ますますハイレベルに、女装芸人「ブスユニバース2012」

昨日5月21日、渋谷・ヨシモト∞ホールにて「ブスユニバース2012～女装ブスナンバー1決定戦～」が開催された。

前回ライス関町がすっぴんで優勝するという鉄壁のブスぶりで盛り上がったこの大会。今回はよしもと以外の事務所の女装ブス芸人も参加し、大会の幅が大きく広がった。審査員長の犬の心・押見は「ブスは見れば見るほど味が出るものですが、おいしいかどうかは微妙。でも味わってしまうものです。できればそこに品性も見せてほしい」と出場者に期待。辛口批評でおなじみグランジ・大は「世界に美人が少ないということは、ブスのほうが優性遺伝ということ」とこの大会への熱い気持ちを語った。また、自分たちをブスと自認する少年少女も審査に参加。「親がブスと認めるくらいのブス」の出現を待ち望んでいた。

まずはAブロックの「ルックス審査」で、ローラ風のチョコレートプラネット松尾、フィリピンと日本のハーフ・チャパティことトンファ―山西、地味で絵本が趣味のシソンヌ長谷川、夜のお仕事をしているマキシマムパーパーサム長澤、くノ一・不知火舞ことライス田所、不思議ちゃんキャラ・ピンクサファイアこと流れ星・ちゅうえいが登場。いきなりのハイクオリティブスたちに大は「非常にレベル高いよ！」と興奮しつつ、冷静に「1人だけ間違えてるよ。ここは東京ビッグサイトじゃないよ」と、明らかにゲームキャラ不知火舞を意識した田所を注意したが、司会のピクニックから「ブスですから」とフォローが入った。「質疑応答審査」では、マーラこと松尾が声と顔がブスながら完璧なローラの仕草と口調で好印象。（吉田）照美こと長澤は芸人と飲むことが多いということで、親しい芸人を聞いたところ、イニシャルで「Kの安達」というヒントが。さらに審査員長・押見との関係も匂わせていたが、押見は下を向き「人違いです」と否定した。長谷川の自己紹介では、「上田聖子です」と名前だけで会場全体が爆笑。趣味は絵本で、休日は「猫と過ごしたり、大好きな吉本ばななを読む」という回答に、全員納得のブスぶりを見せた。アイドルを目指すチャパティはダンスレッスンとボイストレーニングの成果をアピール。ピンクサファイアは最初こそ戸惑っていたが後半一気にテンションを上げ、謎のギャグを次々繰り出し会場を沸かせた。

Bブロックは夫に逃げられた主婦・ロシアンモンキー中須、商店街仲間に優勝を期待されている川嶋佳子ことシソンヌじろう、中国の殺し屋・リーことグランジ五明、ハスキーボイスなトラック運転手・THE GEESE尾関、最年少5歳の宮下久美子こと鬼ヶ島・野田、そして前回優勝の関町。こちらは関町のみならず、前回高評価だった川嶋佳子も再度参戦となり、早くも出場者たちが火花を散らした。そのため「質疑応答審査」では、リーが川嶋に刃を向けるというハプニングも。さらに、トラック運転手・芹奈が、久美子ちゃんの母親であることがわかり、観客も大爆笑。押見委員長は他事務所からのまさかの不意打ちに「いつ打ち合わせをしたんだ！」と悔しさをにじませた。一方そんなドタバタをよそにチャンピオン関町は堂々の落ち着きぶり。足をあらわにしたバトミントンスタイルで、「娘の学校のPTAのバトミントン帰りで」とはにかむ余裕をみせた。

審査の結果、両ブロックの中から最終審査に進んだのは、マーラ、ピンクサファイア、上田聖子、芹奈、関町、川嶋佳子の6名。彼女たちは「サランラップ審査」でとびきりのブス顔を披露したり、「あなたにとってブスとは？」などの質問に答えながら、最後の力を振り絞って自分のブスをアピールした。

既報の通り、優勝は上田聖子に決定。信じられないという顔で、おずおずと前に進み出た上田は、王冠とマントを着用して「賞金で大好きな俵万智先生の『サラダ記念日』の初版を買いたい」と声を震わせていた。果たして来年はどんな女装ブスが出場するのか。次々に強敵が登場するこの「ブスユニバース」の次回開催に期待しよう。

※記事初出時、本文に誤表記がありました。訂正してお詫びいたします。