「呪術廻戦」で描かれる人間らしい感情や葛藤を表現
──2019年11月にリリースされたメジャーデビュー曲「Q-vism」は、テレビアニメ「PSYCHO-PASS サイコパス 3」のオープニングテーマで、いきなり大きなタイアップでしたが、これも想定内?
いや、さすがにそこまでは(笑)。「PSYCHO-PASS」は、ディストピア的な世界観だったり、哲学や思想が強めの作品だったりしたことを含めて、Who-ya Extendedと同じ温度感を感じたんですよね。「アニメのタイアップでデビューしたい」と決めていたわけではないけど、いいタイミングでお話をいただいたと思っています。人気のあるアニメの主題歌に選んでいただいたことで、活動のレベルも上がったので。
──反響はどうでした?
初回の放送のときは、「本当に流れるのかな?」と思っていたというか(笑)、現実味がなかったんですけど、すごい反響がありました。劇場版「PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR」の主題歌「Synthetic Sympathy」も担当させてもらって、アニメのファンの方に受け入れられたという実感が徐々に出てきて。歴史があるアニメだし、最初は「違和感があったらイヤだな」という不安もあったんですけど、「すごく合っている」という声を聞くと、主題歌アーティスト冥利に尽きますね。
──新作EP「VIVID VICE」の表題曲は、テレビアニメ「呪術廻戦」のオープニングテーマですが、この楽曲はアニメに向けて制作されたんでしょうか?
アニメも意識はしていましたが、主人公の虎杖悠仁の視点で作ったのかと言われると、そういうわけではなくて。「呪術廻戦」は呪いだったり、僕たちの世界とかけ離れているように感じるけど、ストーリー自体は主人公たちの成長、人間らしいところにスポットを当てている作品だと感じたんです。それは僕自身が「呪術廻戦」のファンだから感じるところでもあるし、「VIVID VICE」でも表現したいなと。人間らしい感情や葛藤は、歌詞や音作りにも反映されていますね。
──Who-yaさん自身のリアルな感情も込められている?
そうかもしれないです。今21歳なんですけど、音楽のことだけじゃなく、悩みが多い世代じゃないですか(笑)。僕自身を含めた世代の苦しさや葛藤みたいなものはこの曲にも入っていると思います。「VIVID VICE」はサウンドも人間っぽさを出したくて、デジタルサウンドを使っていないんです。1stアルバムにはいろんなタイプの曲が入っていて、電子音もかなり使っているんですけど、「VIVID VICE」は生音重視。Who-ya Extendedとしても、攻めた楽曲になっていますね。
何色にもなれるボーカリストになりたい
──そのほかの収録曲「The master mind」「VIVID BANG」「Enough Is Enough」に関しては、どんなイメージで制作されたんですか?
「VIVID BANG」は「VIVID VICE」とリンクしていて、サウンドも生音が中心ですね。「The master mind」「Enough Is Enough」は、これまでのWho-ya Extendedのテイストというか、疾走感があって、重めのギター、打ち込みの音も使っています。トラック、メロディを先に作って、歌詞はあとから書きました。韻の踏み方だったり、印象的なフレーズを繰り返すことは意識していましたね。
──ボーカルについても聞かせてください。ヘビーなサウンドの楽曲でも、激しく叫ぶことはなくて、あくまでもメロディをしっかり描き出すスタイルだと思いますが、そのあたりは意識しているんでしょうか?
確かにシャウトすることはないですね(笑)。楽曲の完成度は高いと思うんですが、ボーカリストとしてはまだまだ完成していないと思っているんですよ。ロックサウンドに負けない存在感も大事だと思いますが、この先、いろいろなジャンルに挑戦したいし、全然違う音楽にも対応できるようになりたくて。対応という言い方が合っているかどうかわからないけど、曲に応じた表現をしたいんですよね。歌を届けることは大前提ですけど、僕としては曲全体で評価してもらいたいし、そのために必要な歌い方をしたくて。やりたいことをやるためにも対応力が要るし、もっと練習しないと。
──ジャンルを超えていくためのボーカル力が必要だと。
そうですね。Who-ya Extendedの楽曲を色に例えて、「この曲は〇色」とツイートしているファンの方がいたんですけど、僕らはマルチカラーというか、曲によって全然違う色になれると思っていて。自分たちが作りたい曲、求められるものに対して、何色にもなれるボーカリストになりたいし、それがクリエイターズユニットの持ち味じゃないかなと。
──ユニットの編成も変化しているんですか?
はい。「このメンバーが固定のメンバーです」みたいなことではなくて、その都度、必要に応じて集まるというか。作りたいもの、求められるものに対して、足りてないピースを埋めてくれる人にサポートしてもらうという感じですね。
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ついに顔出し?