宇宙を舞台にした百合を描きたいんです！（橘田）

さと　橘田さんがやってらした百合マンガの紹介番組で、「私の考えた百合SF」みたいのを観たんですけど。

橘田　あ、「スペースゆりップ」ですね。

さと　男の人がいなくなった世界で、子孫を繁栄させるために……っていう。

橘田　そうです。女の子2人で「メメッツフラワー」っていう花を食べると子供ができる、っていう設定で。それを求めて、「スペースゆりップ」という宇宙船で旅をする女の子たちのお話です。スタッフさんたちに話したら、「ぜんぜん意味わかんない」ってこき下ろされたんですけど（笑）。

さと　あはは（笑）。

橘田　でも私、宇宙の百合を本当に描きたいんです。いや、私は描けないんですけど（笑）。無重力だといろんな液体が浮くじゃないですか。だから涙にしろ、女の子同士のイチャイチャで出てくる液体にしろ（笑）、すべてが綺麗にキラーンって見えるんじゃないかなって思って。

さと　少女マンガっぽい、キラキラしたエフェクトみたいな。

橘田　そうそう、その綺麗な感じが見てみたくて。ずーっと百合好きの友達と、朝から晩まで考えてたのに、スタッフさんには不評でした……。

さと　でも確かに、宇宙を舞台にした百合作品って見たことない気がしますね。

橘田　私も新しいと思ってたんですけど、そしたらほかの百合作家さんで、宇宙が今アツい！っておっしゃってる方もいらしたみたいで。私だけじゃなかった！（笑）

さと　あれ、こんなところになぜか紙と鉛筆が（笑）。じゃあ描きますか、「スペースゆりップ」。

橘田　えー！ 描いてください！

さと　どういうイメージなんでしょうか。もうちょっと教えていただけると。

橘田　えっと、こう、宇宙があって……。で、地球から遠く離れたこのメメッツ星という星に、メメッツフラワーが咲いていて。

さと　メメッツフラワーはいっぱいあるんですか？

橘田　1個しかないんです。だから1組のカップルしか食べられないんですよ。

さと　なるほど。これは宇宙船ですか？

橘田　はい。乗組員が「あ、あれだ！」って発見しているみたいな。

さと　じゃあこれで描きます。キャラクターの服はどんな感じでしょう？

橘田　宇宙服です！ 銀色で、ピタッとしてる感じかな。

さと　宇宙服、描いたことないなあ（笑）。SFマンガっぽく、タイツみたいに描いたらいいのかな。おっぱいはどうしましょう。

橘田　普通で。

さと　普通とは（笑）。

橘田　じゃあ……B（カップ）で！

さと　B、わかりました！ 好きな髪型はありますか？

橘田　私、最近はロングヘアの子と、ボーイッシュな子のカップルがお気に入りです。ロングヘアの子が押し倒したときに、下の子にかかる髪が好きで。

さと　ふふふ（笑）。わかりました。

橘田　はい！

「やわらかい×やわらかい＝やわらかい」（橘田）

さと　できました。

橘田　きゃー、すごーい！ 私の落書きがこんなになるなんて。ありがとうございます！

さと　裸体っぽいけど、一応スーツ的なものを着ています。

橘田　本当だ。でもやっぱり、花を食べた瞬間は裸の絵になって欲しいですよね。変身するときみたいな。パーンって演出があって、次のページでは子供が生まれてるんです。

さと　て、展開が早いですね！（笑）

橘田　さと先生、これからも百合マンガを描き続けてくださいますよね？

さと　百合マンガで食べていければ描き続けたいですけど（笑）。

橘田　わ、すごい。がんばってほしいです！

さと　でも本当に、ちゃんと読者の方に気に入っていただけるかなあって心配で。

橘田　「フラグタイム」バッチリですよ！ 私の百合友はみんな超面白かったって言ってました。

さと　ありがとうございます！ 本当に……。百合作品の魅力って、何なんですかね。

橘田　百合の魅力ですか。やっぱり私が思うのは……美しさ。なんていうか……やわらかい同士がくっつくと……やわらかいっていう。「やわらかい×やわらかい＝やわらかい」みたいな！（笑）

さと　わかります。男の人なんていらないですよね（笑） 。あと、やっぱり禁断の感じというか、背徳感があるのがいいです。

橘田　例えばBLって、なんかすごく上のステップみたいなところあるけど、百合ってわりと日常の延長線な気がします。

さと　ああ。そうですね。やっぱ普通にイチャイチャしますもんね。女の子同士は。抱き合ったりとか、ね。

百合作品に興味がない人にも読んでほしい（さと）

──では最後に読者へのメッセージや、アピールをお願いしてもよろしいですか。

橘田　そうですね……。あの、百合マンガを読んだことがない人って、私の周りにもすごくいっぱいいて。

さと　あ、そうなんですね。百合友達ばかりなのかと（笑）。

橘田　いやいや、「え、女同士の恋愛って？」みたいな反応をされることも多いんです。でも「フラグタイム」は、友情以上恋愛未満みたいな状況を描いていて、あとSFやファンタジーの要素も入ってるので、百合マンガとしてじゃなくても楽しめる部分がすごくあると思います。百合マンガ読んだことない人の入り口としてはすごい入りやすいし、楽しめるはず！

さと　あああ。ありがとうございます（笑）。

──さと先生それを受けていかがでしょう。

さと　やったぜ！っていう（ガッツポーズ的なジェスチャー）。

橘田　あはは。

さと　でも本当に、百合とか興味ない人にも、ぜひ読んでほしいですね。

橘田　ここから百合を好きになってくれる人が増えそうですし。単行本、早く出てほしいです！