石川界人×菊池修司が初対面!2人のノエが語る「ヴァニタスの手記」 (2/2)

アニメと舞台、両輪で楽しんで

石川 今、いろいろなマンガやアニメが舞台化されていますが、僕ら声優が演じたものを俳優さんたちが演じることが多い印象があって。視聴者の皆さんが僕たちが演じたキャラクターを愛してくださっているのはとてもうれしいことなんですけど、俳優の皆さんにはぜひとも無視していただきたい!(笑) それこそ舞台を観に来るお客さんは、菊池さんが演じるノエを見たいと思っているはずなので、必ずしもアニメを再現しなくて良いのかなって思うんです。

──役作りにあたって、あえて原作やアニメをご覧にならずに稽古に臨む方もいらっしゃるようです。

石川 なるほど、そういう方もいらっしゃるんですね。

菊池 俳優さんによってそれぞれやり方があると思うんですけど、僕の場合、稽古に入るまではアニメを観るんですが、稽古に入ったら観ないようにしています。あまり影響を受けないようにしているところもありますし、お芝居はカンパニーのみんなで作るものだと思っているので。

石川 確かに。周りの人が変わると全然違うものができるから、アニメに引っ張られる必要はまったくないと思います。

石川界人

石川界人

菊池 石川さんがおっしゃったように、アニメから入るお客さんが多いですけど、いろいろな魅せ方があるのが舞台なので、アニメとはまた違った観点で「ヴァニタスの手記」を好きになってもらえたらうれしいなって思いますね。

石川 本当にそう思います。

──現在、アニメ第2クールの収録が行われているとのことですが、舞台のお稽古はいつ頃から?

菊池 今日、これから初稽古なんです。

石川 すごいタイミングですね!(笑)

──ということは、今日からはアニメをご覧にならずに稽古に臨むと……?

菊池 そうですね。でも普通に好きな作品なので、我慢できずに観ちゃうかもしれません(笑)。

石川 ははは!

──石川さんは高校時代に演劇部に所属されていたほか、関智一さんが主宰する劇団ヘロヘロQカムパニーの公演にゲスト出演するなど、舞台出演経験がおありです。この経験を踏まえて、身体全体を使って役を演じることと、声のみでキャラクターを表現すること、どのような違いがあると考えていらっしゃいますか?

菊池 僕も伺いたいと思っていました。舞台俳優は実際に動けるので、ある意味表現の自由度が高いと思うんですけど、それを声だけで表現するのはすごく大変なことですよね。

石川 アニメって、舞台と比べると演者が背負うリソースが少ないと思うんです。セリフを覚えなくて良いし、身体を動かさなくても良い。動きや音、照明は画が助けてくれるので、声優はオーケストラでいうところの1つのパートという認識ですね。一方で舞台の場合は、セリフも動きも覚えないといけない。「舞台俳優さんって、なんであんなにセリフを覚えられるの!? 本当にすごい!」って思います。しかも、自分のセリフだけじゃないですもんね……?

菊池 そうですね。このセリフを言われたら自然と次のセリフが出てくるみたいな、それくらいまで持って行くことが僕らにとっては理想というか。

菊池修司

菊池修司

石川 わあ、その境地までいけたらすごく楽しそう。あと、何より自分に役を落とし込むのが一番大変な作業だと思うんです。それができるのは本当にすごいことだなと。

菊池 アニメとして表現すること、舞台として表現すること、どちらにも素敵なところがありますよね。舞台の場合は、1カ月という長い稽古の中で,自分と役の間にある“ズレ”をなくしていく作業が必要になります。無駄なものを削ぎ落としていって、残ったものを初日に出す。これが舞台の醍醐味だと思います。そういえばこの前、台本をいただいたんですけど、ノエのセリフがけっこう多くて……(笑)。

石川 なんなら、ヴァニタスよりノエのほうがしゃべってるシーンもあるくらいですもんね(笑)。

菊池 しかもノエってアクションが多いじゃないですか。ヴァニタスを投げたり、ローランの武器を投げ飛ばしたり、シャンデリアを飛び越えたり……。

石川 そうですよね。ヴァニタスの書を開くときの表現1つ取っても、アニメではきらびやかな映像で表現されていますが、舞台ではどうなるんでしょう? 楽しみだなあ。

菊池 物理的に再現するのが難しい場面もありますが、ネガティブにならずに、「あのシーン、こういう表現の仕方ができるんだ!」と思ってもらえたら良いですよね。それが舞台の醍醐味だと思っているので。初めてご一緒する演出の山崎彬さんをはじめ、皆さんと力を合わせて素敵なものにしたいです。

──アニメの第2クールと舞台を同時期に楽しめるということで、ファンの方にはたまらない期間になりそうですね。

石川 第1クールでは、ヴァニタスとノエの出会いや2人がどのような関係性なのかが描かれましたが、第2クールでは大きな問題が起こります。2人がその問題に対してどう臨むのか、それによって2人の関係性がどのように変化していくのか、深く考えさせられるようなストーリーになっているので、ぜひともいろいろな方に観ていただきたいなと思います。まだ第1クールを観ていない方! Blu-ray / DVDがございます。配信もございます。あらゆる手段を使って第1クールをご覧いただいて(笑)、第2クールも楽しんでいただければと思います!

菊池 すべての要素が詰まった素敵な作品に出演させていただくということで、お客様に「面白かった!」と言ってもらえるように、カンパニー一同全力で作品と向き合います。ぜひ劇場へお越しください!

石川界人

石川界人

菊池修司

菊池修司

プロフィール

石川界人(イシカワカイト)

1993年、東京都生まれ。2013年、「翠星のガルガンティア」で初の主役キャラ・レド役を演じる。2014年、第8回声優アワードで新人男優賞を受賞し、2020年、第14回声優アワードで助演男優賞を獲得した。主な出演作に、アニメ「ハイキュー!!」の影山飛雄役、アニメ「境界のRINNE」の六道りんね役などがある。自身が出演するテレビアニメ「東京24区」が放送中、テレビアニメ「リーマンズクラブ」が1月22日より放送される。

菊池修司(キクチシュウジ)

1995年、東京都生まれ。2016年、劇団番町ボーイズ☆に加入。主な出演舞台には、劇団公演のほか、舞台「劇団シャイニング from うたの☆プリンスさまっ♪」、「ハイパープロジェクション演劇『ハイキュー!!』」「紅葉鬼」「富豪刑事 Balance:UNLIMITED The STAGE」「ミュージカル『薄桜鬼 真改』相馬主計 篇」などがある。3・4月に舞台「『東京リベンジャーズ』-血のハロウィン編-」、6月に舞台「HELI-X III」に出演予定。