「アイバノ☆シナリオ」 PR

BuzzFestTheaterプロデュース公演「アイバノ☆シナリオ」川村ゆきえ×藤馬ゆうや|網走の匂いまで感じてもらいたい

藤馬ゆうや率いるBuzzFestTheaterの第3回公演として2016年に上演された「アイバノ☆シナリオ」が、初演から約1年、主演に川村ゆきえを迎えて再演される。港町のスナックで働く元女優の菜緒を中心に、北海道・網走に生きる人々の姿が描かれた本作。東京公演ののち、物語の舞台となる網走での1日限りの上演も控えている。本特集では初日を約2週間後に控えた川村と藤馬が、作品への思いを語った。

取材・文 / 川口聡 撮影 / 朝岡英輔

演劇でアトラクション感覚を提供したい

──BuzzFestTheaterは、どのような成り立ちの劇団なのでしょうか?

藤馬ゆうや 2015年11月に旗揚げし、現在6名で活動しています。脚本・演出のコウカズヤは、もともと超新塾というお笑いグループのメンバーでした。劇団を立ち上げるのって、大体20代からが多いと思いますが、僕らはほとんどが30、40代。そんなにゆるりともしていられないので、スピードを上げて演劇界に革命を起こしてやろうというのがコンセプトです。僕は常々「なぜ演劇はデートのツールとしてあまり使われないんだろう?」と感じてきました。同じエンタテインメントでも映画やテーマパークは彼女や家族を喜ばせるために使うじゃないですか? そういう意味で、僕らは自分たちの作品に対して“アトラクション”というフレーズを使っています。演劇でアトラクション感覚を提供したいんです。劇場の入り口にもこだわりたいと思っていて、足を踏み入れた瞬間から作品の世界観に入っていただけるような作り方をしています。遊園地に入ったときのワクワク感が好きなんです。

──「アイバノ☆シナリオ」は、初演から約1年という短い期間で再演されますが、どのような経緯があったのでしょう?

藤馬 ありがたいことに初演が全公演満席で、よしもとさんから再演の熱いオファーをいただきました。この作品は、主人公・菜緒の恋人である哲也を演じるアップダウンの竹森巧くんが手がけた「心の街」という歌をきっかけに脚本が作られたんです。その曲を収録したアルバム(「あの空よりも、高く。」)が今年5月にリリースされたことも再演と重なっています。

左から藤馬ゆうや、川村ゆきえ。

川村ゆきえ 私は再演からの参加ですが、北海道を舞台にした作品で、私自身も北海道出身ですし、同じく北海道出身のアップダウンのお二人と過去に共演していたことがきっかけになりました。座組の皆さんがアットホームなので、すぐに溶け込めましたね。

藤馬 今回は劇団公演でなくプロデュース公演で、いつもと流れが違うので試行錯誤してます。初演から続投のキャストは役を深めることができているので、内容も密なものになっていると思います。

川村 女性陣はほとんどが再演からの参加です。全員で意見を出し合いながら初日を目指して稽古しています。

その場所でしか感じられない匂いを

──本作は北海道の網走が舞台となっています。北海道出身の川村さんは、共感しやすかったり、イメージが持ちやすい部分はありますか?

川村ゆきえ

川村 北海道は生まれただけで育ったわけではなく、夏におじいちゃんやおばあちゃんに会いにいく場所というイメージが強かったです。この作品に参加したことで北海道が“ふるさと”という視点が持てました。網走には行ったことがあって、場所をちょっと知っているだけでも、作品にとってはプラスになると思っています。私たちのセリフや立ち方で観客に網走の風景をイメージさせたいですし、なんなら匂いまで感じてもらいたい。それができなかったら「網走じゃなくてよかったじゃん!」となってしまうので。

藤馬 僕は人生で2回だけ北海道へ行ったことがあるんですけど、2回とも網走なんです。

川村 じゃあ、すっかり“北海道=網走”というイメージですね(笑)。

藤馬 そうですね(笑)。初演の前にコウカズヤとメンバーの菅沼(岳)も一緒に網走へ取材に行ったんです。そのときに、もともと竹森くんがお世話になっていた半沢さんという農家の方と現地で知り合って。半沢さんが親切に地元をガイドしてくれて、そのお礼として初演の東京公演にご招待したんですよ。そうしたら、半沢さんが「この作品を網走に持って来てください」と言ってくれて。なので今回は網走市や網走市教育委員会、JAオホーツク網走を巻き込んでの網走公演が実現できました。

川村 すごい縁ですよね。

藤馬 網走公演の会場規模は約700人なんですよ。

川村 東京公演が180席くらいですもんね……ちょっとドキドキする。

──倍どころじゃない規模ですね。では、そうした現地での体験が作品にも取り込まれているんでしょうか?

藤馬ゆうや

藤馬 はい。沖縄の作品をやるときは沖縄に行き、養護施設を舞台にした作品のときは養護施設に足を運びました。その場所でしか感じられない匂いってある気がします。お芝居をしていて、その場所の風景が浮かんでいるか浮かんでいないかってすごく大事だと思っていて、それが役を深めていく僕なりの手段だと思っています。僕は今回、漁師の役なので、網走の漁師さんと呑ませてもらったりしました。そうやって交流しているうちに、衣装を借りられるようになったりするんです。今回は漁師の方々が大切にされている大漁旗を借りることができました。コウカズヤも取材を元に本を書き上げるので、フィクションのようでフィクションではない、リアリティを追求した作品に仕上がっています。僕は長崎出身ですが、網走に行ってみたら自分の故郷に近いなと感じたんです。東京では味わえないような人間の奥の底から出てくる優しさ、どこにも計算がない人たちとのふれあいが田舎にはあると思うんです。この作品を通して、お客様に同じような温かみを持ち帰っていただければいいですね。

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女優である前に人間

BuzzFestTheaterプロデュース公演「アイバノ☆シナリオ」
BuzzFestTheaterプロデュース公演「アイバノ☆シナリオ」
2017年7月19日(水)~23日(日)
東京都 ザ・ポケット
2017年8月27日(日)
北海道 網走市民会館

作・演出:コウカズヤ

出演:藤馬ゆうや、前すすむ(全力じじぃ)、スチール哲平、菅沼岳 / 川村ゆきえ / 竹森巧(アップダウン)、阿部浩貴(アップダウン) / ちすん、伊藤真奈美 / 小林幹、かめや卓和、飯田太極、なかまり / 山本真由美、川田希

竹森巧「あの空よりも、高く。」
2017年5月31日発売 / よしもとアール・アンド・シー 
竹森巧「あの空よりも、高く。」

[CD+DVD]
3240円 / YRCN-95276

Amazon.co.jp

CD収録曲
  1. 心の街
  2. 偽者のヒーロー
  3. 芸人ストーリー
  4. チビイエローモンキー
  5. 君が好き
  6. あの空よりも、高く。
  7. あなたの故郷
DVD収録内容
  • 「心の街」ミュージックビデオ(※品川ヒロシ監督作品)
  • 「あの空よりも、高く。」イメージビデオ
川村ゆきえ(カワムラユキエ)
川村ゆきえ
1986年北海道出身。2003年に「週刊ヤングジャンプ・制コレ2003」で準グランプリを受賞。2006年の映画「気球クラブ、その後」(園子温監督)でスクリーンデビューする。以降、NHK連続テレビ小説「どんど晴れ」、テレビ東京「まほろ駅前番外地」、TBS「コウノドリ」、フジテレビ「花嫁のれん」など、女優として活躍の場を広げる。また、舞台は2008年に上演された前川知大作・青木豪演出「ウラノス」を皮切りに、「戦国BASARA」シリーズ、三浦大輔演出「ザ・シェイプ・オブ・シングス~モノノカタチ~」、南原清隆・野村万蔵と共演した「現代狂言」シリーズ、アリスインプロジェクトなどに出演している。
藤馬ゆうや(トウマユウヤ)
藤馬ゆうや
1977年長崎県出身。BuzzFestTheater代表・俳優。テレビ・映画などの映像分野で活動後、2009年に美輪明宏演出「毛皮のマリー」に出演し、活動の中心を舞台へと移す。2015年5月に主演したTEAM BUZZ第6回本公演「わしゆん!」で、コウカズヤ率いるBUZZのメンバーに出会い、同年9月にBuzzFestTheaterを旗揚げ。劇団以外の出演作に、美輪明宏演出「葵上・卒塔婆小町」「椿姫」、また東京マハロ、森組芝居、ザ・モンキーフライプロジェクト、ぱるエンタープライズなどに客演。
BuzzFestTheater(バズフェストシアター)
BuzzFestTheater
代表の藤馬ゆうや、作・演出のコウカズヤ、前すすむ(全力じじぃ)、スチール哲平、シロタケシの5人で2015年9月に結成された。2016年の第4回公演「裏の泪と表の雨」から菅沼岳が加入。“Buzz(噂が飛び交う)Fest(賑やかな)Theater(劇場)”を目指し、前身のTEAM BUZZから得意としているコメディ路線とシリアス路線を融合した作風を追求。劇場空間全体を観客に体感してもらい、日常から非日常へ誘なう“アトラクション型演劇”を提唱している。