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これが私の生まれてきた意味 「W.W.D」3万字インタビュー

でんぱ組.incが2013年第1弾シングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」をリリースした。「W.W.D」は前山田健一がプロデュースを手がけ、メンバー6人の暗い過去から現在に至るまでの姿を赤裸々に描き出した“ドキュメンタリーソング”。かせきさいだぁ+木暮晋也のタッグによる「冬へと走りだすお!」とともに、グループの新しい一面を切り開いた意欲的なシングルとなった。

ナタリーではこのシングル発売を記念して、初の特集企画を掲載。“プロインタビュアー”吉田豪を聞き手に迎え、彼女たちのパーソナリティを掘り下げるロングインタビューを行った。約3万字におよぶテキストから浮かび上がる6人の個性を、じっくりと味わってもらいたい。

取材・文 / 吉田豪 インタビュー撮影 / 上山陽介

 
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【生きる場所なんてどこにもなかった】でんぱ組.inc「W.W.D」Full ver.

歌詞を見て「なんでこんなにバレてるんだろう」って

左から夢眠ねむ、相沢梨紗、古川未鈴、藤咲彩音、最上もが、成瀬瑛美

──ナタリー初のでんぱ組.inc特集ということで。

全員 ワーッ! ありがとうございます!

──今日はニューシングル「W.W.D」がいかに素晴らしいかっていう話をしましょう!

成瀬瑛美 おっ! シャキッ!

──「W.W.D」はメンバーそれぞれの実体験を前山田健一さんがそのまま歌詞にしたすごい曲ですけど、皆さん最初に聴いたとき、なんだこれって思いますよね。

夢眠ねむ 私もなんだこれって思いました。

相沢梨紗 メロディが来る前に歌詞が来たときに、どうなっちゃうんだろうって思いましたね。すごく歌詞が長いし、セリフがめちゃめちゃ入ってたんで、どこまでどうやって歌ったらいいんだろう。で、なんでこんなにバレてるんだろう、みたいな。

──1回、新宿ロフトプラスワンで前山田健一さんやもふくちゃんや畑亜貴さんやボクも一緒にでんぱ組のイベントをやりましたけど、あそこで聞いた話がかなりフィードバックされてる気がして。

古川未鈴 確かにあそこでちょっとしゃべったね。

夢眠 しゃべったね。

古川 私が泣いたときか。

──そうです。謎の泣き方をしたときですよ。トイレって言うのが恥ずかしいから隠語を使ってるってバラされて泣いたとき(笑)。

藤咲彩音 あった!

相沢 あれはひどいね(笑)。

最上もが もっと泣かしていこう、みたいな。

古川 いや、なんか決定打を畑亜貴さんが言ったんですよ。ワーッて思って、どうしていいかわかんない、みたいな。

初対面の人にはハードルが高すぎる

──あのときに、皆さんの過去を話したじゃないですか。

夢眠 それプラス、もふくちゃんが前山田さんと話して、あの子らはこうなんですよ、みたいなのをうまく。

古川未鈴

古川 歌詞にまとめてもらって。

夢眠 真実しか入ってないという。

古川 そう、偽りのない歌詞で。

──事情を知ってる人間が聴いたら、こりゃ泣くわっていう曲でしたよ。

夢眠 初対面の方に言うことじゃないことばっかり入ってると思うんですよ。

──そうですね。なんの知識もない人がいきなり聴く曲としては……。

夢眠 ハードルが高すぎる(笑)。

──でもインパクトとしては最高ですよ。いわゆるアイドルポップで「いじめられ 部屋にひきこもっていた」ってフレーズから始まる曲って、なかなかないじゃないですか。

夢眠 ない! ポップって言えないもん(笑)。

藤咲 全然ポップじゃない(笑)。

古川 大丈夫だよ、いろいろタイムリーだから。

夢眠 イジメは常にタイムリーだよ。

古川 そうなんだけど、最近改めて問題になってる。そんな時代だからこそ歌う意味があるんじゃないかな、なんて思ったりもするんで。

大人が作ったわけじゃないドラマがある

──ボクは、よくでんぱ組を「スクールカースト最下層からの逆襲」みたいな言い方をするんですけど。

藤咲 ホントにそうなんですよ。

古川 スクールカーストって?

──学校がカースト制度だとすると、そこの一番下にいる人たち。

古川 あっ!

夢眠ねむ

夢眠 教室の隅っこでマンガ描いてた、みたいな。

相沢 そもそも教室にいないっていうのもある。

古川 私、保健室にいた。

夢眠 私、この中ではスクールカーストは上だったかも。

古川 そういう感じはします。いじめてくるし……。

夢眠 いじめてくるしってやめてよ!

──でんぱ組内でもイジメがあるわけですね(笑)。

夢眠 イジメについて掘り下げるのは変なんですけど、卑劣なイジメじゃなくて、私は愛情を持ったイジリです。そこらへんを理解していただかないと。盛り上げてる側なんで。

古川 はい、そうですね。でも、たまに結構鋭いのが来るんですよ。

夢眠 私はいじめっ子側かもしれないぐらい未鈴をイジっちゃうんですけど。でも、だからこそ学生時代は誰とも仲良くならなくて、逆に孤独だったんで。フラットに見れば下だったのかな?

──「W.W.D」では、そんなでんぱ組の関係性がそのまま歌になってるわけですけど。

夢眠 お芝居部分が一番関係性が出てますね。6人グループで2、2、2になって。

──それそれ、ちゃんとドラマがあるっていう。

夢眠 大人が作ったわけじゃないドラマっていうのがすごいなっていうか。

ネトゲ廃人に憧れてた

──まずは未鈴さんと最上さんがネットゲームで敵同士だった話から始まって。

最上 敵同士でしたね。

古川 敵同士で戦ってました。

夢眠 結構すごい確率なんですよね。

古川 何万人? 何十万人? とかいる中の、12個ぐらいあるサーバで同じサーバにいて、同じ廃人ギルド界隈にいたっていうことがわりと奇跡的な。

──まずその廃人ギルドの説明をしてほしいんですけど……。

古川 ああ、そうか。

最上 ネット上で代表的ギルドみたいなのがバーッて話題になるんですけど、未鈴ちゃんのギルドと自分のギルドは必ず話題にあがっていたんです。

古川 有名ってことだよね。

──ハマりすぎてる、ちょっとどうかしてる人たちがやってるグループだった、と。

古川 文字のとおり、灰になった人が多いってことです。

夢眠 灰になった人じゃないよ、廃人は。

古川 ……そうなの?

──違いますよ(笑)。

古川 ああ、わかってるんです!

最上 ネトゲ用語的に廃人っていうのは高い位の人っていう、リスペクトの廃でもあるので。ネトゲ内で「あの人、廃人だよね」みたいなのは、尊敬して言ってたりもします。

──あ、そういうものなんですか?

夢眠 ダメすぎてるっていうか、いきすぎてるんだよね。

最上 いきすぎてる。なんでも追求しすぎちゃった人のことを廃人って言ってましたね。

夢眠 確かにオタクで廃人は結構ほめ言葉かもね。

古川 だから実は廃人ギルドって言われるのはうれしかったよね。

最上 うれしかったし、憧れてましたね。自分が廃人って言われたいなって思ってました。

夢眠 わかる。やるからには、にわかで止まってるよりは全然いいよね。

成瀬 「ニワカ乙」って感じだもんね。

うまく話すまでに2年強

最上 えいたそは、にわか系だったんでしょ?

成瀬 えっ? ううん、ちょっとマイナーゲーで。その中でも強かった。

──同じゲーム好きでも微妙に違うわけですね。

成瀬 もがちゃんと未鈴ちゃんがやってたのはすごくメジャーな作品なんですけど、私はあんまり人気のないネトゲにハマってたんで、周りで話せる人がいなくてちょっと残念。だから2人がうらやましい。

夢眠 私、結構最初のほうからでんぱ組にいるんですけど、未鈴ちゃんとうまく話すまでに2年強かかってるんですよ。

──そんなにですか!

夢眠 普通に話せるけど、こう近寄ったらスッと身体を引かれるのが1年ぐらい続いて。

──それはPTSD的なものでしょうね。

古川 そんな距離が近いのがあんまり好きじゃなかったんで……。

夢眠 これはイジってるんだっていうのをわかってくれるまでもかなり時間がかかったんですけど、もがちゃんが入ってきたときの打ち解け方が異常だったんですよ。

古川 ゲームの話ができる子が初めてだったんですよ、でんぱ組で。

夢眠 心からの笑顔を見せてたから、私たちの2年以上はなんだったんだ、ぐらいの。

古川 だって私、趣味のことぐらいしかしゃべれないんですよ。で、ずっとしゃべれなくて。でもしゃべりたくないとか、そういうことじゃないんですよ。

──同じレベルでゲームの話をできる人がいなかったわけですよね。

古川 私がやるようなゲームと違うから、あんまり話せなかったんですけど。もがちゃんの登場によって趣味の話が存分にできることに気付いたので、すごい楽しかったです。

相沢 過去形にされた立場は……。

夢眠 それでちょっとショックな時期があったんですよ。

相沢 未鈴ちゃん、ウチらにあんなに話してくれたっけって。

成瀬 ユニットも組んでたのにな、みたいな。

相沢 そう、ゲームアイドルユニットだったな、みたいなさ。

夢眠 だからちょっと悔しいところもあったんですけど。まあ、運命的な感じだからしょうがないかなって。

古川 わりと運命ですね。

ニューシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」 / 2013年1月16日発売 / TOY'S FACTORY / MEME TOKYO
初回限定盤A[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89414
初回限定盤B[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89414
通常盤A[CD+DVD] / 1500円 / TFCC-89416
CD収録曲
  1. W.W.D
  2. 冬へと走りだすお!
  3. W.W.D(Off vocal)
  4. 冬へと走りだすお!(Off vocal)
初回限定盤A DVD収録内容
  1. W.W.D(Music Clip)
  2. W.W.D(Music Clip メイキング映像)
  3. 第1回でんぱ組.inc 台湾観光案内
初回限定盤B DVD収録内容
  1. 冬へと走りだすお!(Music Clip)
  2. 冬へと走りだすお!(Music Clip メイキング映像)
  3. W.W.D(Music Clip Dance shot ver.)
でんぱ組.inc (でんぱぐみいんく)

古川未鈴(みりんちゃん)、相沢梨紗(りさちー)、夢眠ねむ(ねむきゅん)、成瀬瑛美(えいたそ)、最上もが(もが)、藤咲彩音(ピンキー)からなる6人組アイドルユニット。2008年の結成後、秋葉原のライブ&バー「秋葉原ディアステージ」をホームグラウンドに精力的なライブ活動を展開する。2011年11月からはTOY'S FACTORYともふくちゃんの共同設立によるレーベル「MEME TOKYO」に所属。同年12月に1stアルバム「ねぇきいて?宇宙を救うのは、きっとお寿司…ではなく、でんぱ組.inc!」をリリースし話題を集める。メンバーはそれぞれゲーム、アニメ、コスプレなど秋葉原オタクカルチャーに造詣が深く、趣味を生かした課外活動でも知られる。2013年1月16日にニューシングル「W.W.D / 冬へと走りだすお!」をリリース。