音楽ナタリー Power Push - YEN TOWN BAND feat. Kj(Dragon Ash)
異色セッションで生まれた「my town」
YEN TOWN BANDとKj(Dragon Ash)のコラボ曲「my town」を表題曲としたシングルが、6月22日にリリースされる。
YEN TOWN BANDは1996年公開の岩井俊二監督による映画「スワロウテイル」から誕生して一斉を風靡したバンドで、2015年9月に復活した。音楽ナタリーではYEN TOWN BANDのボーカルを務めるCharaと、シングルのフィーチャリングゲストであるKjの対談を企画。2人の関係性や今作の制作秘話、そして互いが抱くYEN TOWN BANDへの思いについて語ってもらった。
取材・文 / 石橋果奈 撮影 / moco.(kilioffice)
ハードなヤツらが舞台袖に並んだYEN TOWN BANDのライブ
──CharaさんとKjさんのコラボについて意外な組み合わせだと感じる人もいると思うのですが、お二人はもともと交流があったんですか?
Kj(Dragon Ash) むしろプライベートしか交流がないよね。
Chara うん。嫁もかわいこちゃんだから大好きなのよ。けんちゃん(Kj)と一緒に音楽をやるのは今回が初めてだよね。
Kj 昨年末の「COUNTDOWN JAPAN」にYEN TOWN BANDが出てて、俺、舞台の袖で観てたんだよね。マキシマム ザ ホルモンのナヲ(ドラムと女声と姉)と、G-FREAK FACTORYのメンバーと一緒に。すげえハードなヤツらが袖に並んで「Charaちゃんやべーなー!」とか言っててさ(笑)。そんな矢先に客演として呼んでもらったからうれしかったですね。
Chara そうだったんだ。
──YEN TOWN BANDの復活は2015年9月に新潟・越後妻有で行われた芸術祭「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2015」内でのライブでしたね(参照:Charaが約12年ぶりYEN TOWN BANDのステージで“グリコ”に、シングル発売決定)。
Chara そうそう。小林武史さんがプロデュースする能舞台でライブをやったんです。田舎で電車の本数が少ないから入場者数が制限されていて、意外とお客さんは1000人ぐらいだった。もうすごかったの、カゲロウっていう虫が田んぼからすっごい大量に出てきて、みるみるうちに照明に集まってきちゃって。羽が透けてるからライトとかお月様の光に当たってきれいなんだけどね。
──幻想的な風景が浮かびます。
Chara そうね、幻想的っていう言葉は間違いじゃないわね。でも小林さん、キーボード弾きながら虫潰しちゃうっていう(笑)。
Kj ははは(笑)。
Chara ベーシストの(村田)シゲちゃんなんてメガネと目の間に虫が入っちゃったりして大変だったのよ。演奏中に虫を払おうとするみんなの動きが面白くて笑っちゃった。
YEN TOWN BANDは愛なんだ
──YEN TOWN BANDを再始動させると決めたのは小林さんだそうですね。最初にそれを聞いたときはいかがでしたか?
Chara 最初はけっこう私うるさかったのよ。「なんでやんのー? どうするつもりー? 私どうなるのー?」みたいな(笑)。だって今回は映画関係ないじゃない。だから「どういうコンセプトか教えて」って聞いたんです。私コンセプチュアルなのが好きだから。
──最終的に納得した理由はなんだったんですか?
Chara いろいろ話してる中で「何か足りないな」って思ってたんですけど、最後に小林さんの口から「いや、Chara。愛だよ、愛!」っていう言葉が出て。その一言で「やるわ」って。
Kj あははは(笑)。
Chara 「YEN TOWN BANDは愛なんだ」って聞いて、なんか安心したの。私たち別にケンカ別れしたわけでもないしね。
──ひさしぶりに映画「スワロウテイル」の主人公・グリコとして歌うことに戸惑いはありませんでしたか?
Chara 私、主題歌の「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」はCharaとしてもずっと歌ってるから、別に戸惑いはなかったかな。グリコちゃんは中国人だし国籍は違うんだけど、女っていう共通点があるし。私、自分のことは“職業・女”みたいな人だと思ってるんだけど、グリコちゃんもそうだと思ってて。そもそも当時映画に出るって決まったときも「かけ離れてないから演じられるな」っていうところもあったんだよね。だから20年経っても、いつでもできる役どころなんですよね。
──共感できる部分があったんですね。
Chara これは岩井俊二監督に聞かないとわからないけど、もしかしたら岩井監督が寄せてくれた部分もあったのかもしれない。グリコちゃんは娼婦だけど、愛する人のために歌うっていう、“捧げ系”なところが私と似てるのよね。私も愛のために歌うし、愛を探してるから。
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- ニューシングル「my town」 / 2016年6月22日発売 / UNIVERSAL SIGMA
- 初回限定盤 [CD+DVD] 1620円 / UMCK-9840
- 通常盤 [CD] 1080円 / UMCK-5601
- アナログ盤 [アナログ] 2016年7月20日発売 1620円 / UMJK-9061
CD収録曲
- my town
- my town(MURO'S LOVERS MIX)
- my town(The Orb Remix)
- my town(Instrumental)
初回限定盤DVD収録内容
- 「アイノネ」ミュージックビデオ
アナログ盤収録曲
SIDE A
- my town(MURO'S LOVERS MIX)
- my town
SIDE B
- my town(The Orb Remix)
- my town(Instrumental)
YEN TOWN BAND(イェンタウンバンド)
1996年に公開された岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」に登場した劇中のバンド。本作の主人公・グリコを演じたCharaがボーカルを、小林武史がプロデュースを担当し、同年にリリースされたシングル「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」とアルバム「MONTAGE」はオリコン週間ランキングでそれぞれ1位を獲得した。2015年9月に新潟・越後妻有で行われた芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」内でおよそ12年ぶりにライブを開催。YEN TOWN BANDがライブを行うのは、2003年10月のイベント出演以来となった。また10月には約19年ぶりの新曲「アイノネ」を、FM NORTH WAVE、J-WAVE、ZIP-FM、FM802、cross fmの5つのラジオ局によるキャンペーン「JFL presents FOR THE NEXT supported by ELECOM」のテーマソングとして発表。同キャンペーンのライブツアー「JFL presents LIVE FOR THE NEXT supported by ELECOM」に参加し、全国5カ所を回る。12月にはシングル「アイノネ」を発売。2016年6月にはKjとのコラボ曲「my town」を表題曲としたシングルをYEN TOWN BAND feat. Kj(Dragon Ash)名義でリリースする。
- YEN TOWN BAND
- YEN TOWN BAND - UNIVERSAL MUSIC JAPAN
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- Charaの記事まとめ
Dragon Ash(ドラゴンアッシュ)
Kj(Vo, G)、桜井誠(Dr)、IKÜZÖNE(B)の3人で結成されたミクスチャーロックバンド。1997年2月にメジャーデビューを果たす。1999年に発表したシングル「Let yourself go, Let myself go」がヒットを記録し、一躍有名に。2002年にはシングル「Fantasista」がサッカーワールドカップのFIFA公式テーマソングの1つに選出された。その後もオルタナティブロックやヒップホップ、ラテンなどさまざまなジャンルを取り入れたミクスチャーサウンドで独自の活動を続けるが、2012年4月にIKÜZÖNEが急逝。以降はKj、桜井、BOTS(DJ)、HIROKI(G)、DRI-V(Dancer)、ATSUSHI(Dancer)の6人にサポートベーシストを加えた編成で活動している。2014年1月に3年ぶりのオリジナルアルバム「THE FACES」をリリース。同年5月にはキャリア初となる東京・日本武道館ワンマンライブを成功させた。2015年3月にはKjが降谷建志名義でソロ活動をスタートし、6月に初のソロアルバム「Everything Becomes The Music」をリリースした。2016年4月から5月にかけてはDragon Ashとして約2年ぶりの全国ツアーを実施した。
2016年7月19日更新