コンプレックスだった声が大切な個性に
──笹森さんは今回、俳優としてステージでマドカを演じることに加え、声優としてもマドカというキャラクターを立ち上げます。声のみでキャラクターを表現する際に意識したいことを教えてください。
声だけのお仕事はほぼ経験がないので、演劇作品に挑むときと同じく、とにかくがむしゃらにやってみるしかないなと。演劇や映像の現場で培ってきたものが今後につながると信じて、新しいことにチャレンジしたいと思います。実は、もともと自分の声が好きになれなくて、特に歌声は綺麗な抜けた音が出ないと悩んでいた時期がありました。でも数年前、とある先輩が「笹森は声が良いよね」「人と違うものを持っていることは、大きな武器になるんじゃないかな」と褒めてくださったことがあったんです。コンプレックスだった自分の声も、大切な個性の一つなんだと思えるようになってから、気持ちがすごく楽になりましたね。もちろんその後も努力したし、自分の声を生かす研究もたくさんしました。「一番大きな声を出して芝居をしてやるよ!」くらいの気持ちで作品に臨むようになってから、お客さんにもその気持ちが伝わったのか、「笹森くんの声が良い」と言ってくださる方が増えて。自信を持ってパフォーマンスをすること、自分の気持ちをしっかりと客席に届けることの大切さを改めて感じました。
──そんな出来事があったんですね。ご自身の声質にコンプレックスを持っていたとのことですが、一方で「ここは自分の強みだ!」と感じる部分はありますか?
良くも悪くも、70点は出せるけど100点は出せないところ(笑)。一歩抜け出すことが苦手で、爆発力がないんですよね。でも、2025年にさまざまな舞台に立たせていただく中で、自分の殻を破るアドバイスをくださった演出家の方と出会うことができ、120%の力を出してみることにチャレンジしました。わからないことがあっても、不安なことがあっても、とりあえず全力でやってみる、これが自分の一番の強みかもしれません。
最近演劇を観ていて感じるのですが、“不確定要素があること”って、お客さんにとってもある意味で大切なことだと思うんです。「これって一体どうなるんだろう?」と予測できない部分が多いことが演劇の醍醐味だと思っていて、たとえばバスケを題材にした「ZERO RISE」では、ボールが飛んでくるかもしれないし、何かが宙に舞ってどこかへ飛んでいくかもしれない。しかも「ZERO RISE」には、武器を持ちながらプレーするキャラクターもいるんですよね!? 毛利(亘宏)さんがどんな演出をつけてくださるのか、今から楽しみで仕方がないです。
覚悟を持って全力を出す!
──この取材直後に、「ZERO RISE」のキャラクターたちが歌唱する楽曲「ZERO RISE -Crawl your way up from ZERO-」の収録が行われます。同曲のデモを聴いた印象を教えてください。
音楽って、「この作品はこういうテイストの作品です」ということを提示するための重要なポイントだと思っていて。アニメの主題歌のようなカッコよさがあって、かつ、バスケを扱う作品にぴったりな楽曲だと感じました。特にチームごとにラップするパートは「もしかすると、こんなステージングになるんじゃないかな?」というイメージがパッと浮かぶような部分もあり、“ZERO RISEらしさ”を表すような楽曲になっていると思います。
──「ZERO RISE」プロジェクトの口火を切る舞台「ZERO RISE」に向けて、座長としての意気込みをお聞かせいただけますか?
座長としてのモットーは「技術はあとからついてくる。まずは気持ちだ! 声を出していこう!」です。元気の良い、朗らかな座組になると良いなと思いますね。新規プロジェクトの立ち上げに携わる機会をいただけることなんてなかなかないですし、僕自身、新しいことに挑戦するときにしか感じられない、ドキドキ感やワクワク感が大好きで。しかも今回、真ん中に立たせていただくということで、一切言い逃れはできないなと。自分がした選択を正解にできると信じているから、座長であることに対するプレッシャーはそこまでありません。たくさんの方々が力を入れて作ってくださっているコンテンツなので、あとは演じる僕らが覚悟を持って全力を出せば良い作品になるのは間違いないと思います。キャスト全員で暴れるので、皆さん期待していてください!
プロフィール
笹森裕貴(ササモリヒロキ)
1997年、東京都生まれ。主演映画「some day」が「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア2018(SSFF & Asia)」内、キテミル川越ショートフィルム大賞でグランプリを受賞した。主な出演舞台に、「ミュージカル『刀剣乱舞』」シリーズ(松井江役)、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(マーキューシオ役)、舞台「世界は密室でできている。」(番場潤二郎・西村友紀夫役)。現在、OREGA PRESENTS 2026「NUKIDO ~外から見るか芯から見るか~」に出演中。7・8月に舞台「HiGH&LOW THE 戦国 外伝」、11・12月に「ミュージカル『星影の人』-沖田総司・まぼろしの青春-」に出演予定。




