ナタリー PowerPush - 小松未可子

今、身に付けたい音と言葉の宝箱

過去から今へと一気に突っ走る

──「Sky message」と「Re:ing」から始まった旅はなぜこういう行程に?

どういう曲順にしたら自分が気持ちよく旅ができるかなと考えた結果、緩急が欲しくなったからですね。例えば3曲目に「天使がいない日」を持ってきたのは、この曲がデビュー曲の「Black Holy」(テレビアニメ版「モーレツ宇宙海賊」イメージソング / 「cosmic EXPO」収録曲)のネガティブ面のような曲だったからですね。

──確かに「Black Holy」では「信じられるもの以外は 輝きを失っ」ても「おそれを 感じたりしない 自由だと思っ」ているのに対して、「天使がいない日」では「絶望の崖っぷち」を「裸足で歩き始め」ている。

「Black Holy」や「Sky message」と「Re:ing」と歌っていることのテーマや曲のテンポ感は似ているんですが、只野(菜摘)さんの書いてくださった詞はちょっと切ないんですよね。だから3曲目に持ってきて、少しクールダウンしてもらって。そのあと「Black Holy」と同じく「モーパイ」の楽曲であり、最新シングルでもある「Sail away」(劇場版「モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵-」イメージソング)につないで……。

──今の小松未可子、最新モードの小松未可子へとリレーしていく、と。そういう意味では「Sail away」って「e'tuis」の4曲目向きというか、このトラックリストの中でホントにすごくいい機能を果たしていると思います。スローテンポでウエットに始まる曲だから「天使がいない日」から続くと……。

ここからより切ない旅になるのかな?と思いきや、突然激しくなって(笑)。だから4曲目までは一気に突っ走るゾーンという感じですね。で、ミディアムテンポの「初恋」でリラックスしてもらって、6曲目の「僕ら」とその次の「PandA」っていうPandaさん(James Panda Jr. / Panda 1/2)の曲が続くPandaゾーンに入っていく(笑)。

ブラックっぽいけど"白でも黒でもいい"Pandaゾーン

──実は「初恋」もどちらかというとPandaゾーン寄りの楽曲ですよね。メロウなボサノバだし。で、Pandaさん作詞作曲、矢野博康さん(ex. Cymbals)編曲の「僕ら」はスムーズなソウルで、小松さん作詞、Pandaさん作編曲の「PandA」は明るくてハウシーな1曲。4~6曲目っていわゆるロック、ポップスじゃない3曲が並んでますから。

確かにこの3曲はちょっと違うかもしれませんね。

──しかもPandaゾーンの楽曲って小松さんのディスコグラフィを振り返るとちょっと異色ですよね。

「僕ら」のレコーディングのときにPandaさんにも「いや、今回すっごい楽しみなんだよね」って言われました。「歌えるかな?」と試されているように感じましたね(笑)。

──ボーカリスト小松未可子の力量を試された感じ?

私はそういうことなのかなと思いました(笑)。「これはPandaさんからの挑戦状だな」って(笑)。でも、そういうチャレンジの機会を与えてくださりうれしかったですね。まあ、Pandaさんから「楽しみなんだよね」と言われたときは「いやいや歌えますよ」という顔をしていました(笑)。

──実際、歌えてますしね(笑)。異色ではあるんだけど実は年齢相応というか、20代中盤の女性ボーカリストによく似合う、ちょっとしゃれた曲に仕上がっています。あと「PandA」の小松さんの詞にも大人の余裕みたいなものが感じられますし(笑)。

白だの黒だの言っておきながら「結局なんでもいいじゃん」って(笑)。

──ええ(笑)。「白黒つけられない グレーな生き物だから もどかしいのです!」って歌っておきながら「あーでもこーでもないって 試行錯誤してる時間がなんか楽しかったりするね」っていうのは大人ならではの、いい意味で適当な発想かな、と。Pandaさん作編曲の楽曲のタイトルが「PandA」なのもいいし(笑)。

「いつかPandaさんからいただいた曲にパンダという詞を乗せたいな」と思っていたので(笑)。Pandaさんとは「THEE Futures」の制作に参加していただいて以来、ツアーに同行していただいたり、「ハピこしライブ!」(バースデイライブ)でMCをしていただいたりする中、いろいろお話する機会がすごく多かったので。知り合ってからそんなに長くはないんですが、お互いの悩みや、「こういうことを思ってるんだよね」というお話をさせていただいて、いつかPandaさんのことを歌いたかったんです。

──なのにコミカルな詞を?

完全に曲に引っ張られました。サウンド自体明るくて、しかもいろいろセリフが入っていて、ちょっとふざけているというか、ポップというか……「あのPanda、やりよったな(笑)」という楽曲だったので。あと「僕ら」の詞はPandaさんが初めて私に書いてくださった詞なんですが、さっきお話した私とPandaさんの会話がかなり反映された内容になっていました。私とPandaさんが普段話し合ったり、考えていたりしていることを丁寧に語っているような詞だったので、私はあえて逆に。ちょっとマジメな「僕ら」と、にぎやかしの「PandA」という対照的な曲を並べることで、私とPandaさんとのいろんな関係を描いてみたかったんです。

ニューアルバム「e'tuis」 / 2014年5月14日発売 / スターチャイルド
初回限定盤 [CD+DVD] 3394円 / KICS-93051
通常盤 [CD] 3085円 / KICS-3051
CD収録曲
  1. Sky message
    [作詞:小松未可子 / 作曲・編曲:nishi-ken]
  2. Re:ing
    [作詞:小松未可子 / 作曲・編曲:Junichi Hoshino]
  3. 天使がいない日
    [作詞:只野菜摘 / 作曲・編曲:楊慶豪]
  4. Sail away
    [作詞:atsuko / 作曲:atsuko・KATSU / 編曲:KATSU・松本祥平]
  5. 初恋
    [作詞:白倉由美 / 作曲・編曲:SiN]
  6. 僕ら
    [作詞:James Panda Jr.・TB226 / 作曲:James Panda Jr. / 編曲:矢野博康]
  7. PandA
    [作詞:小松未可子 / 作曲:James Panda Jr. / 編曲:James Panda Jr.]
  8. ABC
    [作詞・作曲・編曲:ナカムラヒロシ(i-dep)]
  9. Material
    [作詞:小松未可子 / 作曲・編曲:Junichi Hoshino]
  10. エメラルドの丘を越えて
    [作詞・作曲:小松未可子 / 編曲:小松未可子・SiN]
  11. 終わらないメロディーを歌いだしました。
    [作詞・作曲・編曲:ナカムラヒロシ(i-dep)]
  12. in the suite
    • endless night
      [作詞・作曲・編曲:ナカムラヒロシ(i-dep)]
    • walking in the dark
      [作詞・作曲・編曲:ナカムラヒロシ(i-dep)]
    • 怪獣
      [作詞:カワムラユキ / 作曲・編曲:ナカムラヒロシ(i-dep)]
    • I see world
      [作詞・作曲・編曲:ナカムラヒロシ(i-dep)]
初回限定盤DVD収録内容
  • 「ABC」MUSIC CLIP
  • ハピこしライブ!~小松未可子生誕イベント2013~ダイジェスト
  • 「虹の約束」リリースイベント@東京スカイツリータウン
小松未可子(コマツミカコ)

1988年11月11日、三重県生まれの声優、歌手。女優として活動する傍ら、2010年にアニメ「HEROMAN」の主人公ジョセフ・カーター・ジョーンズ役で声優としてのキャリアをスタート。2012年1月より放送のアニメ「モーレツ宇宙海賊」では主人公・加藤茉莉香の声を務め、4月には同アニメのイメージソング「Black Holy」で個人名義による歌手デビューを果たす。7月にはミニアルバム「cosmic EXPO」、11月7日に2ndシングル「冷たい部屋、一人 / 夏至の果実」を、2013年2月13日には1stフルアルバム「THEE Futures」をリリース。同7月には3rdシングル「終わらないメロディーを歌いだしました。」を、12月には4thシングル「虹の約束」を発表する。またその一方で2012年、2013年には埼玉・さいたまスーパーアリーナでの「Animelo Summer Live」に、2014年1月には東京・日本武道館での「リスアニ! LIVE 4 SUNDAY STAGE」に出演するなど、大規模フェスにも数多く招聘される。そして同年2月、自身が主演を務める劇場アニメ「モーレツ宇宙海賊 ABYSS OF HYPERSPACE -亜空の深淵」のイメージソング「Sail away」をリリース。同5月には2ndフルアルバム「e'tuis」を発表した。