「最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ」をいろんな角度から楽しむ #2 [バックナンバー]
エンタメ考察芸人・大島育宙が“推せる”ポイントを解説
時代に合ったヘルシーさ、痛みを知る千鳥のMC、教材になる相方論
2024年10月22日 18:00 28
この物語の主人公はニューヨーク屋敷
個人的には澤部さんと真栄田さんのコンビが一番好きでした。真栄田さんの溜めて、溜めてからの一撃必殺、言葉のセンスや大喜利力がとにかく強くて痛快! 同じく片方が主導権を握ってもう片方がリアクターになっているコンビとしてホリケンさんと屋敷さんのコンビがいますが、屋敷さんだけが番組のルールと、ホリケンさんが持ってくるルールという2つを背負って戦っているのも印象的でした。そんなのはもう超ハードモードなわけですが、ひとたび笑いが起これば盛り上がりは倍増。
くるまが実は似たプレイスタイルの野田さんと組んで芸を披露しているのはけっこうすごいことだなと思いました。ふくよかな相方を情報とアイデアの量で圧倒するボケ人間同士ですよね。普通は違うタイプと組みたいはずで、バランスは絶対に悪いはずだけど、即興芸だからこそアイデアの数が勝負だという判断をくるまはしたんだと思います。澤部さんとは真逆の作戦ですね。存在感やキャラよりも情報量をより多く作れる人を選んだんじゃないかな。
コント力で言うと、サーヤとKAƵMAさんのコンビ。この2人はオチがなくてもずーっとできちゃう、演技力で延々と引っ張れちゃうみたいなところがあって、10分ネタとか、なんなら単独ライブを観てみたいと思いました(笑)。そのくらいマッチしていた。ただ、最初からサーヤがそれを狙ってKAƵMAさんを指名したのかどうか。もしかしたら本番、思惑と違う芸になっているかもしれませんが、それがこの即興の醍醐味でもありますよね。本人に裏話を聞いてみたいです!
せいやさんと秋山さんがちょこちょこっと打ち合わせして、「わかった」と言っている姿はもっと見たいなと思いました。粗品さんといるときとはきっと全然違うせいやさんだったでしょうから。そういった舞台裏の様子が映るのは貴重な気がしましたし、みんなとにかく楽しそうなのもわかりました。苦しそうな人は屋敷さんぐらい(笑)。だからこそ屋敷さんが主人公になっていたと僕は感じました。誰を軸に観るかでいろんな楽しみ方ができそうです。
お笑い養成所の教材になる
「THEゴールデンコンビ」を観て思ったのが、これは純粋なお笑いの教科書になるんじゃないか?ということです。「相方とは何か」を考えさせるいい教材だと思います。ネタ作りを教える前に、お笑い養成所の1時間目に見せるべきじゃないでしょうか(笑)。みんないいコンビだけど、自分がどのパターンを目指しているかで選ぶ相方は変わってきますよね。「澤部・真栄田パターンで行きたいなら、真栄田を相当信用してないと澤部にはなれないぞ!」みたいな、仕事論と言うと大げさですが、「自分は誰っぽいな」と当てはめながら仕事上のパートナーについて考えられる。まあ、果たして今回優勝したコンビが会社を起こして成功するのかと言ったらそれはそれで揉めそうな気がしますが(笑)。仕事だけじゃなく、例えば結婚相手だったら、このコンビのパターンだと私たちうまくいきそうだ、とか。
膨らむ妄想
この「THEゴールデンコンビ」に呼ばれるのが夢、みたいな感じになったらいいですよね。オードリー春日さんくらいのクラスで、実は大喜利もできて肉体のイメージもあって脱いでも下品にならない人が入ってきたらどうなるんだろうと想像が膨らみますし、相方を操ってきた
芸人たちのパラレルワールドを見ている気分になれるという楽しさもありました。「もしニシダと組んでいなかったら?」のサーヤが見られたし、翻って元のコンビが見たくなるのもこの番組のよさだと思います。「
プロフィール
大島育宙(オオシマヤスオキ)
1992年12月17日生まれ、東京都出身。厳格な家庭に育ち、テレビはほとんど禁止されていたため中学時代は友人に録画してもらったお笑い番組のDVDを学校でこっそり観ていた。東京大学在学中は他大学のお笑いサークルに参加。そこで出会った相方の早乙女零とXXCLUCを結成した。YouTubeで「大島育宙【エンタメ解説・映画ドラマ考察】」を配信中。「こねくと」毎週火曜(TBSラジオ)、「GRAND MARQUEE」毎週水曜(J-WAVE Podcast)、「週刊フジテレビ批評」(フジテレビ)などに出演。ほか、連載多数。タイタン所属。
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