コミックナタリー Power Push - 「奴隷区」「D・F・O」特集

「奴隷区」

「D・F・O」

オオイシヒロト×咲良宗一郎×岡田伸一が過激表現を大いに語る

「D・F・O」は原案よりハードに

オオイシ 「奴隷区」は負けて奴隷になった人のその後もずっと描いていますが、「D・F・O」もそうですよね。勝負に負けたモンスターや人間がどうなっていくのかが細かく描写されています。

咲良 そうですね。ただこの頃、回が進むごとにキャラが減っていって(笑)。

岡田 サスペンス映画みたいに、キャラが減っていくのはすごく好きな展開です。

オオイシ 「奴隷区」は逆にどんどん増えていく。誰も死なないので(笑)。

岡田 「奴隷区」の小説を書いていた2010年頃、「人をあんまり殺したくない」って気持ちが強くて。まあ死にはしませんが、ひどいシーンはたくさんあります(笑)。

「奴隷区 僕と23人の奴隷」2巻より、文京ゼンイチが暴力を振るうシーンの一部。

オオイシ 実は「奴隷区」は自主規制の嵐なんです。原作のまま、マンガにはとてもできない……。

岡田 本当にすみません!

オオイシ いえいえ(笑)。例えば2巻に登場した文京ゼンイチのシーンは「岡田さん、すみません」って思いながらもオブラートに包んだ表現にしました。女の顔をボッコボコに殴って勝負を強制している時点でもうヤバいんですけど、原作だとさらにここで放尿したり。基本的に原作は、マンガで描いているのよりもう一段階ヤバいです。

岡田 若気の至りです……。でもそれをバネにして、ひどいシーンの後には読者になるべくスカッとしてもらえるような描写を配置していました。そういえば「D・F・O」は逆に原案よりハードになっている気が……。

「D・F・O/デス・ファンタジー・オペラ」に登場するユニコーン。

咲良 はい、ハードになっていますね。「D・F・O」を描くにあたって、自分の中でいくつか決めごとをしたんですが、その1つが「ある日思いついてしまった面白い絵面は、怒られるまでは描く」ってことです。

岡田 最近だとユニコーンとアスカの戦いはすごかったです。

咲良 そうですね。原案は幻想的でエグくないシーンだったんですが、マンガでは衝撃や嫌悪感を感じてほしかったので、ブラックな感じになっています。

「D・F・O」はアスカちゃんなんですよ!

岡田 この戦いを読んで、すごく気になっていることがあって……。アスカちゃんって、パンツ履いてます?

咲良 (笑)。一応、履いていると思いますが、このシーンで脱がしたり剥がしたりしたら、意図と違う方向に行ってしまう気がして。

オオイシ ああ、その感じわかります。「奴隷区」もひどいシーンばっかり描きすぎたら、それにしか目がいかなくなってしまうと思ってオブラートに包みました。

岡田 咲良先生はゲスなキャラを増やして、オオイシさんは抑え気味に描いてくださっていますね。面白いなあ。

「D・F・O/デス・ファンタジー・オペラ」のアスカ。

咲良 ゲスなキャラクターを描くのが大好きなんです。自分でもマンガを描くまでは知らなかったんですが……劣等感をたくさん抱えて生きてきたっていう僕自身のバックグラウンドが出ているのかなって気がしますね。特に「D・F・O」はアスカちゃんに関しては、原案の残酷な、ある意味で底がない精神性を描けたらと。

岡田 うれしいな。そうなんです、「D・F・O」はアスカちゃんなんですよ! 彼女は“terror”、恐怖なんです。

咲良 お兄さんのレンも実は結構強いし怖いですが、アスカちゃんよりは友達になりやすい。

岡田 レンも僕のイメージ通りでした……が、やっぱりアスカちゃん! 特に足の部分の絶妙なライン、神がかっていると思うんですよね。これからファンが増えると思いますよ! 1巻と2巻の表紙はどちらも素敵ですし。

レンくんとアスカちゃんをもっと苦しめて

「D・F・O/デス・ファンタジー・オペラ」1巻と2巻。

咲良 ありがとうございます、表紙は色鉛筆で着色しました。デザイナーさんからの指定だったんですが、色鉛筆で塗ったのは初めてで……。

オオイシ 色味の種類が本当に多くて、華やかですね。

岡田 1巻のおどろおどろしい感じがまた、内容に合ってます。2巻はキレイな描写になっていて、これもすごい。

──「奴隷区」は通常の姿と奴隷姿が共存している、特徴的な表紙ですよね。1巻が書店に並んでいるのを初めて見たときの衝撃をまだ覚えています。すごくエロい物語が始まってしまったんじゃないかと……。

岡田 僕も覚えています。コンビニで初めて見て、「大丈夫かよこの表紙!?」と(笑)。

「奴隷区 僕と23人の奴隷」の表紙。

オオイシ 自分でもどこまで描いていいのか迷いました(笑)。表紙は本当に何パターンも描き直して、一番インパクトのある、エロさなり危うさなりが伝わるこの形になりました。

──主役とおっしゃっていた荒川エイアはまだ表紙には出ていませんね。

オオイシ それはおいおい……。いま「奴隷区」は富士登山で例えると7から8合目。朝日を見るために、今ちょうど寝ようとしてる、くらいの感覚です。そういえば、「奴隷区」で一番アレンジするのはラストの部分ですね。

岡田 言っちゃうんですか? 公で言うのはほぼ初めてでは?

オオイシ そうですね。「D・F・O」はいかがですか?

咲良 「D・F・O」はやっと1巻と2巻が出るところなんでまだなんとも言えないですね。嘘かもしれないですが、半分くらい……かな?

岡田 最後にお願いになってしまうんですが、ぜひ原案にとらわれないラストをお願いしたいです! そしてぜひレンくんとアスカちゃんをもっと苦しめてほしい!

咲良 あ、はい!

オオイシ これ以上ですか?(笑)

岡田 これ以上いじめていただいて、その先に何かちょっと光のようなものを描いていただけたらと思います。

咲良 じゃあもっとサディスティックにいこうと思います!

ヤングマガジン海賊版

「世界にあふれる海賊版の面白さだけマネしたい」「とびきり面白い作品ばかり集めたい、マンガ界に不敵な波風を立てたい」のコンセプトで1986年から1995年まで刊行されたヤングマガジンの増刊号。マンガ雑誌・ヤングマガジン海賊版の記念すべき第1号の表紙を手掛けたのは大友克洋。

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マンガ:咲良宗一郎 / 原案:岡田伸一「D・F・O/デス・ファンタジー・オペラ」 / 2015年9月25日発売 / 650円 / 講談社
1巻
2巻
咲良宗一郎(サクラソウイチロウ)

1月6日生まれ。第65回ちばてつや賞で「女王の楽団」にて準優秀新人賞を受賞。月刊ヤングマガジン(講談社)で「オーシャンまなぶ」を連載。現在はWebマンガサイト・ヤングマガジン海賊版にて「D・F・O/デス・ファンタジー・オペラ」を連載中。

岡田伸一(オカダシンイチ)

1984年生まれ、東京都世田谷区出身。携帯小説サイトにて執筆活動を開始。代表作は「奴隷区 僕と23人の奴隷」「少年と老婆」「奇少物件100LDK」など。

オオイシヒロト

1979年生まれ、大阪府出身。大阪総合デザイン専門学校卒業。代表作に「奴隷区 僕と23人の奴隷」(原作:岡田伸一)「うるとら団地Q」「ごくべん」など。