW YEAR (Instrumental)
初回盤特典CD 収録曲
- 2011年6月3日、4日公演@東京国際フォーラム ホールA ライブ音源(後編)
- ピース
- 風待ちジェット ~kazeyomi edition
- Get No Satisfaction!
- マジックナンバー
- 光あれ
- トピア
- I and I
- stand up,girls!
- everywhere
収録曲
- Driving in the silence
- Sayonara Santa
- Melt the snow in me
- homemade christmas
- 今年いちばん
- たとえばリンゴが手に落ちるように
- 極夜
- 誓い
- Driving in the silence -reprise-
初回盤特典
- アイルランドロケによるオリジナルショートムービー(約8分)収録DVD
- 12/13~18開催 ライブチケット・CD購入者対象先行予約情報封入
- プレゼントキャンペーン応募ハガキ封入
坂本真綾(さかもとまあや)
1980年3月31日生まれ。幼少時より児童劇団で活動し、1996年にテレビアニメ「天空のエスカフローネ」のオープニングテーマ「約束はいらない」で歌手デビューを果たした。声優、女優としても活躍しながら、コンスタントにオリジナル作品を制作。2010年3月にはデビュー15周年を記念した2枚組ベストアルバム「everywhere」、2011年1月には7枚目のオリジナルアルバム「You can't catch me」を発表した。2011年10月にはシングル「Buddy」「おかえりなさい」、11月9日にはコンセプトアルバム第3弾「Driving in the silence」をリリース。