ナタリー PowerPush - DIR EN GREY

Die&Shinyaが明かす 激動の半年間と海外展開の意味

DIR EN GREYの最新DVD / Blu-ray「TOUR12-13 IN SITU-TABULA RASA」がリリースされる。本作は昨年末から今年前半のDIR EN GREYの姿を追ったドキュメント映像作品。2012年12月25日に東京で行われた「TOUR2012 IN SITU」最終公演から、6月に開催されたイギリスのロックフェス「Download Festival 2013」でのステージまで、彼らのライブとその舞台裏の映像、そしてメンバー5人のコメントを通じて、音楽に取り組む姿勢が浮き彫りにされている。

今回のインタビューではDie(G)、Shinya(Dr)に本作を制作した理由、2年ぶりとなった海外ライブの手応え、そして2人が考える「DIR EN GREYの海外展開」についてじっくり話を聞いた。

取材・文 / 西廣智一

2012年、2013年はすごくドラマチックな展開が続いた

DVD / Blu-ray「TOUR12-13 IN SITU-TABULA RASA」のワンシーン。

──DIR EN GREYは昨年夏にもドキュメンタリー映像作品(「TOUR2011 AGE QUOD AGIS Vol.1 [Europe & Japan]」「TOUR2011 AGE QUOD AGIS Vol.2 [U.S. & Japan]」)をリリースしているので、今回の「TOUR 12-13 IN SITU-TABULA RASA」を観たときに、特典ディスク含めて約4時間というそのボリュームに驚かされました。

Die(G) そうですよね。実は「DUM SPIRO SPERO」(2011年8月発売のアルバム)を制作する段階で、いろいろな場面を長期的に映像に収めていこうと決めたんですけど、その映像をどこで区切っていくのかまでは考えてなかったんです。実際ここまでいろんなことが起こって、それをきっかけにいくつかに分けて出すことになったんですけど。

──確かにこの1、2年のバンドを取り巻く状況は「激動」という言葉がピッタリでしたもんね。

Die まるでドキュメント作品を作るのを予知してたかのようにね(笑)。まあバンドとしてもトラブルやハプニングが続いたことで、精神的に強くなったというのはそれぞれあると思いますよ。

──そのトラブルやハプニングを経験して、改めて思ったことって何かありましたか?

Die これだけ長い間、同じメンバーで活動していると、これからもいろんなことが起こるんだろうなと。今回は京が喉を壊しましたけど、この先別のメンバーが怪我や病気をする可能性もあるんで、そういったことに動じずにしっかり前を見据えて待つというか。いつでも心の準備ができるようになろうと、自分は思いましたね。

──Shinyaさんはいかがですか? これだけ激しい曲でドラムを叩き続けるのは、やはり体力的にもかなり大変だと思いますが。

DVD / Blu-ray「TOUR12-13 IN SITU-TABULA RASA」のワンシーン。

Shinya(Dr) そうですね、ちょっとぐらいの不調なら、そのままやり続けると思うんですけど……まあ、そういったもしものことはあんまり考えないようにしてます。

──正直、昨年発売されたドキュメンタリー作品を観て、DIR EN GREYの海外での活動をある程度わかったつもりになってたんですけど、今作を観たときに今まで見えてなかった部分や皆さんが感じていることがダイレクトに伝わってきて。新たな発見が多い作品だと思います。

Die 前作はいろんなことが起きる直前までをまとめた作品でしたよね。それ以降の2012年、2013年はすごくドラマチックな展開が続いたので(笑)、そういったことを通じて自分たちがだいぶ変わったと思うんですよ。そこがうまく収められてるんじゃないですかね。

以前までのイメージをガラッと変えたかった

DVD / Blu-ray「TOUR12-13 IN SITU-TABULA RASA」ジャケットのアートワーク。

──今作はまず最初にジャケットのアートワークに驚かされました。明らかに今までとは違う路線で、とても記号的なデザインですし。これはグラフィックデザイナーのKamikeneさんのアイデアだったんですか?

Die そうですね。自分たちからこういうアイデアってなかなか出てこないんで。ジャケットしかりドキュメント映像の内容しかり、以前までのイメージをガラッと変えたかったんです。ドキュメントの監督さんとは今回初めて一緒に仕事したんですけど、だったらすべてにおいて新しいことに挑戦してみるのもいいんじゃないかなってことで、今までのDIR EN GREYらしくないジャケットになって。これはデザイナーさんが思うDIR EN GREYのイメージっていうんですかね。

Shinya そうですね。

Die そのイメージを表現してもらって。バンド名がわかりにくいところに載ってるあたりにも、実はデザイナーさんと自分たちの間には意味があるんですよ。

──監督が替わったと言いましたが、確かに前作にはあったナレーションが今作ではなくなったり、テロップも必要最低限に抑えていたり、観たときに違いは感じていました。

DVD / Blu-ray「TOUR12-13 IN SITU-TABULA RASA」のワンシーン。

Die やっぱり自分たちと気の知れた監督さんとだと、カメラが回っていてもどうしてもリラックスしてしまって、あとからカットすればいいかぐらいの考えなんですけど、今回は初めて会った人やから自分たちもその監督さんがどういう人かわからない。ちょっと距離感があるわけですよ。その距離感がだんだんと縮まっていくのも、この作品の中において1つのストーリーになってるというか。そういう意味では、DIR EN GREYのことを知らない人が観てもどういうバンドなのかわかってもらえるような、わかりやすいものになったんじゃないですかね。

──なるほど。Shinyaさんは今回とそれ以前とでは、撮影で違いを感じましたか?

Shinya 監督さんがどんな人かもわからないまま撮影が始まったんで、最初はカメラを持って近付いてくると、俺はすごい逃げてました(笑)。

Die あははは(笑)。

Shinya 本当に映らないようにしようと思って。でも撮影が終わってから、わりと話すようになったんですけど(笑)。

ドキュメント映像作品「TOUR12-13 IN SITU-TABULA RASA」 / 2013年9月25日発売 / FIREWALL DIV.
初回限定盤 [DVD3枚組] / 8800円 / SFBD-0042~4
通常盤 [DVD2枚組] / 7140円 / SFBD-0045~6
通常盤 [Blu-ray Disc] / 8190円 / SFXD-0004
通常盤
<DVD>

DISC 1:ドキュメント映像(約105分)
DISC 2:LIVE映像(約110分)

<Blu-ray>

ドキュメント映像・LIVE映像(約215分)

TOUR2012 IN SITU 12.25 東京国際フォーラム・ホールA
  • 狂骨の鳴り
  • DIABOLOS
  • LOTUS
  • 凌辱の雨
  • 冷血なりせば
  • VANITAS
  • 激しさと、この胸の中で絡み付いた灼熱の闇
TOUR2013 IN SITU -The Depiction of Reality- 2.01 新木場STUDIO COAST -「a knot」&ONLINE only-
  • DOZING GREEN
  • LIE BURIED WITH A VENGEANCE
  • THE IIID EMPIRE
  • C
  • Machiavellism
TOUR2013 TABULA RASA 5.16 新木場STUDIO COAST
  • 狂骨の鳴り
  • DIFFERENT SENSE
  • Unknown.Despair.Lost
  • 輪郭
  • Bottom of the death valley
  • INWARD SCREAM
  • かすみ
  • Unraveling
  • THE FINAL
MINI ALBUM『THE UNRAVELING』【完全受注生産限定盤】購入者限定LIVE TOUR2013 TABULA RASA -揚羽ノ羽ノ夢ハ蛹- 5.24 渋谷公会堂
DOWNLOAD 6.14 Donington Park -Derby / UK-
  • OBSCURE
初回限定盤付属DVD

LIVE映像 (約30分)

TOUR2012 IN SITU 12.25 東京国際フォーラム・ホールA
  • Deity
TOUR2013 IN SITU -The Depiction of Reality- 2.01 新木場STUDIO COAST -「a knot」&ONLINE only-
  • 蝕紅
  • 艶かしき安息、躊躇いに微笑み
  • CLEVER SLEAZOID
TOUR2013 TABULA RASA 5.16 新木場STUDIO COAST
  • 蜜と唾
  • CONCEIVED SORROW
  • 霧と繭
DIR EN GREY(でぃるあんぐれい)

京(Vo)、薫(G)、Die(G)、Toshiya(B)、Shinya(Dr)からなる5人組バンド。1997年に現メンバーがそろい「人間の弱さ、あさはかさ、エゴが原因で引き起こす現象により、人々が受けるさまざまな心の痛みを世に広める」という意志の元に結成。ミクスチャー / ヘヴィロック的な要素をゴシック的な様式美の中で表現する世界観が評価され、日本のみならず海外でも大ブレイク。2002年にアジアツアーを成功させたのを機に、アメリカ、ヨーロッパ各国にも進出し、熱狂的なファンを多数獲得する。2008年にアルバム「UROBOROS」を世界16カ国で同時期にリリース。同作はアメリカのBillboard Top 200で114位、インディーズアルバムチャートBillboard "TOP INDEPENDENT ALBUMS"で9位、新人アーティストを対象としたチャートBillboard "Heatseekers Chart"で1位という快挙を達成する。その後、2008年末から2010年にかけて「UROBOROS」を携えたライブツアーを国内外で展開。2010年1月に日本武道館公演を2日間にわたり開催し、ロングツアーを締めくくった。2011年8月には約3年ぶりのアルバム「DUM SPIRO SPERO」をリリース。発売直後からヨーロッパや北米、中南米などで海外ツアーも行った。2012年1月には大阪城ホールで「UROBOROS -that's where the truth is-」と題した一夜限りのライブを敢行。しかし2月からは京の声帯不調を理由に表立った活動を休止していたが、10月よりライブ活動を再開。同年12月にはニューシングル「輪郭」、翌2013年4月にはミニアルバム「THE UNRAVELING」をリリースした。同年6月には2年ぶりとなるヨーロッパツアーも実施。この海外公演や2012年末の国内ライブの様子を収めたドキュメンタリー作品「TOUR12-13 IN SITU-TABULA RASA」が、2013年9月に発売される。