コミックナタリー Power Push - モリタイシ
ヒロイン造形から読み解く魅惑のモリタイシワールド
お題ひとつで、キャラが自由演技
──魅力的な女の子キャラが作られていく過程は見えてきました。今度はマンガの中で、彼女たちをどう動かしていくのかを教えてください。
正直、僕は話を考えるのはあまり得意ではないんです。だからその分キャラクターの造形をきっちりやろう、っていう思いでやってますね。ネームを描くとき、ストーリーを考えるというよりは、その回のお題と、あと最後のオチは決めておくんです。例えば「今回は花粉症」とか。で、頭とオチの間はもう、キャラクターたちの自由演技に任せるというか。
──キャラの自由演技! すごくモリさんのマンガを表してる感じのフレーズです。
「いでじゅう!」のときは特にその感じが強かったです。毎週締め切りが来て、それだけをやってるからどんどん純度が高くなってく。ほっといてもキャラが動いてくれる感覚が当時はありました。今は月刊ペースですし、「まねこい」と「あすかショー」の同時進行なんで、そこまではいかないだろうなと思うんですけど。
──作画的な部分で意識していることはありますか。
安易に記号に頼りたくないというのはあります。目が丸くて大きくて、とか、メガネっ子だとか、髪形はツインテールとか、記号を組み合わせていけば割合それで可愛くなるもんだと思いますし、マンガ表現ならではの可愛さもあるとは思うんですけど、個人的には記号としての表現ばかり使っていても、描いていてあんまり楽しくないんですよね。そういう属性ではない部分でキャラの差別化を図れたらな、とは常に思っています。
──女の子の体型とか、細かく描き分けられてますよね。
そこはかなり意識してますね。マンガによっては、出てくるどのキャラも体型が同じとかあったりするじゃないですか。描き分けたとしても胸のサイズだけで全体的な肉感はあんま変わらなかったりとか。あれって作者の本来の好みが反映されてるんだと思うんです。けど、胸が大きい人は全体的に体格がしっかりしてるはずだし、胸を支える部分の肉付きも変わってくる。小さくて全体的にぽっちゃりしてる人もいるし、足が長い人もいれば短い人もいる。そういうのをかっちり描き分けていきたいな、と。まあ半分趣味みたいなもんなんですけど(笑)。
──ちなみに今まで描いてきたヒロインで、モリさんが一番好きな体型なのは?
どれももちろん可愛いと思って描いてきたんですけど、実は今までのヒロインは、ド真ん中の自分のタイプじゃないんですよ。少年誌のヒロインだからあんまり自分の好みに走りすぎるとマニアックすぎて、読者の方が引いてしまうんじゃないかと思って、そこは我慢してます(笑)。
──え、じゃあモリさん的にドンピシャなキャラは誰なんですか?
ドンピシャなキャラは、「RANGEMAN」で脇役にちょっと出した、桜井ユキっていうぽっちゃりしたウエイトレスの子とか……。
──なるほど。確かにあの手のキャラはどの作品にもどこかしら出てきますよね。
これはもう、自分のストレス解消というか。友達なり脇役なりで出して、描いてて楽しいなーと。で、がんばって細い子描くぞ、と思ってヒロインを(笑)。ちなみに「まねこい」1巻のカバー裏の表紙を見ていただくと、僕の好みがよくわかると思います、はい。
モリタイシ直筆色紙プレゼント!
このインタビューのために描き下ろしていただいた2枚の色紙を、それぞれ1名様にプレゼントいたします。希望する方は本文に氏名と連絡先メールアドレス、希望のキャラクター(「ホンチー」か「あすか」)をご記入の上、「モリタイシ色紙プレゼント」という件名で comic_present@natasha.co.jp までメールを送信してください。
応募受付は2010年3月18日(金)必着(応募は1人1回のみ)。当選者にはこちらからメールでご連絡します。
あらすじ
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モリタイシ
三重県出身。1999年に「ちょんまげ番長」で週刊少年サンデー(小学館)の新人マンガ賞「まんがカレッジ」入賞。翌2001年に週刊少年サンデー超(小学館)に掲載された「招福祈願ダルマイト・ガイ」でプロデビューを果たした。代表作は「いでじゅう!」「RANGEMAN」など。現在、2009年5月に創刊したゲッサンで「まねこい」を、2009年8月に創刊した月刊!スピリッツ(ともに小学館)で「今日のあすかショー」を連載中。