ヤバイTシャツ屋さん「こうえんデビュー」インタビュー|褒められたい大使たちがゆとり肯定する10枚目のシングル

ヤバイTシャツ屋さんが10thシングル「こうえんデビュー」をリリースした。

昨年9月に発表した4thフルアルバム「You need the Tank-top」がオリコン週間アルバムランキング、Billboard JAPAN週間「Top Albums Sales」で首位を獲得し、名実ともに人気バンドの仲間入りを果たしたヤバイTシャツ屋さん。予約があった4万枚を超えるアルバムのジャケットにサインを書くというメンバーにとって過酷な企画を行い、その模様をSNSを通じてライブ配信するなど、コロナ対策で対面イベントが実施できない状況を逆手に取ったプロモーションでファンの心をつかんだ。

2021年最初の作品となる「こうえんデビュー」は、目を疑うようなタイトルの「くそ現代っ子ごみかす20代」、Huluオリジナルドラマ「マイルノビッチ」の主題歌「Bluetooth Love」、2月29日生まれの人へのメッセージを込めた「2月29日」、そして岡崎体育による「くそ現代っ子ごみかす20代」のリミックスという4曲入り。ヤバTの新たな歴史を刻んだフルアルバム「You need the Tank-top」に続く「こうえんデビュー」はいかにして生まれたのか、3人に話を聞いた。コロナ対策で外でのロケができなかったため、屋内でヤバTに「こうえんデビュー」してもらった撮り下ろし写真も楽しんでほしい。

取材・文 / 清本千尋 撮影 / 草場雄介

1位を獲ったのにあまり祝われてない

──遅くなりましたが、昨年9月にリリースした4thフルアルバム「You need the Tank-top」がオリコンとBillboardの週間ランキングで見事1位を獲得しましたね。おめでとうございます。

こやまたくや(G, Vo)

しばたありぼぼ(B, Vo) わーい。

こやまたくや(G, Vo) あんまり祝ってもらってないんですよ。だから自分から発信してるんです。

しばた 「ヤバTのアルバム、1週間で一番売れたんですよ」ってね。

──祝われなかったのは、自粛期間であまり人に会わなかったからなのでは……?

こやま まあそれもあるんですけど、友達やバンド仲間からの連絡もなくて。ユニバーサルの人からもそんなに褒められなかったし。もうね、過剰に褒められたいんですよ。僕らは。

しばた 4万3000枚のジャケットにサインを書いたのがすごいねと褒められたぐらいで(笑)。

こやま そう。でも周りの皆さんはサインを書くというのはチートという認識なんですよ。

もりもりもと(Dr, Cho) まあまあ(笑)。

全員大使のバンドです

──サインを書くことにした結果、CDが過去最高の枚数売れたということは、ヤバTのサインが欲しい人……つまりそれだけファンがいるという証明でもありますし、しっかりとファンのもとへ作品が届いたということでもありますよね。3人は今ツアー中ですが、その最中にしばたさんがたかつき観光大使に就任したことが発表されました(参照:ヤバTしばたありぼぼ&夜ダン・マイケルが「たかつき観光大使」に就任)。すでにもりもとさんは浜松やらまいか大使として活動されていますし、今年こやまさんも京都府文化観光大使になるんですよね。さらに3月1日から宇治市観光大使にも就任されるという。

こやま はい。京都府文化観光大使の方はまだ公式の発表はないんですけど、決まりまして。

しばたありぼぼ(B, Vo)

しばた 3人全員が大使のバンドです。

こやま しかも全員違う場所(笑)。

もりもと 全員が地元で大使になったんですよ。

しばた 逆に3人でならなかったのなんでなんやろう。

こやま 大阪芸大があった喜志からのオファーがあればなあ。3人で喜志観光大使になったのに。

──まあ「喜志駅周辺なんにもない」と歌っている人に、そういう機会はないのではないでしょうか(笑)。

こやま そこに関してはなんとも言えないですね……。

もりもと 喜志には古墳があったり聖徳太子の何かがあったりするんですけどね。

しばた 高槻市のほうが古墳は多いです。

こやま え、浜松には古墳ないんですか?

もりもと 浜松に古墳はないですけど、素敵な砂丘はありますよ。ウミガメが産卵しに来るんです。

しばた 高槻に砂丘はないな。京都にもないやろ?

こやま そうなんよ。でも京都には歴史的な建造物がすごくたくさんあるし、文化が盛んな場所なんですよ。文化庁も京都になるんで。観光大使になったらいやってほど聞かれると思うんやけど、京都府や宇治市はなんて答えるのが正解なん?

もりもと 実はミュージシャンが多いとか……。

こやま 確かに! それ使うわ。「ミュージシャンが多いんですよ!」って。あと芸人さんも多いんで、自由な感性を育ませてくれるような街なんじゃないかなって思うし。まあ僕は京都府だけじゃなくて宇治市もやからなあ。京都とひと括りに言ってしまっていいのかという心配もありますけど……。

しばた うるさい! もう、退任してくれ!(笑)

こやま いやあね、市だけじゃなくて府を背負うのが怖いねん。大きすぎる。

もりもと 僕も確かに静岡県の大使って言われたらドキっとするかも。

こやま やろ! まあ京都府に大使はいっぱいおるし、僕は地元の宇治のいいところをメインに発信していこうかなと思っています。

ちゃんと流行りに乗っていく

──そんな大使3人のバンド、ヤバイTシャツ屋さんの10枚目のシングルは「こうえんデビュー」というタイトルです。ヤバTのシングルタイトルは、リード曲と関連があるわけではなく、初回限定盤に付属する“くそDVD”の内容から決まるそうですが、今回のくそDVDではキャンプに行かれたんですね。

こやま 本当は“どきどきキャンプ”にしたかったんですけど、その名前の芸人さんがいらっしゃるんで違うのにしました。キャンプと言えば公園、公園といえばデビューかなと今回のタイトルになりましたね。

──山とかじゃないんですね(笑)。

こやま はい。ヤバTのキャンプは公園です。そして「こうえんデビュー」って言葉にはポジティブなイメージもあるかなと思って。

しばた 新しいことを始めるのっていいですよね。今回のDVD撮影で初めてキャンプに挑戦したんですよ。

もりもと 今キャンプはアツいですからねえ。

しばた ちゃんと流行りに乗っていくヤバイTシャツ屋さん。

こやま キャンプ動画が流行ってますからね。

しばた 3人で必死にキャンプしたよな。

こやま テント建てて、料理作って、バトミントンして語りっちして……。

しばた チルったよなあ(笑)。

──「うなぎのぼり」のときのインタビューで、「内容がくそだからくそDVDだったのに最近はくそじゃなくなってきている」という話をされていましたが、今回はどうでしょうか?

こやま そうそう。前回のくそDVDの収録は浜松に前乗りして1泊2日だったんですよ。そんな気合い入ってるの、くそDVDじゃないでしょっていう。最初のくそDVDは天王寺動物園に行って2時間くらいでパッと録って終わってたのに(笑)。

もりもりもと(Dr, Cho)

しばた 午前集合、午前解散だったもんな。

もりもと いや、浜松も楽しかったやん(笑)。今回は施設に頼らないという裏テーマを設けて、日帰りキャンプを楽しみました。たぶん初心を思いだすような内容になっています。

こやま めちゃくちゃ面白いってマサさん(マネージャー)が言ってましたよ。今までのくそDVDで一番面白いって。ヤバT好きじゃないと本当に観るに堪えへんと思いますけど。

しばた あと人によっては共感性羞恥がありそう。ヤバTってそんなバンドやん。

もりもと いや、どんなバンドやねん(笑)。