ほんと、どうなるんですかね?
──佐久間さんが手がける生放送の帯番組というと「トーキョーライブ」が思い出されます。
あの番組は、(MCを務めた)ジャニーズの人たちが生放送をやること自体にすごくリスクがあって。収録だとカットされてしまう、パーフェクトなアイドルの人たちからこぼれ出る人間味みたいなものを映したいと思って作っていました。そういう意味では「3年C組」はまったく別で、やっていること自体が事件になることを楽しみにしています。完成された人たちからこぼれ出すラフさではなく、未完成なものをそのままゴロンと転がして磨いていく。バラエティというよりドキュメントっていうくらいの気持ちで観ていただけたらなと思います。
──秋元康さんとのタッグ、放送枠が夕方の帯であることなど、佐久間さんにとってもテレビ東京にとっても新しいチャレンジになると思います。番組を作っていくうえで「テレ東らしさ」については意識しますか?
「クラスを作る」っていう謎のコンセプトがすでにテレ東っぽいと思っていて。出口が何も見えていないまま、よくスタートできるなーと(笑)。
──佐久間さんも今は始まってみないと何もわからないという状態?
全然わかんないです。ゴーが出たのが年明けてからっていう、帯番組の準備期間としてすごく短いこともあるけど、にしてもねえ(笑)。ほんと、どうなるんですかね?
──あはははは(笑)。確かに、こんな企画が立ち上がって先が見えないまま走り出すという一連の動きがもうテレ東らしいのかもしれません。
ものすごいかわいい子が入ってきたりしたら、急に恋愛番組になるかもしれないですよ。
──なるほど(笑)。入ってくる生徒によって番組の方向性が変わっていくのは面白そうです。今後の展開は予想できないとして、「こうなったらいいな」と思っていることはありますか?
うーん。でも何が起きてもその日に謝れるからいいかなっていうのはあります(笑)。というのも、毎日何かしら起こってほしいなと。あとは、録画やParavi(パラビ)に入ればタイムシフトでも観られるので、それぞれの方法で観ているいろいろな人の意見を取り入れて変化していく番組にしたいと思っています。
──Paraviでは地上波放送との同時配信に加え、オリジナルコンテンツの提供も予定しているそうですね。
例えばアフタートークやスタンバイ中のスタジオの様子といったものを考えています。ゆくゆくは、30分の生放送には収まらないようなこと、この子で何か1つ企画にしたいなと思ったことなどをやれればいいですね。
──視聴者とコミュニケーションを取っていくことも考えていますか?
はい。この番組のファンクラブみたいなものを作りたいなと思っていて。ファンクラブの人たちの意見で番組を作っていくなど、いろいろ考え中です。
佐久間Pの番組作り
──今回の特集記事では、佐久間さんの番組作りの原点についてもお話を伺いたいと思っています。著書「できないことはやりません~テレ東的開き直り仕事術~」(講談社)でも書かれていますが、ディレクターとしてゴールデン番組デビューとなった「TVチャンピオン」で学んだことを改めてお聞かせください。
企画へのアプローチの仕方がたくさんあるっていうことと、ガチガチに準備しておいて、素人がそれを超えてきた回だけが“神回”って言われるっていうことは「TVチャンピオン」で教えてもらいました。それが染み付いているから、今は目の前で芸人さんが台本とは違うことをし始めたらそっちを生かすようにしています。
──番組作りにおいて「これだけは守らないと自分がやる意味がなくなる」というルールみたいなものはありますか?
「どんなパターンのものでも1つは新しさを入れる」ということでしょうか。1個でも発明がないとやっていて恥ずかしくなるし、長くやろうとは思わないです。
──佐久間さんがこれまでに影響を受けたテレビ番組を教えてください。
「ダウンタウンのごっつええ感じ」「夢で逢えたら」「めちゃ×2イケてるッ!」(いずれもフジテレビ系)、「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」(日本テレビ系)ですね。
──この並びだと「笑ってコラえて!」だけ毛色が違いませんか。
「笑ってコラえて!」って、「日本列島 ダーツの旅」「日本列島 吹奏楽の旅」「朝までハシゴの旅」など、一見番組にならなそうな企画を素人バラエティに仕上げるっていうテレビ東京的なエッセンスがあるんです。企画のオリジネーターとしてすごいなと。そういえば少し前に、「笑ってコラえて!」の総合演出をずっとやっていらっしゃる小澤龍太郎さんに飲み屋で偶然お会いしたんですよ。隣のテーブルにいたので握手してもらっちゃいました。
──あははは(笑)。佐久間さんからお願いして。
びっくりしてました(笑)。
──演劇や音楽など、テレビ以外の分野で影響された人はいますか?
演劇だと松尾スズキさんで、ミュージシャンのラジオパーソナリティだと電気グルーヴです。
──どのあたりに影響されました?
「どんなものでも笑っちゃいけないものはない」っていう姿勢ですね。自分の笑いの幅や価値観を広げるときにいつも思い出します。
「ウレロ☆」シーズン5「今年中にはやりたい」!?
──気になっていることをお聞きしてもいいですか? 以前イベント(参照:ウレロ☆第5弾迫られた佐久間P「あります、あります!」、飯塚「裁判みたい!」)で約束していた「ウレロ☆」のシーズン5。「3年C組」が始まることによってしばらくは難しいのかなと。
うちの会社的にはやれると思うんですけど、あのメンバーが揃う枠が空いていないんです。なんとか今年中にはやりたいんですが。
──ええ!? 忙しくてそんな時間ないのでは……。
僕は特番でもいいからやりたいと思っています。
──おお! ぜひお願いします。お聞きしたいことがもう1つあって、おぎやはぎのお二人が「カンヌに行きたい」とおっしゃっていた(参照:「ちょうどカンヌ行きたいと思ってた」おぎやはぎ、SICKS映画化を目論む)「SICKS-シックス- みんながみんな、何かの病気」の映画化はどうでしょう?
そうだそうだ。英(勉)監督とも「SICKS」的なものをやろうって言っていたんです。まあでも、とりあえずこれ(「3年C組」)を作っていかないといけないんですけど(笑)。
──やることがいっぱいですね。これだけいろんな楽しい番組を作ってきて、まだできていないこと、やりたいことがあったら教えてください。
なんだろうなー。自分でいうのもなんですけど、本当に幸せなテレビマン人生だと思うんです。(少し考えて)あ、オードリーでお笑い番組を作りたいなっていう気持ちはすごくあります。オードリーと山ちゃん(南海キャンディーズ山里)で。
──どんな内容ですか?
若林と山ちゃんが毎回消耗するみたいな番組ですかね(笑)。2人が引き受けたことを後悔するような番組を作りたいです。
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佐久間Works
~佐久間宣行プロデューサーが携わった主な番組~
- 担任
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- 月:メイプル超合金
- 火(隔週):バイきんぐ小峠 / 千鳥
- 水:三四郎
- 木(隔週):おぎやはぎ / バカリズム
- 金:バナナマン日村
- 副担任
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- 中井りか(NGT48)
- 教育実習生
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- ノブナガ
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関連特集
4月1日から本格スタートした新・動画配信サービス「Paravi(パラビ)」では、「青春高校3年C組」を地上波と同時配信! さらにParaviでしか観られない拡大版の配信も決定している。
- Paravi(パラビ)とは
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メディアグループ6社(TBS HD、日本経済新聞社、テレビ東京HD、WOWOW、電通、博報堂DYメディアパートナーズ)が設立した(株)プレミアム・プラットフォーム・ジャパンの定額制見放題を中心とした動画配信サービス。国内ドラマアーカイブ数は日本最大級。人気ドラマやバラエティ、オリジナルコンテンツなどが月額925円(税抜)で楽しめる。
- 佐久間宣行(サクマノブユキ)
- テレビ東京のプロデューサー。1975年11月23日生まれ、福島県出身。記念受験したフジテレビの採用試験で手応えを感じテレビ業界を志望。1999年、テレビ東京に入社する。著書に「できないことはやりません~テレ東的開き直り仕事術~」(講談社)がある。
2018年5月30日更新