ナタリー PowerPush - やなぎなぎ
野心むき出しのド・ロックで「ヨルムンガンド」の世界を彩る
「真実の羽根」はレクイエム的な意味合いが大きい
──2曲目の「真実の羽根」は「ヨルムンガンド PERFECT ORDER」第3話限定のエンディングテーマになっています。
ココの部隊の一員であり、CIAの工作員でもあるアールというキャラクターがお亡くなりになるときに流れたんです。なので、歌詞もその追悼的な内容にしてみました。
──前作のときにも、ココを狙う殺し屋・チナツが亡くなるエピソード限定のエンディングテーマ「白くやわらかな花」を制作しています。あの曲はある意味「Ambivalentidea」と同じで、チナツの生涯をイメージした物語を歌ってみたとおっしゃっていましたけど、今回は……。
視点やアプローチは、ある意味「ラテラリティ」と同じですね。アールという人のことを直接歌うのではなくて、遺された人たちの心理描写というか、レクイエムを書いてみました。
──ただ、「天秤」というフレーズが出てきたりと、CIAとココの間で揺れるアールの生き方をイメージさせる内容にもなってますよね。
もちろんそういうこともイメージして作ってはいるんですけど、それ以前に実は「真実の羽根」ってエジプト神話に出てくるエピソードなんです。死者の心臓と女神の羽根を天秤にかけて、その重さが釣り合えば、その人は楽園へと旅立てるという。そして、そのたどり着ける楽園の名前が「アアル」っていうらしいんですよ(笑)。だから、やっぱり「アアル」と「アールの死」をかけたレクイエム的な意味合いの方が大きいんですよね。
「この1回で人生が終わってもいいかな」と思ってる
──当然、人生においてレクイエムを書くのって初めてですよね?
ええ。ただ、アールの死がテーマになることも早くから決まっていたし、真実の羽根とアアルのエピソードも以前から知っていたので、作詞自体はかなりスムーズでした。自分でも不思議なくらいすんなりと書けました。追悼の歌なのに(笑)。
──やなぎさん自身はアアルのような存在って信じます?
「あったらいいな」とは思います。アアルにたどりついたあと、また旅に出るというか。次に生まれ変わるべき自分を探しに行けるような世界があれば救われるよな、面白いな、とは思ってます。
──ただその神話に沿って歌詞を読むと、アールはアアルに旅立ててないですよね。「そうして天秤は二度と傾くことは無」いわけですから。
ええ、残念ながら……(笑)。だから「あったらいいな」なんですよね。ただ、私自身は「この1回で人生が終わってもいいかな」「満足して死ねるかな」とも思ってるんですよ。
──へえ! 未練はありませんか?
もちろん、まだまだやりたいことはたくさんあるし、作品も作り続けていくんですけど、例えばこうやって音楽を作ることで生活できていることもそうなんですけど、「こうなりたい」「こうありたい」と願っていた生き方ができているとは思っていて。あとは、どれだけこのまま活動を続けていけるかっていう部分の勝負だとは思っているので、まあ1回きりで終わってもいいかなと(笑)。
前作との共通点も欲しいけど新しい要素も欲しい
──そしてこの曲は「Ambivalentidea」や「白くやわらかな花」から引き続き、bermei.inazawaさんが作編曲を手がけていて、スローテンポでピアノを中心に複雑なアンサンブルを聴かせる作風も似ています。
「Ambivalentidea」や「白くやわらかな花」と同じく、完全にinazawaさんにお任せで作っていただいたんですけど「前作との共通点も欲しいけど、新しい要素ももちろん欲しいな」とは思っていて。そうしたらホントにその中間点をうまく探っていただけました。
──「Ambivalentidea」や「白くやわらかな花」以上にリズム隊を後退させてアンビエントなテイストを強調している上に、普通に聴いているとスムーズに曲が進行していくものの、実はこれ、単なる4拍子じゃないですよね。
ええ、かなり変拍子が混ざってます(笑)。以前もお話させていただいたように「ヨルムンガンド」はテーマがテーマだけに大人の方も観ているアニメだと思うので、多少複雑で引っかかりのある曲、雰囲気のある曲のほうが面白いのかな、とは思っていて。それがinazawaさんにお願いさせていただいている理由でもありますし、今回もそのイメージどおりに作っていただけましたね。
収録曲
- ラテラリティ
- 真実の羽根
- link
- ラテラリティ(instrumental)
- 真実の羽根(instrumental)
- link(instrumental)
「ラテラリティ」発売記念イベント
- 2012年11月10日(土)東京都 アキバ☆ソフマップ1号店 8Fイベントスペース
OPEN 11:30 / START 12:00
内容:ミニライブ+サイン色紙プレゼント - 2012年11月10日(土)東京都 タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
OPEN 15:30 / START 16:00
内容:ミニライブ+サイン色紙プレゼント - 2012年11月11日(日)大阪府 タワーレコード難波店
OPEN 12:30 / START 13:00
内容:ミニライブ+サイン会 - 2012年11月11日(日)大阪府 TSUTAYA EBISUBASHI
OPEN 16:00 / START 16:30
内容:ミニライブ+サイン会 - 2012年12月8日(土)茨城県 WonderGOO守谷店 GOOst
START 14:00
内容:ミニライブ&サイン会(ミニライブ終了後)
参加方法などの詳細はやなぎなぎオフィシャルサイトにて確認を。
やなぎなぎ
関西出身の女性シンガーソングライター。2006年からライブハウスやインターネット上で音楽活動を開始する。動画投稿サイトに数多くのカバー楽曲を公開して注目を集め、「君の知らない物語」をはじめとするsupercellの楽曲にnagi名義でゲスト参加したことでも話題となった。繊細かつ透明感あふれる歌声と、印象的な楽曲の世界観が幅広い層から支持される。2012年2月、テレビアニメ「あの夏で待ってる」のエンディングテーマ「ビードロ模様」でメジャーソロデビュー。同曲はオリコンウィークリーチャート11位にランクインした。6月にはテレビアニメ「ヨルムンガンド」のエンディングテーマを含む2ndシングル「Ambivalentidea」をリリース。11月にはテレビアニメ「ヨルムンガンド PERFECT ORDER」のエンディングテーマを収録した3rdシングル「ラテラリティ」を発表する。