お笑いナタリー Power Push - 大阪オクトパス2015
南海キャンディーズ山里×男色ディーノ DDTが見せる “お笑いの先”の表現
選ばれないだろう者たちだからこそ磨ける表現
──プロレスを知ったからこそ、リングに上がることに対する怖さもあるんじゃないですか?
山里 むちゃくちゃあります! 自分が観る側にいるときは、リングにプロレスラーじゃない人間が上がることに対して、「ここはプロレスラーであってほしかったなあ」っていう感情が芽生えたりすることもありますから。だから今回、自分の名前が挙がったことは光栄でありながらも、「ああ、あの感情を、僕に対して持つ人もいっぱいいるんだろうな」って。DDTファンの人たちが優しいからこそ、「いらぬ気を遣わせてしまうんじゃないか」っていう心配もある。
ディーノ でも、結局はお客さんとの信頼関係だと思うのよ。山ちゃんがプロレスのリングに上がること自体は、こっちの世界はウエルカムなわけ。出演者としての知名度というかクオリティというか、そこは申し分ないし。あとは実績だけよね。「何を見せてくれるのか?」っていう信頼度については、まだこれからだから。
──DDTっていう団体自体、空気人形のヨシヒコであったり、「これがプロレスラーか?」っていう選手をリングに上げることで、プロレスのキャパシティを広げてきたところがありますよね。
ディーノ そう、そこを否定したら、そもそもウチはやれてないから(笑)。フィジカル面で選ばれし者たちのやるプロレスが新日本プロレスさんをはじめほかの団体だとすると、DDTにはそこでは選ばれないだろう者たちもいて、そういう人間だからこそ磨ける表現をやってる部分もあるから。逆に言うと、それは新日本さんではできないことだし。
山里 DDTって同じ大会の中で、ヨシヒコが何人もの選手と絡んだかと思うと、飯伏幸太選手とかがベルトを巡ってガンガンぶつかる試合があったり、そこにディーノさんとか、試合前にパワポでプレゼンするササダンゴ(スーパー・ササダンゴ・マシン)選手とかの試合もあって、どれも一見、違うジャンルの試合にとられてもおかしくないのに、でも感じる温度がまったく一緒なんですよ。「うわ! これどうなるんだ!?」っていう。
──手に汗握って勝敗の行方を見つめる感じ。
山里 そう、どんな試合でも、「おいおい、マジか? この結果、わからないぞ」っていう瞬間がありますから。お笑いでコントとか見てるときも、自分の中で「これがこうつながるんだろうなー」っていうのが裏切られる瞬間とか、「あれ、違うのこれ? え?」ってなって、最終的に自分の想像を超えた着地が決まると気持ちいいんですよ。DDTにはそれに似たワクワク感が常にあります。
大喜利が開花したきっかけはRGと対戦した「ダイナマイト関西」
──今回、対戦カードは「スーパー・ササダンゴ・マシン VS RG&山里亮太」のスペシャルハンディキャップマッチと発表されましたが。
山里 でっかい看板背負わされてね。
ディーノ いつの間にかササダンゴが松竹芸能所属になってたから(笑)。
──吉本 VS 松竹芸能の代理戦争という(笑)。
山里 ササダンゴ、松竹歴むちゃくちゃ浅いのにね。笑福亭鶴瓶師匠とか、認識してないでしょう?
──鶴瓶さんはササダンゴ選手を知らないと思います(笑)。
山里 鶴瓶師匠にもちゃんと伝えておきますよ。「今度、師匠の事務所の若いのと闘うことになりました。お世話になってますけども、看板背負ってる以上、タマ取りに行きます!」って。
ディーノ おおー!
──ササダンゴ選手は責任重大ですね(笑)。ディーノさんから見てこの試合のポイントは?
ディーノ ササダンゴは、プロレスの勝敗はともかく、大喜利では絶対に負けたくないと思ってるんじゃないかしらってところ(笑)。
──ササダンゴ選手の正体ではないかと言われているマッスル坂井選手は、「ダイナマイト関西」などでの活躍もありますし。
ディーノ そうなのよ。だからそっちの勝負を挑んでくるかもしれない。
山里 仕掛けてくるかなあ。
──そちらの闘いを挑まれたら、山里さんもRGさんも芸人として負けられないんじゃないですか?
山里 そりゃそうですよ! こちらはお笑い帝国よしもとですからね。「おいおいプロレスラーさんよ。誰に戦い挑んでるんだ?」って。
ディーノ その意気よ!
山里 実は僕が大喜利に目覚めたのも「ダイナマイト関西」なんです。最初の相手がRGさんだったんですけど、それまで僕、大喜利があまり得意じゃなくて。同じくRGさんも苦手だったみたいで、会場には消化試合の空気が流れてたんですね。実況解説も「誰が見たいんだ? このキューブマンとチエの輪マンの闘いを」ってコメントしてて。
ディーノ 「キン肉マン」の超人オリンピックのやつね(笑)。
山里 普段だったら、僕も「大喜利は向いてないし、絶対スベるんですよー」みたいなコメントで保険をかけておくんですけど、でも、この日に「それはやめよう」と思ったんです。そういった自虐コメントは、自分の剣を錆びさせるだけだなと思って。
ディーノ ちょっといい話じゃん、それ!
山里 で、もうコメントでも「全力でいきます!」ぐらいの感じのことを言っていたら、ホントにむっちゃいい解答が出るんですよ、その日。しかも、RGさんから始まって、若林とか、ヨーロッパ企画の上田さんとかを次々と撃破することができて。最終的にはケンコバさんに1ポイント差で負けて準優勝だったんですけど、自分の中では完全に大喜利が開花した日になったんです。だからRGさんはそのきっかけの人でもあるし、一緒にいて大喜利で負けるわけにはいかないんですよ。
優等生オオギリスト VS 野良オオギリスト
──すでに大喜利で闘う前提になってますね(笑)。
ディーノ まあ、ササダンゴも極端に痛いことを嫌うんで。
山里 あははは!
──肉体的な接触を避けてくる可能性があると(笑)。
ディーノ 大喜利をねじ込んでくるっていうのは大いにありうる展開だとは思うわ。
──実は山里さんは、ササダンゴ選手の正体とおぼしきマッスル坂井選手とは昨年のDDT両国国技館大会で、ディーノ選手の代理というカタチではありますけど、ちょっとだけ大喜利で闘ってるんですよね。
山里 あのとき僕は男色ディーノがリングに来るまでの代理だったし、途中で本物のディーノさんが間に合ったから、大喜利に関しては勝敗がつかなかったんですよね。ただ正直、あの試合って、僕の答えのほうが会場の笑い声がちょっと少なかったんですよ。
ディーノ 覚えてるんだ(笑)。
山里 坂井選手が試合に負けて勝負に勝った感の顔をしてたの、忘れられないですね。
ディーノ するね、あいつ! 口では「山里さん、すごいっすねー」とか言いながら(笑)。
山里 僕はどちらかというと優等生オオギリスト。帝国よしもとでお笑いをちゃんと勉強してきたから。でも、向こうは何ていうのかなあ……。
ディーノ 無頼漢というか、乱暴者というか(笑)。テレビに携わる人の盲点を突く大喜利スタイルよね。
山里 そうなんです。その場のライブだからこそギリ成立しているという。野良オオギリストですよ。
ディーノ ササダンゴって、お笑いに関しては悪い意味で昔のレスラーっぽいのよ。前座の試合とかで、若手相手に必要以上に自分のスキルを見せつけたりするようなところがある。
山里 あと、終わったあとも、「山里さんのあれは、いい答えだったなー。あれは出ないなー」とか言いながらも、「オレも、ほかにもこういう答えを用意してたんですけどねー」みたいなことをしれっと言ってきますからね。
ディーノ その顔を忘れないぞと(笑)。
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DDTプロレスリング 大阪オクトパス2015
日時:2015年11月28日(土)15:00開場 16:00開演
会場:大阪・大阪府立体育会館第一競技場
席種:アリーナ席A※完売 / アリーナ席B 10000円(当日10500円) / 1F指定席A 7000円(当日7500円) / 1F指定席B 5000円(当日5500円) / 2F指定席A 6000円(当日6500円) / 2F指定席B 5000円(当日5500円) / 2F指定席C 3000円(当日3500円)
チケット:チケットぴあ(Pコード594-100)、ローソンチケット(Lコード59631)、イープラスほか
対戦カード
- KO-D無差別級選手権試合
坂口征夫(王者) VS 木高イサミ(挑戦者) - DDT EXTREME級選手権試合
アントーニオ本多(王者) VS ケンドー・カシン(挑戦者) - アイアンマン・バトルロイヤル
チェリー(王者)(11月4日時点)
大石真翔、マサ高梨、宮武俊、大鷲透、平田一喜、ヨシヒコ、勝俣瞬馬、赤井沙希、キアイリュウケンエッちゃん、伊橋剛太、菊タロー(いずれも挑戦者) - スペシャルシングルマッチ
HARASHIMA VS 竹下幸之介 - スペシャルシングルマッチ
入江茂弘 VS 岡林裕二 - ハードコアスペシャル6WAYマッチ
高木三四郎 VS KENSO VS 佐々木大輔 VS 樋口和貞 VS 宮本裕向 VS 大家健 - スペシャルハンディキャップマッチ~松竹vsよしもと全面戦争~
スーパー・ササダンゴ・マシン VS レイザーラモンRG&山里亮太 - 男色ディーノ&バラモンシュウ&バラモンケイ VS ジョーイ・ライアン&福田洋&遠藤哲哉
- 松永智充&岩崎孝樹 VS 内田祥一&鈴木大
- 彰人&ヤス・ウラノ&中津良太&梅田公太 VS 石井慧介&高尾蒼馬&井上麻生&渡瀬瑞基
南海キャンディーズ 山里亮太
(ナンカイキャンディーズ ヤマサトリョウタ)
1977年4月14日生まれ、千葉県出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。2003年6月、しずちゃんとコンビ・南海キャンディーズを結成。2011年頃からしずちゃんがボクサーとしての活動を本格化させる傍ら、自身は司会やナレーションで活躍する。2013年、「両国ピーターパン2013~プロレスの傾向と対策~」にて総合司会を務めたのがDDT初登場。2014年の両国大会では試合に巻き込まれ“肛門爆破”の洗礼を受けた。「JUNK 山里亮太の不毛な議論」(TBSラジオ)、「センニュウ★感」(テレビ東京)、「ヒルナンデス!」(日本テレビ)などにレギュラー出演中。
山里亮太の140~やっぱり12月の石川県に惹かれました~
日時:2015年12月5日(土)17:30開場 18:00開演
会場:石川・根上総合文化会館 音楽ホール
料金:2700円(全席指定)
託児サービスあり(要予約。TEL:03-5779-8366 SLUSH-PILE.)
チケット:チケットよしもと、チケットぴあにて販売中。
男色ディーノ(ダンショクディーノ)
1977年5月18日生まれ、広島県出身。DDTプロレスリング所属。2002年にデビューして以来さまざまなタイトルを獲得した、日本が誇るゲイプロレスの第一人者。男色ドライバー、リバースえび反りジャンプ、男色48手+裏筋48手を得意とする。南海キャンディーズ山里とは、山里がMCを務めるカードバトルライブ「スター妄想カードゲーム『スタモン』」で2012年に共演。2014年には2人でトークイベント「スラッシュパイル6周年記念特別興行『山里ディーノ』」を開催した。同年「両国ピーターパン2014~人生変えちゃう夏かもね!~」では、マッスル坂井とのDDT EXTREME級選手権試合で親友・山里の肛門を爆破されながらも王座防衛に成功する。