誰でも無料でライブ配信および視聴ができる“ライブ仮想空間”SHOWROOM。日々多くのアーティストやタレントが生配信を行い、ユーザーとの双方向のコミュニケーションを楽しんでいる。音楽ナタリーでは2016年に個人アカウントでの配信をスタートさせたAKB48グループより、毎日配信を続けている「まいにちアイドル」をはじめ、SHOWROOM上で精力的に活動を展開しているメンバーをフィーチャーし、定期的に特集記事を公開している(参照:SHOWROOM特集 第1回|大西桃香×田中美久×石田千穂)。
第2回となる今回の特集ではSKE48の石黒友月、NMB48の堀詩音、NGT48の中村歩加の3人に集まってもらい、配信を始めたきっかけや、コロナ禍でSHOWROOMを通して感じたことなどを語ってもらった。
取材・文 / 近藤隼人 撮影 / はぎひさこ
SHOWROOMを始めたきっかけは
──皆さん毎日のようにSHOWROOMで配信していますが、始めようと思ったきっかけは何かあるんですか?
石黒友月(SKE48) 同期で「まいにちアイドル」を1000日くらい続けていた子がいて、それを見ていて「私もやりたいな」と思ったのがきっかけです。活動するうえで何をすれば目立つのかを考えたときに、素でしゃべることができる「まいにちアイドル」が私に合ってるかなって。
──最初の配信を覚えてますか?
石黒 最初の配信はオーディションの一環としてやったときで、当時は今以上に人見知りな性格だったのでほぼ無言みたいな感じでした(笑)。
──今も配信中、かなりマイペースな話し方でファンの方とコミュニケーションを取っていますよね。
石黒 完全に素でやってるので!(笑)
──そういう自然体のメンバーが見れるのがSHOWROOMの面白いところだと思います。では堀さんが配信を始めた経緯は?
堀詩音(NMB48) 私はドラフト2期生なのでAKB48グループの全グループに同期がいるんですけど、その中でSKE48の白井琴望ちゃんがSHOWROOMで話題になっていて。それきっかけでメディア出演しているのを見て、同期なのにすごいなと刺激を受けたんです。私もぼーっとしてられないな、SHOWROOMを始めてみたら何か変わるかなって。それで19時間連続配信に挑戦してみたり、ファンの方からもたくさん応援をいただいて、そのタイミングで選抜メンバーに選んでいただいたりして、認めてもらえたという感覚がありました。今では企画があるときにほかのメンバーに配信スケジュールのアドバイスをさせていただくこともあって、NMB48の中で「SHOWROOMの軍師」と呼ばれていて(笑)、ありがたいなと思っています。
──自分は配信でしゃべるのに向いている、という感覚が最初からあったんでしょうか。
堀 どうだろう……でも、最初の頃はわけがわからならかったですね(笑)。「まいにちアイドル」と認められるには1日15分以上配信しなきゃいけないんですけど、当時は1回2分くらいしかやってなかったんです。「やっほー! バイバイ!」って(笑)。
中村歩加(NGT48) あははは!(笑)
堀 しかも予告もせずに突然始めて(笑)。23:58にいきなり現れて、0:00に消えるみたいなことをしていたので、ファンの方からしたら「なんだこいつは」という感じだったと思うんですけど、私としては当時から楽しみながら配信できていました。
──中村さんは配信を始めた頃のことを覚えていますか?
中村 AKB48グループのSHOWROOMでの個人配信がスタートしたとき、私はまだ研究生で。正規メンバーよりもメディアの露出も少なくて、お仕事もあまりなかったんです。そんな中、SHOWROOMの配信は1人でもできるし、いろんな人に自分をアピールするチャンスだと思ったので、とにかく毎日配信して自分でできることを探っていました。
──当時はいろいろと試行錯誤しながらやっていたと。
中村 その頃は今よりも配信を観てくれる人が限られていて、どうやったら視聴者数が増えるんだろうと考えながらやってました。あと、今はすごくラフにやってるんですけど、当時はアイドルを始めて間もなかったのであまりおしゃべりも上手じゃなくて。ちゃんと話の組み立て方を考えなきゃつまらない配信になっちゃうと思って、その点でも探り探りやっていた記憶があります。
──今は友達に話しかけるみたいにファンの方とタメ口で話してますよね。
中村 私の理想のアイドル像というか、ファンの方との接し方として、近い距離感でコミュニケーションを取りたいと考えていて。それを実践していたら友達みたいな距離感になっちゃいました。アイドル感が全然ないのが逆に今の悩みかもしれないです(笑)。
配信を通して「元気だよ」と伝えたかった
──堀さんは配信の中でよく歌を歌っているのが印象的です。
堀 NMB48にはYouTuberとしても活動している吉田朱里さんがいらっしゃって、「YouTuberがいるならSHOWROOMERは堀じゃない?」みたいな話になったんです。それで全然できないのに編み物とか、いろいろな企画に挑戦してみたんですけど、あまりにもポンコツすぎて見てられないかなと思って、最近は歌を歌うようになりました(笑)。コロナの影響でカラオケに行くのもためらわれるし、SHOWROOMのカラオケ機能でそのフラストレーションを発散している部分もあります。
──コロナ禍によって、気軽にファンとコミュニケーションを取ることができるSHOWROOMの存在がより大きなものになったんじゃないですか?
中村 そうですね。劇場公演をはじめ、この半年はいろいろとできないことが多かったので。そんな中、SHOWROOMは配信する側もスマホ1つあればできますし、観る側もパソコンからでもスマホからでも気軽に観てコメントもできて、ファンの方と簡単にコミュニケーションが取れるすごくありがたいツールだなと改めてこの期間に感じました。
堀 まったく同感です! 自粛期間中は何をしていいかわからないくらい、家の中での自由な時間が増えちゃって。そういうときにファンの方に少しでも「元気だよ」ということを伝えられたらいいなと思って、配信を続けていました。ファンの方のコメントを見て、私も「よかった、みんな元気なんだ」と確認することができました。
──堀さんは5月の24歳の誕生日の日に24時間連続配信をやっていましたね。
堀 ちょうど自粛期間とかぶってしまって、配信の中でどういうことをやるかかなり悩みに悩んだんですよ。メンバーもゲストとして呼べないですし。でも、その時期だったからこそ配信を観ることができたファンの方もいて、そういう面ではよかったなと思います。
配信することに意味を持たせなきゃ
──最近は握手会が「オンラインお話し会」として行われていますが、SHOWROOMでしゃべるのとはまた違う感覚なんですか?
中村 SHOWROOMをきっかけにファンになってくれた方、在宅ファンの方がオンラインお話し会に来てくれることもあって、そういうときはSHOWROOMと同じ感じで話すことはあります。でも、SHOWROOMとオンラインお話し会ではやっぱりちょっと雰囲気が違うかもしれないですね。
堀 オンラインお話し会だと時間に限りがあるので、その時間内に話したいことを詰め込まないといけないんです。SHOWROOMみたいにのんびりとは話せないですね(笑)。
──3人共、本当に素の状態でSHOWROOMを楽しんでいるようですが、配信をするうえで心がけていることは何かありますか?
中村 マイペースにやりながらも、退屈な配信にならないようには気を付けてますね。ちゃんと配信として成り立つように。ファン以外の方にも観てほしいし、毎日同じことをやってるといつも観に来てくれる方も飽きちゃうじゃないですか。毎日配信することに意味を持たせなきゃいけないって。
堀 SHOWROOMではギフティングやコメントをするたびに視聴者の方にポイントが与えられて、その上位13位までの方のアバターが1列目の壇上に上がるんです。配信の最後にその方たちの名前を読み上げているんですけど、毎日やっていると上位の顔ぶれが固定されてきて、初めての方はなかなか壇上に上がれないんですよ。新規の方にも何か楽しんでもらう方法がないかなと考えて、今は14位から100位までの数字を書いた紙から1枚引いて、“今日のラッキーちゃん”を発表するようにしています。
石黒 初見の方がコメントしてくださると「初見」というマークが付くんですよ。私はその方に向けて必ず自己紹介するようにしています。
堀 最近はJKT48さんが配信を始めた影響で、海外からの視聴者がすごく増えたんです。
中村 SHOWROOMがどんどんワールドワイドになっていて。「kawaii」ってコメントが付いたりするんです。
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メンバー全員でマグロの解体ショー