クズ中のクズが出てくるBLはテンション上がります

──じゃあ今回選んだ作品は「前回りできる作品」ばかりなんですね。どういうカップルが好き、とかはあるんですか？

ここまでの2作品もですが、やっぱり高校生ものは好きですね。自分でもイラストやマンガを描くときはやはり高校生同士で描いてしまいます。「過剰妄想少年」も高校生ものです。かわいいけど、いやらしいんです。表紙をよく見ると文字がいろいろ書いてあるけど、どれも攻めが最初に受けを攻めたときに使った言葉なんですよ！ いやらしいー！

──アイドルが「いやらしい」とか言って大丈夫ですか？

大丈夫です！（笑） このページのね、受けをモノにして、攻めが「全部俺が仕組んだんだけどね」とほくそ笑んでいる表情が最高なんですよ。

──高校生ものだけど、意外とダークなところも。

そうなんです。そうそう、初心者の方向けに高校生ものから始めましたけど、私はクズ系がいちばん好きです！

──クズ系とは……。

攻めがとにかくクズで、受けにいろいろひどいことをしているけれど、それが愛情の表れっていうタイプの作品ですね。BLって、テーマが設定されたアンソロジーもよく出ているんですけど、最近は「クズ男」とか「下衆BL」「ボコり愛」みたいなくくりのものも多いんですよ。

──「クズ」が人気テーマとして確立しているって、ほかのジャンルではないことですよね。

「あー、こいつクズだな」という、クズ中のクズが出てくるBLがあるとテンションが上がります。この中だと……「紅い椿と悪い虫」かな。

──同性愛者である美少年の転校生が、美しいものに固執するゆがんだクラスメイトに目をつけられて、愛情表現としてすさまじいいじめを受ける、という話ですよね。まったくどうなるか予想がつかない展開で、結末はかなりの衝撃でした。

さすがの私も「え、マジか!?」と思いましたよね。後味が悪すぎますからね。でも「私がずっと追い求めていたやつだ！」とも思いました。

──追い求めていたんですか？

バッドエンド、好きなんですよ。「紅い椿」を読んで実感したのかもしれないけど。ちなみに私、この本をうち（NMB48）の山本彩にも貸したんですよ。そうしたら「後味悪っ。お直しがほしい」って言われた。彩さんもものすごくBL好きなんだけど、私よりもピュアだから……。そのお直しが欲しくなる、後に残る感じが、私はすごく好きなんですよ。

──そういう、後味が悪いときも前回りしますか？

しますね。「あー！ ヤバい！」って。とにかく高まるとしてしまう。BLを読むと、本当に感情が高ぶっちゃうんですよ。

メンバーの誕生日にBLをプレゼント

──三田さんはBL以外のマンガもいろいろ読まれていらっしゃると思うんですけど、BLを読んだときに特に感情が高まるのはなぜなんでしょう？

……好きだから？

──（笑）。

やっぱり、私は女じゃないですか。そうすると男の子という存在自体が未知で、夢見ているところがあるんです。BLを読んでいるとそういう部分が見えてくる気がして、そこに萌えるんですよ。「あー、こういうこと考えているのか」って。ないものを追い求めているんですかね。

──「紅い椿」の攻めは、なかなか現実にいないと思いますけど……。

いや、でもきっといるんですよ、こういう男の子が……。なので、みなさんにもぜひ新しい扉を開くつもりで読んでもらいたい。

──さっき山本さんにBLを貸しているというお話が出ましたが、メンバー間でほかにBLの貸し借りをされる方はいらっしゃるんですか？

いやー、彩さんだけですね。彩さんもピュアなんだけど、あとのメンバーはさらにピュアピュアで少女マンガしか読まない。「いつまでそんなん読んでるの」なんて言われることもある。でも先日、メンバーの中野麗来の誕生日に「えんどうくん」をプレゼントしたんですよ。そうしたら、「ハマりました！」って言ってくれました！ だから「それならオススメまた買ってくるわ」って返事しました！　

──ちゃんとまた買って渡すのがすごい（笑）。

メンバー以外でも周りになかなかオタクの、それも腐女子の友達はいないので、布教が好きなのに全然BLの話ができないんです。だから今日こういう話ができて本当にうれしいです！