ぼっちだったからこそ、ぼっちを守りたい

──「無題合唱」は最後に「どうして？ どうして」という歌詞で終わります。結局結論は描かれていないんですが、皆さんはどういう思いで歌っているんですか？

ましろ　僕はけっこう歌うときによって思うことが変わるんですけど、メンバーや患いさんがいて、やっとぼっちじゃなくなったんだって考えることは多いですね。歌詞の中の登場人物の子は、またぼっちになってしまうんですけど「僕はまだぼっちじゃない。まだみんなと一緒にいたいよ」って思うことが多いです。

如月　ちょっと泣けてきちゃった。

一十三　曲が始まると自分がぼっちだったときの記憶がよみがえってくるんです。でも「無題合唱」をライブで歌ってるとき、メンバーや患いさん同士が手をつないでいるのを見ると「もう1人じゃないんだ」ってことを実感して。

成海　この歌を歌ったり、聴いたりすると自分がちょっと強くなれる気がするんです。誰も自分のことを見ていないとか、自分は1人だってずっと思ってたけど、今は1人じゃないって感じられる曲だから。この曲を歌うようになって、ぼっちの子を見かけたら手を差し伸べて「ぼっちじゃないよ、みんな味方だからね」って声をかけてあげたいと思うようになりました。

如月　ぼっちだったからこそぼっちを守りたいんです。

十　この歌を歌ってるとき、字は「この笑顔を守らなきゃ」と思ってるんです。「メンバーの笑顔も、患いさんの笑顔も字が守ってやるぞ」って。

──歌詞は切ないけど、皆さん前向きな気持ちで歌ってるんですね。

如月　この曲の解釈はさまざまだと思うんですけど、メンバーは「みんなで一緒に行こう」っていう意味で捉えているんです。最初に曲を聴いたとき、みんなで泣いたもんね。すごくいい曲だって。

ネガティブなようでポジティブな曲

──カップリング曲の「うぇゆうぇゆうぉっ～ヒネクレノタリ～」って、一見するとわけわからないけど英語ですよね？ 歌詞にも出てくる「When you×2 WANT」をひらがなにしていて。

如月　そうなんです。歌詞カードを見ないと気付けないところですね（笑）。この曲でもぼっちのことを歌ってるんですけど、こっちは完全に開き直ったぼっちの歌です。「もういいや、ぼっちでいいや」って。

十　ネガティブなようでポジティブな曲なんです。

成海　1周回ったポジティブさだよね。

如月　ライブだとずっと私たちは飛び跳ねてますね。やっぱりこういう曲があってのぜん君。なので。

──表題曲に比べて、カップリングの2曲「うぇゆうぇゆうぉっ～ヒネクレノタリ～」と「ぼっちコネクト終」は、グループが掲げている“病みかわいい”のテイストに近い曲に仕上がっています。

十　「ぼっちコネクト終」の「ちょもらんまなにそれ？　富士山なら知ってる　でも 足りないの頭は君が脳を占める」という歌詞が大好きで。自分の脳の中が君だらけっていう。こういうテイストはぜん君。らしいなって思います。

── “病みかわいい”の病みの部分ですね。

ましろ　病みで言うと、僕は「うぇゆうぇゆうぉっ」の中の「@色々あるけど笑ってこーぜ！」っていう歌詞のパートを担当していて、半笑いでそのフレーズを歌うのが超ポジティブで、テンションが上がるんです。だからこのフレーズがすごい好き。

如月　このときのましろの顔はすっごいですから。注目です。

酸欠で倒れたら病みかわいいかも

──現在ツアー中ですが、この3曲はライブでも披露しているんですよね？（インタビューは東名阪ツアーの最終公演前に実施）

十　はい。「無題合唱」を聴いて、感動して泣いてる人もいるんです。患いさんたちが一緒になって歌って涙を流して、気持ちがひとつになれる曲なんだなって思いました。

如月　名古屋のライブはすごかったんですよ。ぜん君。のホームでもありますから、チケットもソールドアウトして。

十　壁とか床が汗だらけでビショビショなんですよ（笑）。

成海　湯気がすごくて、向こう側がモヤで見えなくなるくらいでした（笑）。

如月　アツい夜でしたね。

十　大阪では、酸欠になってるファンの方がいました。

成海　クラッてなっちゃって。大丈夫だったかなあ。

──メンバーの皆さんは酸欠にはならなかったんですか？

如月　大丈夫でした。でも酸欠で倒れたらそれはそれで病みかわいいかも（笑）。

一十三　ツアーのセットリストも毎回変えてますし、ダンスも常に変化してるんです。こうやったほうが盛り上がるんじゃないかとか、会場の形に合わせてこういう感じにしようとか。

──初の東名阪ツアーの名古屋と大阪の公演が終わったところですが、手応えは感じましたか？

如月　とりあえず全部泣いています（笑）。

──それは何泣き？

如月　皆さんからしたら私たちはまだ出てきたばっかりのグループに見えると思うんですけど、メンバーからするとこれまで積み重ねた期間がすごく長かったんです。だからやっと今、ワンマンツアーがやれていることが感慨深くて。感極まって泣いてしまいました。