ナタリー PowerPush - 悠木碧

新社会人・悠木センパイのキュートで素っ頓狂なアドバイス

悠木碧のニューシングル「クピドゥレビュー」がリリースされる。

悠木2枚目のシングル「クピドゥレビュー」の表題曲は現在放送中のアニメ「彼女がフラグをおられたら」のオープニングテーマ。この曲で悠木は、四つ打ちを大胆に取り入れたスウィングジャズに乗せてキュートながらもアイロニカルな言葉の数々を連発している。

複雑な変拍子を効かせたトラックをバックに、かわいらしく高らかに世界征服宣言をする1stシングル「ビジュメニア」の発表からわずか3カ月。サウンドデザインのまったく異なる、しかし悠木碧ならではとしか呼びようのない楽曲を発表した彼女に話を聞いた。

取材・文 / 成松哲

 
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究極にキュートで素っ頓狂な曲ができてました

──悠木さん! 新曲「クピドゥレビュー」なんですけど、“隙間の歌”でも“ドライヤーの中の歌”でもないじゃないですか(参照:悠木碧「ビジュメニア」インタビュー)。

ホントだ! 全然違いましたね。

──他人事(笑)。ただ、すごい曲を作っちゃいましたね。

悠木碧「クピドゥレビュー」ビデオクリップのワンシーン。

ありがとうございます(笑)。「彼女がフラグをおられたら」(「がをられ」)は女の子がいっぱい出てきて、画面も明るくってキラキラしたアニメだから、そのオープニングテーマが今までの私の曲みたいなシニカルな感じで大丈夫かな?っていう心配もあったんですけど、結局「でもシニカルな感じを削っちゃったら、悠木碧っぽくないよね」っていう話になって。「逆にすごくブラックジョークの効いたノリノリの曲を、ちょっとマヌケな感じのかわいい声で歌えたらいいですよね」「あとおもちゃっぽい音をいっぱい混ぜてください」ってお話したら、こんな曲ができあがってました(笑)。

──またも他人事(笑)。

zakbeeさんのデモを聴かせてもらったとき「ホントにすごい曲だな」ってビックリしちゃったので。こんな曲をいただけたことがホントにうれしかったですし、レコーディングもすごく楽しかったです。

──「クピドゥレビュー」ってひと口で形容するならアップリフティングなスウィングジャズなんだけど、確かに悠木さんのディスコグラフィと地続き。打ち込みやトイ系の楽器をバンバン使ったりしていて、いい意味でのフェイク感がハンパないですよね。

最初にいただいたデモの段階では、もっとスタンダードなスウィングジャズ、ビッグバンドジャズっぽかったんですけど、それこそウソくさい感じ、なんかちょっと地に足が付いてない感じにしてほしくて。今までの私の曲が小首をかしげながら「あれ?」ってなっちゃう感じだとしたら、「クピドゥレビュー」は思わず「はいっ!?」って聞き返しちゃう感じ。そういうふうにしたかったので「とにかく素っ頓狂にしてください」ってお願いしたら……。

──「こんな曲ができてました」か(笑)。

「この音をもっと素っ頓狂に!」「もっともっと素っ頓狂に!」ってお話をさせていただいたら、究極にキュートで素っ頓狂な曲ができあがってました(笑)。素っ頓狂にはキュートな素っ頓狂とか、ちょっとイモくさい素っ頓狂とか、いろんな素っ頓狂があると思ってるんですけど、「クピドゥレビュー」はホントにキュートでコケティッシュな素っ頓狂に振り切ってるのが、もうたまらなくて。

キュートと素っ頓狂の天才・zakbee

──「クピドゥレビュー」の作曲・編曲のzakbeeさんは元POMERANIANS、初期にはダブやレゲエを指向していたバンドのメンバーだった人ですよね。

私ものちのち経歴を知ってビックリしました。だから実はすごく困らせてしまったんじゃないかという気がしていて……。「何言ってんだ? コイツ」って。

──でもzakbeeさんはこの曲を書いているとき、きっと楽しかったと思いますよ。おっしゃる通り、すごいキュートだし……。

すっごい素っ頓狂だし(笑)。この曲っていろんな要素が入っているじゃないですか。めまぐるしく展開して曲の表情がどんどん変わっていくのもすっごくかわいいし、Dメロのところに「♪カランカランカラン」って音が入ってるんですけど、あれは起き上がりこぼしの音なんだそうです。そのまさにおもちゃの音がリズムに乗らないタイミングで入ってるのも不気味ですっごくかわいいですし。

──しかもすっごい素っ頓狂だし(笑)。

完パケのオケを聴かせていただいたときは「うわっ! zakbeeさん、ホントにキュートと素っ頓狂の天才!」って思いました(笑)。

天使なのにブラック&グリーン

──前回のインタビューで悠木さんは歌うときや演技するとき、登場人物の感情の動きを色で理解しているって言っていました。「クピドゥレビュー」のヒロインの気持ちはどんな色でした?

悠木碧「クピドゥレビュー」ビデオクリップのワンシーン。

ジャケット写真やアーティスト写真にも使っていただいたブラックとグリーンですね。この子はキューピッドなんですけど、曲のテイストと同じで、ちょっとウソくさいというか。神々しい天使ではなくて、天使と呼ばれてはいるんだけどなんか別の生き物。“天使っぽい何か”のイメージなんです。

──写真の悠木さんが背負っている羽根がいわゆる天使の羽根じゃなくて、メタリックな素材でできてるのも“天使っぽい何か”だから?

そうですそうです。なんかデジタルでメカっぽい感じなんです。本人は「えっ、私? 天使、天使! 全然天使だし」って言うんだけど……。

──スゲーウソくさい(笑)。

「それ、絶対ウソでしょ?」ってツッコミたくなりますよね(笑)。でも“ウソっぽい”だけだからホントのことは誰にもわからない。「天使って言ってるし、それっぽいカッコをしてるし、まあそういう類の人なんだろうなあ」っていう感じというか。だから「天使なのに黒いし緑」っていう不確かなイメージにしたかったんです。あとは通常盤のジャケットにも使っているオレンジのイメージ。「オレンジってかわいらしいんだけど、素っ頓狂なくらい明るい色だし、そういうイメージの曲だよなあ」って思いながら歌ってみました。

ニューシングル「クピドゥレビュー」/ 2014年4月30日発売 / FlyingDog
初回限定盤 [CD+DVD] [CD] 1944円 / VTZL-79
通常盤 [CD] 1404円 / VTCL-35179
CD収録曲
  1. クピドゥレビュー(テレビアニメ「彼女がフラグをおられたら」オープニングテーマ)
    [作詞:藤林聖子 / 作曲・編曲:zakbee]
  2. twinkAtrick[作詞:藤林聖子 / 作曲・編曲:MANYO]
  3. クピドゥレビュー(without Aoi)
  4. twinkAtrick(without Aoi)
  5. 1st LOVE(はつ恋)宣言 / 吟遊院芹香(CV:悠木碧)(テレビアニメ「彼女がフラグをおられたら」キャラクターソング)
    [作詞:藤林聖子 / 作曲:黒川陽介 / 編曲:成瀬裕介]
初回限定盤DVD 収録内容
  • 「クピドゥレビュー」 MUSIC VIDEO
悠木碧(ユウキアオイ)

3月27日生まれ、千葉県出身の声優・歌手。4歳の頃から子役として活動し、2003年にテレビアニメ「キノの旅」で声優デビュー。2008年放送の「紅」では初のヒロインに抜擢され、その後さまざまな作品で主要キャラクターを演じる。2011年には「魔法少女まどか☆マギカ」の主人公、鹿目まどか役で大きく注目を集めた。またその一方で2012年3月に1st“プチ”アルバム「プティパ」を発表し、アーティストデビューも果たす。2013年2月には新居昭乃らを迎えた2nd“プチ”アルバム「メリバ」をリリースし、11月には神奈川・横浜アリーナでのアニソン系イベント「ANIMAX MUSIX 2013」に出演。そして2014年1月、表題曲がアニメ「世界征服~謀略のズヴィズダー~」のエンディングテーマに採用された1stシングル「ビジュメニア」を発表。そのわずか3カ月後となる4月にはアニメ「彼女がフラグをおられたら」のオープニングテーマ「クピドゥレビュー」をリリースする。