ナタリー PowerPush - 矢沢洋子

自然体の貪欲ロック 2ndアルバム「Give Me!!!」

小さい頃は本気で声優になろうと思ってた

ライブ写真

──そういえば、今回はアッパーな曲とミドルの曲が見事に半々ですね。

そうですね。5:5ですね。

──ただ、曲のテイストが単純に半々って感じではなくて、それこそ曲によってボーカルのニュアンスを変えてたり、言ってしまえばいろんな矢沢洋子がここにいる感じで。

実は私、小さい頃に本気で声優になろうと思っていたことがあって。すごくいろんな声真似ができたんで、正確には声優になりたかったっていうよりも、声優になるしかないって思っていました(笑)。そう、この間タクシーに乗ってるときも、一緒に乗ってた友達とハイテンションでしゃべっていたら、運転手さんに「お嬢さん、声優ですか」って言われました(笑)。あまりにもいろんな声が出てるかららしくて。だから、歌うときも微妙に変わるんですよね。

──これはいろんな声が聴ける要因にもなっていると思うんですが、今回のアルバムは、前作以上にメロディが立っているというか、情景の浮かびやすい曲が多いような気がします。

確かにそうですね。だいたい私の場合、楽曲を決めるときにデモを聴いてイメージが膨らむか膨らまないかで決めます。そのイメージというのはライブハウスで歌っている自分の姿だったり、もしくはこの曲でビデオクリップを作るんだったら、こういうシチュエーションで、こういうものを撮りたいと思わせてくれる曲だったり。何もイメージが膨らまない曲は選んでいないです。自分に合ってるか合ってないかって、単純にそういうことだと思います。だから歌詞を書く段階でも、ある程度自分の中でこの曲にはこういう言葉を乗せたい、歌いたいという気持ちが最初からあるんです。今回「Give Me!!!」でビデオクリップを作ったんですが、メンバーとガッツリ演奏してるシーンを撮ってみたいというのは曲を聴いた段階からあって。今までやってなかったので、それが形になったっていうのもうれしかったな。

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──これは前作から引き続き言えることなんですけど、基本、歌詞の世界観は前向きなものが多いですよね。

自分自身がポジティブじゃないときってあるじゃないですか。私はわりと思い悩みがちなタイプで、歌詞でポジティブなことを書くことで、自分を勇気づけているというか、自分で自分を引っぱっている感じです。普段から元気なことは元気ですが、二面性があるというか、起伏が激しいので……。

ロックか歌謡曲、たまにアニソン(笑)

──ところで洋子さんの音楽人生で、一番強く刺さっているものって何ですか?

よく訊かれるんですが、一番好きなバンドはルースターズが一番……うーん、一番っていうのは難しいですけど、SHEENA & THE ROKKETSとかTHE MODSとか、めんたいロックが大きいですね。あとは昔の歌謡曲とかかな。

──わりと雑食なんですね。

そうですね。そのときのテンションによってはミュージカルの曲を聴いてるときもあるし。でも、自分がDJでかける曲やカラオケに行って歌う歌は、ロック、それか歌謡曲、たまにアニソンって感じになってますね(笑)。

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──比較的エモーショナルなものが好み、ということですかね。

あっ、そうかもしれない。エモーショナル……昔の歌謡曲も、だいぶエモーショナルですよね。

──脱線ついでにお訊きしますが、カラオケの十八番は?

そうですねえ、最近はカラオケあんまり行ってない……って、あ、ゴメンナサイ! 昨日行きました(笑)。普段はほとんど行きませんが、行くときは女の子だけで行くことが多いですね。だいたい、空気を読まずに好きな歌謡曲を歌ったりします(笑)。

余韻を大切にしたいから曲の短さにはこだわっている

──歌謡曲といえば、洋子さんの曲が結構短めなのも、歌謡曲的マナーなのかなあと、勝手に思っていたんですが。

あえて短くしています。長いより短いほうが余韻を残すというか、このぐらいの長さ(「Give Me!!!」収録曲の平均は3分10秒程度)で終わらせたほうが、聴き終わったあとにもっと聴きたいと思ってもらえるんじゃないかなと。おなかいっぱいにさせちゃったら、もういいやって感じになるじゃないですか。腹八分目なところが3分ちょっとかなと、私は思うんですよ。iPod等の携帯プレイヤーでもちょっと飽きたなと思ったらすぐに飛ばすことができるし、私自身も無意識に飛ばしてるときもあって、だからなのか、そこは前から妙にこだわっているところです。

──でも30数分のアルバムですが、これだけいろんな曲が入ってるので、短いけれど満足度は高いですね。できあがって時間は経っているとのことですが、ご自身でも結構聴かれてますか?

聴いてますね!

──自分の作品はわりと聴くほう?

聴かない時期は全く聴かないですね。でも今回のアルバムは既に結構聴いてます。

──前作よりも素直にできたアルバムだから、ってことなんでしょうかね?

それは絶対ありますね。

──今回のアルバムで個人的に気に入ってる曲は?

全体的によく聴いてますけど、「夏風」かな。

──さて、ニューアルバムが出て、このあとのご予定は?

もう、ライブばかりですね。既に年末まで40本くらいのライブが決まっています。今回もインストアはやりますし、前回のツアーでは行けなかった地方のライブハウスにも行くので、ぜひ楽しみにしていてください。

インタビュー風景

ニューアルバム「Give Me!!!」 / 2011年8月3日発売 / 2500円(税込) / GARURU RECORDS / GRRC-20002

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CD収録曲
  1. SOS
  2. アドレナリン
  3. 夏風
  4. アゲハ
  5. Give Me!!!
  6. アマノジャク
  7. JOKER
  8. hane
  9. too late
  10. 羅針盤
矢沢洋子(やざわようこ)

東京出身の女性ボーカリスト。12歳のときに家族とともに米ロサンゼルスに移り住み、高校卒業後帰国。2008年10月、ユニットを結成しメジャーデビュー。その後アーティスト名を本名に戻し、2010年8月に、よりロック色を強めた1stアルバム「YOKO YAZAWA」をリリース。精力的なライブ活動を行いつつ、2011年8月に2ndアルバム「Give Me!!!」を発表する。