コミックナタリー Power Push - モリタイシ

ヒロイン造形から読み解く魅惑のモリタイシワールド

モノローグのないヒロイン

「まねこい」のニューヒロイン、小南奈波。

──そして「まねこい」には最近、もうひとりのヒロイン、小南奈波が登場しました。

この子はホンチーと対比したいなと思って作りました。ホンチーは足とかもスラッとしたスレンダー体型ですが、この子は典型的な日本人体型というか、胸はさほどないけどぽっちゃりしてて、下半身が大きめっていう。女の子にとってはコンプレックスになるんじゃないかなっていうくらいの体型ですが。

──でもこういうのが好きな男の人って結構いると思うんですよね。

わかります(笑)。奈波は、もともと別のマンガで主人公にしようと考えていたキャラなんですけど。奥手のフリをしているけど、内心は恋愛に興味津々な女の子。表向きは大和撫子に憧れ、そうありたいと思っているけど、裏ではエロいことを考えちゃう、っていう。「純潔少女」ってタイトルを考えてどっかでやりたいと思ってたんですけど、ちょっとテコ入れにもうひとりヒロイン入れたいな、じゃあこの際だから出しちゃえ、って。

──その狙いどおり、奈波が出てきてから展開が広がった気がします。

ただ奈波ってホンチーに比べてヒロインキャラとして有利すぎるというか、招き猫も付いてるし、モノローグもいっぱい喋るんですよ。内面をしっかり描写するキャラってやっぱ強いんですよね。

──言われてみれば、ホンチーにはモノローグがないんですね。

仕事場で語るモリ。パソコンからは常にBGMが流されていた。

連載開始のときに自分で縛りを作ったんですよ。ヒロインは得体の知れない感じにしたほうが面白いかなと思って、ホンチーにはモノローグを喋らせないことにしたんです。実際の生活だって、相手の考えていることなんてわかんないじゃないですか。なので、読者にとってもホンチーが何を考えているかわからないようにしたほうが、リアルな魅力というか、攻略感が出るんじゃないかと思って。と、やり始めてみたものの、今後この2人のキャラがヒロインとしてどういうバランスになっていくのかは、正直、今んとこ自分でもわからないです。

──奈波の招き猫、ジュリアンニャも魅力的なキャラですよね。

「奈波にどんなパートナーがいたら面白いかな」と考えていたら、担当の市原さんから「峰不二子的なキャラが面白いんじゃないか」と言われて、なるほどな、と。奥手のフリをしてる女の子にリアル肉食系女子を付けたら、実は恋愛に興味津々な内心が暴かれて、恥ずかしがるところが描けるんじゃないかと。

──かなりセクシーなビジュアルですが、モデルはいるんですか?

グラビアアイドルの松本さゆきさんっていう……すんごいんですよスタイルが。身長が172cmもあって、胸が大きくてお尻が大きくて手足が長くて腰がくびれてて、みたいな。「エロい」って概念を形にしたらこうなるんだな、ってくらいの。

モリタイシ『まねこい』(1) / 発売中 / 460円(税込) / 小学館 / ゲッサン少年サンデーコミックス / ISBN:978-4-09-122099-8

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あらすじ

ごく普通の高校生・薗田波留が初めて恋をしたのは、全男子生徒憧れの完璧な女の子・本田千華子! 初恋を諦めきれない波留の元に、願いを叶えてくれるという招き猫・招木猫太郎が登場!! 不思議なアイテムを持ち出して波留を応援する猫太郎のサポート(?)の元、波留の初恋は実るのか?

モリタイシ『今日のあすかショー』(1) / 2010年夏発売予定 / 小学館

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あらすじ

水着で台風の町を歩いたり、怪しげなアルバイトで男たちを癒したり、独自の理論で常に周囲のななめ上を行き、図らずも男たちをメロメロにしちゃう魅惑の中学3年生・京野あすかの日常を描いた、美少女観察記。

モリタイシ

プロフィール写真

三重県出身。1999年に「ちょんまげ番長」で週刊少年サンデー(小学館)の新人マンガ賞「まんがカレッジ」入賞。翌2001年に週刊少年サンデー超(小学館)に掲載された「招福祈願ダルマイト・ガイ」でプロデビューを果たした。代表作は「いでじゅう!」「RANGEMAN」など。現在、2009年5月に創刊したゲッサンで「まねこい」を、2009年8月に創刊した月刊!スピリッツ(ともに小学館)で「今日のあすかショー」を連載中。