「さよなら私のクラマー」島袋美由利(恩田希役)×若山詩音(越前佐和役)、黒沢ともよ(周防すみれ役)×悠木碧(曽志崎緑役)×古城門志帆(白鳥綾役)|女子高生サッカープレイヤーの“リアル”を描く?チームとしての成長に焦点を当てたTVアニメ「さよなら私のクラマー」

新川直司原作によるTVアニメ「さよなら私のクラマー」が4月より放送される。女子高生サッカー選手・恩田希を軸に、女子サッカーの世界を描く本作は、月刊少年マガジン(講談社)にて連載された青春ストーリーだ。

コミックナタリーでは、恩田希役の島袋美由利、越前佐和役の若山詩音、周防すみれ役の黒沢ともよ、曽志崎緑役の悠木碧、白鳥綾役の古城門志帆という、アニメを支える5人のキャスト陣に取材を実施。島袋と若山、黒沢と悠木と古城門の組み合わせで、女子サッカーに青春を捧げる少女たちを演じる楽しみについて、語り合ってもらった。

取材・文 / はるのおと 撮影 / 武田真由子

島袋美由利×若山詩音対談

等身大な女子高生たちだからこそ出てくる汚い言葉

──まず担当キャラクターの紹介と、演じるにあたって意識していることを教えてください。

恩田希(CV:島袋美由利)。蕨青南高校女子サッカー部の1年生。ポジションはミッドフィールダー。中学時代は男子サッカー部に所属していたため試合経験が少ないが、高いドリブルテクニックとパスセンス、周囲を生かす洞察力を併せ持っているファンタジスタ。 越前佐和(CV:若山詩音)。蕨青南高校女子サッカー部の1年生。幼馴染の希、テツ、タケ、ナメックと共に蕨青南高校に進学。中学時代は男子サッカー部のマネージャーを務めていたが、高校では希とともに女子サッカー部に入部する。

島袋美由利 希はある種の天才というか少し掴みどころがない子です。深く考えない感覚派なので、私も周りの方のお芝居を聞いて自分から出たものを直感的に出すようにしています。あと周りからは「ガサツ」と呼ばれることもあるくらい勝ち気なので、その女の子っぽくない部分も少し意識しながら演じています。

若山詩音 佐和ちゃんは、そんな希とはかなり対照的なかわいい女の子です。サッカーが好きですが、それと同じかそれ以上に希のことが好きなんだろうなと思っています。

──逆に希から見て佐和はどんな存在なんでしょうね。

若山 かけがえのない親友だとは思っているんでしょうけど、それ以上にサッカーに気持ちがいってますよね。佐和ちゃんが10支えているうちの7くらいしか気付いていないというか。

島袋 確かに。でも佐和もたぶんそういう見返りを求めてないですよ、きっと。

若山 佐和はちょっと不憫な女房役です(笑)。演技面では、ディレクションで言われた「育ちがよく見えるように」ということをすごく意識しています。それはしゃべり方や声のトーンもですが、間違った言葉を使わないとかそういったことも含めてですね。

若山詩音

──原作で佐和の自宅とかしっかりと描かれはしませんが、彼女が「育ちがいい」というのは確かにイメージできます。すごく納得できました。

若山 私もです! ワラビーズって「TVアニメで言っていいの?」みたいな汚い言葉が飛び交う中でサッカーしますけど、佐和だけは絶対に言わないんですよ。

──試合中のワラビーズは激しく言い合いますよね。ワイワイと罵倒し合うというか。島袋さんは過去に「はねバド!」や「はるかなレシーブ」といった女子高生のスポーツアニメに出演されていますが、それらとはまた違う雰囲気じゃありませんか?

島袋 確かにそうですね。サッカーに熱いメンバーが一丸になって「このチームをよくしよう」とか「サッカーを楽しもう」と考えているからこそ、ああいう言葉が出てくるんでしょうね。「おいボケ!」とか、本当に等身大な女子高生たちだと思います。

島袋美由利

若山 放送禁止用語ギリギリみたいな。

島袋 でもアドリブで私が口汚い言葉を言ったら「ちょっとこれはさすがに言い過ぎ」と言われたこともあって。

若山 確かに言われてた(笑)。

──言葉と言えば、佐和は解説役という一面もあります。サッカー用語も多数出てきますが、若山さんはそれを口に出すにあたってどう臨まれていますか?

若山 知らない言葉があったらどういう意味なのかは調べて収録に行きますし、現場でも都度イントネーションを確認させていただいています。ギ“プ”スではなく“ギ”プスとか、そういった言葉の読み方も知りました。

実際の試合に通じる試合の臨場感に期待

──原作を読んでどういったところを魅力的に感じましたか?

若山 私は試合の緊張感です。実際にサッカーの試合を観ているときにも感じますけど、次の1分1秒で状況がひっくり返されるかもしれない緊張感がいつも漂っていますよね。「クラマー」の場合も、「これ負けるんじゃない?」「まだいける!」とどちらのチームが勝つか気にしながら読みました。

島袋 私はその緊張感ある試合に入ってくるモノローグが好きです。シンプルなのに刺さるというか、「運べ」みたいな短い言葉ですけどメンバーがみんな集中していることを感じられるんです。あとは魅せるシーンのひとつ前のセリフが素敵ですよね。「伊藤は天才よ」とか。

TVアニメ「さよなら私のクラマー」より。

若山 わかります!

島袋 コーチの能見さんの「全国3位のパスが行くぞ」とか。ああいう決める前の高揚感を運んでくる言葉のチョイスが好きです。

──収録時点ではまだコンテ状態だったかもしれませんが、アニメでもそういった魅力は引き出されていそうですか?

若山詩音

若山 はい。島袋さんが言ったようなモノローグのよさも、原作の雰囲気をアニメに落とし込んでいると思います。私がそんな偉そうなこと言えないですけど(笑)。

島袋 毎回皆さんの収録が終わったら音声をいただけるんですけど、それを聞くと原作の熱量や空気感がそのままアニメに反映されていると感じます。それとコンテを見ていると、アニメが完成したらどうなるんだろうとワクワクします。

──先ほど若山さんからサッカーの試合を観ているときの迫力という話がありましたが、おふたりはサッカー、特に女子サッカーに対して何かイメージがありますか?

若山 「クラマー」関連で企画していただいてフットサルをしました。あとは島袋さんと去年Jリーグの試合を……。

島袋 そうそう、一緒に行きました!

若山 柏レイソルと横浜F・マリノスの試合を2人で観に行ったんです。私はテレビでサッカーを観ているときは正直どんな試合運びをしているかわからなかったけど、生で観ると「今あそこにボールを持っていきたいんだな」とか「ゴールキーパーがすごく指示出してるな」とか感じられて、一瞬たりとも見逃せなかったです。

TVアニメ「さよなら私のクラマー」より。
島袋美由利

島袋 私は今までスポーツ観戦をしたことがありませんでした。それこそ「キーパーの人ってゴール前から動いていいんだ」と若山さんとご一緒した試合で初めて知ったくらいの知識量だったんです。でもその試合や個人的に行ったなでしこリーグの試合を観たら、まずあのフィールドの広さを感じさせない選手の縦横無尽な動きに驚いて。あれは観戦しないと気付けなかったですね。

──なでしこリーグも行かれましたか。女性選手の試合も面白いですよね。

島袋 はい、Jリーグの試合と変わらない迫力でした。映画版の収録をする前に少しCGのキャラクターが動いている姿を観られたんですけど、それがアニメらしくカット割りを多用するわけではなく長回しで、実際の試合を観たときの感覚と似ていたんです。だから仕上がりはまだわかりませんが、すごく臨場感があるものになっているんじゃないでしょうか。

サッカーに真面目に向き合ったTVアニメ&映画版

──初夏に公開が予定されている「映画 さよなら私のクラマー ファーストタッチ」について伺います。こちらは希と佐和の中学校時代のエピソードですが、TVアニメ版とは演技面でどういう差をつけましたか?

島袋 中学生の希はサッカーの練習はしているけど、フィジカルの問題があって試合に出場できていないんです。だから希らしくボーッとしている感じはありつつ、中学校時代は悶々としているところ、高校時代は肩の力が抜けている感じを出そうと思って演じました。

若山 佐和は表面的にはあまり変わっていません。でも、たぶん心の奥深くでは希とは逆の変化があったと個人的には思っています。中学のときに希の姿を見てサッカーを始めようと思ったけど、まず体作りということでずっと試合には出ない。それは決して表に出していないし、本人もあまり気にしていないレベルのもやもやでしょうけどその変化は意識しました。

──ありがとうございます。最後にTVアニメ版と映画版の魅力はそれぞれどこにあると思われるか教えてください。

左から若山詩音、島袋美由利。

島袋 映画版はフィジカルで男子に勝てない恩田希という女の子にスポットライトが当たっている一方、TVアニメ版はチームとしてどう成長するかが焦点なんですよね。そして女子サッカーはどうあるべきか考えている能見さんや、それぞれにプライドを持っているほかのチームも出てきて、いろんなキャラクターを好きになれる作品だと思います。

若山 ただ、どちらも真正面からサッカーというスポーツに向き合っている作品だから、そういう姿勢みたいなところも感じ取っていただけるとすごくうれしいです。