ナタリー PowerPush - 片平里菜

メジャーデビューを前に明かす「これまで」と「これから」

福島在住の女性シンガーソングライター・片平里菜がポニーキャニオンからメジャーデビューを果たす。2011年に開催された「閃光ライオット 2011」をきっかけに、着実にステップアップを続ける彼女。今回の特集では彼女のパーソナリティをひも解くインタビューと、「閃光ライオット 2011」からメジャーデビューまでの軌跡をまとめた年表にて、彼女の魅力に迫った。

取材・文 / 西廣智一

音楽もギターも兄の影響

──小さい頃はどういう子供でしたか?

片平里菜(2012年11月、福島・猪苗代湖周辺で行われたアーティスト写真撮影の様子)

けっこう人見知りだったけど、おてんばで外で遊び回ってました。兄が一緒に遊んでくれていたから、男の子っぽい遊びもしてたかもしれないです。

──子供の頃ってお兄さんの影響がすごく強いですよね。

そうですね。小さい頃から真似ばっかりしてきたので。

──小さい頃から音楽は生活の中にあったんですか?

父が洋楽邦楽問わずなんでも聴く人で、CDをいっぱい持っていて。QUEENとかTHE BEATLESとか、そういう音楽が生活の中で流れてました。あと家にギターとか楽器もあって。

──子供の頃、どういうアーティストに興味がありましたか?

かわいい人が好きで。安室奈美恵さんとかモーニング娘。さんとか、よく真似してました(笑)。

──ああ、そういう世代ですよね(笑)。じゃあ自分で音楽をやりたいと思うようになったのは、いつ頃でしたか?

兄が中学生の頃にギターを弾き始めてバンドを組んで。それまで兄のやってることに自然と影響を受けてきたから、そこでもカッコいいと思って自分もギターを弾いてみたい、バンドをやってみたいって憧れるようになったんです。

──その頃片平さんっておいくつでした?

小学生です。

──それはかなり早熟ですね。じゃあ歌手になりたいって思い始めたのもその頃?

そうですね。兄がバンドをするのを観てたらいろんなロックを聴かされるようになって、そこから自分でもアヴリル・ラヴィーンとか女性シンガーソングライターにのめり込んでいって。自分で曲を作って歌って表現することに、強く憧れるようになったんです。

──アヴリルって楽曲の良さもあるけど、ビジュアルの部分もすごく派手ですよね。そういった面はどうでしたか?

あの頃はロックな女の子がカッコよく見えていた時期で、すごく憧れてました。で、アヴリルみたいになりたいと思って、とりあえず歌を練習するようになって。そのうちにライブをするようになって、曲を作っていくうちに自分の求めるアーティスト像も変わっていって、最終的には……今もすごく好きなんですけどアラニス・モリセットみたいなスタイルに憧れるようになったんです。アラニスからは音楽のスタイルとか考え方とか、すごく影響を受けてます。

──アヴリルやアラニス以外には、どんなアーティストを聴いてましたか?

中学生の頃はパンクとかメタルとかロックバンドばかり聴いてたんですけど、高校生になると歌手になりたいっていう思いが強くなって絢香さんとかSuperflyさんとかクリスティーナ・アギレラとか、女性シンガーを中心に聴いてました。

──じゃあ自分で音楽を作りたいと思うようになってからは、意識的に女性アーティストばかり聴いていた?

そうですね。こんなふうになりたいっていう憧れも強かったと思います。

18歳で「賞味期限が切れちゃう」と思った

──ちなみにギターを弾き始めたのはいつ頃?

本格的にギターをやろうと思ったのって、けっこう遅いんですよ。中学3年の終わりくらいに歌手になりたいなと思って、高校に入学してからボイトレにも通うようになって。最初はギターを持たずに絢香さんの曲を練習してたんですけど、オーディションを受けてもぜんぜん引っかからなかったんです。その頃「ライブがしたいな」って思うようになって、高校3年のときに家にあったアコースティックギターを触ってみて。そこからちゃんと練習をし始めたんですよ。

──じゃあオリジナル曲を作り始めたのはギターを覚えてから?

そうですね。それ以前も鼻歌とかで変な曲は作ってましたけど。

──でも曲作りはさすがにお兄さんに教わったりはしてないですよね?

教わってないです。兄も音楽をやってたから、ヘタクソって言われたくなくて兄の前ではギターも弾かなかったくらいですし(笑)。ギターも独学で、雑誌の「Go!Go! GUITAR」とかに載ってるギター譜でYUIさんの曲を練習して、そこでコードを覚えていきました。

──そして初ライブをしたと。

片平里菜(2012年11月、福島・猪苗代湖周辺で行われたアーティスト写真撮影の様子)

はい。高校3年の夏でした。初めてライブしたときはギターが弾けなさすぎて、ちゃんと弾ける子にギターを弾いてもらって私は歌に専念したんです。そのときはカバー曲だったんですけど、だんだんオリジナル曲も増えていって。

──昨年の夏に福島テレビで放送されたドキュメント番組(2012年8月放送の「きみこそみらい」)では、福島のライブハウスのスタッフさんが「1人でライブの出演交渉に来てた」と言ってましたが、そうやって積極的に動いていたんですか?

当時はそういうものなのかなと思ってたんですよ。その頃は女性の歌い手さんって若い人が多かったし、若いほうが注目されてるイメージも強かったので焦ってたのかな。18歳になって「あ、ヤバい。賞味期限が切れちゃう」と思って(笑)、いっぱいオーディションを探したりして。後悔したくないから、今できることをやっておこうと思ったんです。

デジタルシングル「始まりに」 / 250円(税込)/ 閃光レーベル
デジタルシングル「始まりに」
収録曲
  1. 始まりに

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片平里菜 (かたひらりな)

1992年5月12日生まれ、福島出身・在住のシンガーソングライター。2011年9月、「閃光ライオット2011」で1万組の中から審査員特別賞を受賞する。翌2012年にはソニーWALKMAN「Play You. Label」第1弾アーティストに抜擢され、山田貴洋(ASIAN KUNG-FU GENERATION)プロデュースのもと楽曲制作。7月にはメジャーデビュー前にもかかわらず「NANO-MUGEN FES.2012」に出演し、大きな話題を集めた。2013年1月にアジカン山田プロデュースによる楽曲「始まりに」を配信リリース。東北地区全6局でパワープレイに選出され、新人としては異例のレコチョクデイリーチャート2位獲得した。今年ポニーキャニオンからのメジャーデビューを控えている。