映画「黒執事」

山本美月が語る原作マンガへの愛

山本美月(リン役)インタビュー

リンを演じられることがうれしかった

山本美月演じるドジっ子メイドのリン。

──山本さんは原作の大ファンということですが、リンという役のオファーを受けたときの感想からお伺いできますか。

もう素直にうれしかったです。「黒執事」って踏み入れてはいけないような領域だと思っていたんですが、この実写版って、原作の出版社も映画化を許諾してくださったから実現したことだと思うので、リンというキャラクターを演じてもいいよって、認められたことが本当にうれしかったです。

──枢先生は山本さんが演じられたリンについて、何かおっしゃってましたか?

いや、もう怖くて聞けないですよ(笑)。

──原作とは舞台が異なるオリジナル脚本でしたが、不安や期待などありましたか。

最初はすごく不安だったんですけど、初号(試写)を見たときに、こんなにも完璧な映画になっているのかとびっくりしました。台本を読んだときは、これを映像化するのはちょっと難しいんじゃないかとも思ったんですが、実際映像で見てみると流れるようなスピード感で、すごく見やすかったです。

──具体的にはどんなシーンが難しいのではと思われたんでしょう。

台本を読む限りだと、彩芽ちゃん演じる幻蜂清玄が事件を解決していく流れが、ちょっとゆっくりになってしまうんじゃないかと思ったんです。でも実際にはとてもスピーディーで驚きました。

原作を読んだとき、メイリンがスナイパーだと分かるシーンに衝撃を受けた

──原作ファンとして、映像化にあたり何かリクエストはあったんでしょうか。

一切リクエストはしていないです。本当にセバスチャン以外、完全にオリジナルの作品なので、素直に製作サイドさんにお任せして。

山本美月

──リンは原作のキャラクターからインスパイアされたキャラクターですが、演じるときに原作のキャラクターを特に意識したポイントはありましたか?

うーん、そうですね……忠誠心が強い部分だったり、セバスチャンのことを慕っているところなんかは意識してました。特に気をつけて演じたのは、リンが機関銃の名手だとわかるシーンです。私、原作を読んだとき、使用人の正体が分かったシーンに本当に衝撃を受けたので。結構巻数が進んでから明らかになるじゃないですか。

──8巻ですね。

そうそう。最初からなんとなく匂わせて「やっぱりね」っていう展開じゃなくて、そんな先までその展開をとっておくなんて! 8巻までいかないで終わるマンガなんていくらでもあるのに。この展開、枢先生は最初から考えてたんですかね?

──お聞きしてみたいですね。

本当に! なので、私が受けたズシッとくる衝撃を、映画を見る方にも与えられたらいいなと思っています。

──ドジっ子メイドが実は……いうギャップを。

はい。なので、本当は予告映像でもそんなにリンのアクションシーンを流してほしくないくらい(笑)。

──ははは(笑)。確かに原作はこういったどんでん返しが多いですよね。ただのか弱い女の子だと思っていたリジーが、実はものすごく強かったり。

そうなんです。そういうところも「黒執事」の好きなところのひとつですね。

原作のイラストを見ながらの衣装合わせ

──リンのアクションシーンでは、どんな演技指導がありましたか?

山本美月

私は原作を読んで、スイッチが入った途端に声が低くなるっていうのをイメージしていたんですけど、監督には「動きは機敏になっても、声のトーンはそのままで」って言われました。リンはあえてリンらしい、必死さを残したいからという理由で。

──確かに動き以外は普段のリンとあまり変わりがなかったですね。印象的だったのは、機敏に動き出すときにスカートをパッとめくりあげる仕草でしょうか。とても華麗な動きでカッコよかったです。

あれはまさに、原作シーンをプリントアウトして衣装合わせをしたんです。この通りに再現しようと。難しかったですけど、衣装さんがすごくがんばってくださって、見事に再現していると思いました。紐をヒュッて引っ張ったら裾がパッと上がるようになってるんですけど、引っ張るのも最初はもたついちゃったりして苦労しました。こなれてる感を出したかったので、その紐がどこにぶら下がってるのか把握しとかなきゃいけないし。あれは結構練習しました。

──初めてのアクションということで、色々と練習も大変だったと思います。

最初はマット運動から始まって、銃の構え方だったり色々やりましたね。

──基礎からみっちりやられたんですね。

ケガしちゃうので、やっぱり受け身を取るのが大事なんです。飛び込んでからの受け身、とかいろいろやりましたね。丸々2日間動きっぱなしで、充実してました。

映画「黒執事」2014年1月18日(土)新宿ピカデリーほかにて全国ロードショー

映画「黒執事」

執事の名はセバスチャン。知識と実力、品格と容姿を兼ね備え、非の打ち所があるとすれば性格の悪さだけという、万能にして忠実な執事。仕える主人は、巨大企業の若き総帥にして、幻蜂(げんぽう)家当主、幻蜂清玄(きよはる)伯爵。実は女であることを隠して生きる男装の令嬢で、その過去に壮絶な傷を抱えていた。2人をつなぐもの、それは命と引き換えの絶対的な主従関係。
そんなただならぬ関係の2人だが、実は東西で対立する分断された世界で、世界統一を目指す西側諸国女王の諜報員、「女王の番犬」という裏の顔を持つ。ある日、東側諸国で起きている、大使館員の“連続ミイラ化怪死事件”の解決という密命が下された。現場に残されたのはタロットカード。時同じくして、街から少女たちが失踪する出来事が起きていた。世界を巻き込む事件の黒幕の目的とは、そして事件の犯人は……!?

出演:水嶋ヒロ、剛力彩芽、優香、山本美月、大野拓朗、栗原類、海東健、ホラン千秋、丸山智己、城田優、安田顕、橋本さとし、志垣太郎、伊武雅刀、岸谷五朗

原作:枢やな(スクウェア・エニックス「月刊Gファンタジー」連載)
主題歌:ガブリエル・アプリン「Through the ages」(ワーナーミュージック・ジャパン)
監督:大谷健太郎、さとうけいいち
脚本:黒岩勉

(c)2014 枢やな/スクウェアエニックス
(c)2014 映画「黒執事」製作委員会

山本美月(やまもとみづき)

1991年7月18日生まれ。福岡県出身。2009年第1回「東京スーパーモデルコンテスト」でグランプリを受賞し、雑誌CanCam(小学館)の専属モデルとしてデビュー。2011年、ドラマ「幸せになろう」で本格的に女優デビューをする。主な出演作に、TVドラマ「SUMMER NUDE」「安堂ロイド~A.I. knows LOVE?~」などに出演。2014年は「僕のいた時間」に出演。映画出演作としては「桐島、部活やめるってよ」「絶叫学級」「男子高校生の日常」などがある。


2014年1月17日更新