Who-ya Extendedが11月10日に2ndアルバム「WⅡ」(ダブリューツー)をリリースした。
今年2枚のミニアルバムをリリースし、8月には初の有観客ライブ「『Icy Ivy』Release Special Live『VIVID × VIVID』case of "Icy Ivy"」を行なったWho-ya Extended。アニメ「呪術廻戦」第2クールのオープニング曲「VIVID VICE」、アニメ「NIGHT HEAD 2041」のオープニング曲「Icy Ivy」を含む全12トラックを収録した2ndアルバムは、ヘヴィロックやエレクトロなどを融合したサウンド、現代性と寓話性が交差する歌詞世界、豊かさを増した歌など、クリエイターズユニットとしての進化が実感できるアルバムとなっている。
音楽ナタリーではボーカリストのWho-yaにインタビュー。アルバムの制作秘話や各楽曲の魅力についてじっくりと話を聞いた。
取材・文 / 森朋之 撮影 / 斎藤大嗣
初の有観客ライブで見えてきたもの
──まずは8月に行われたライブ「『Icy Ivy』Release Special Live『VIVID × VIVID』case of "Icy Ivy"」について聞かせてください。初の有観客ライブでしたが、手応えはどうでした?(参照:Who-ya Extended、初の有観客ライブでアルバムリリースを発表「その先へ向けて前に進み続けたい」)
個人的にもWho-ya Extendedとしても、「今、自分たちが持っているもの」と「この先に必要なもの、目指すべき場所」が把握できた気がします。初めての有観客だからお客さんのほうも「どんなものを見せてくれるんだろう?」みたいな緊張感があったと思うんですけど、ライブ自体はすごくボルテージ高く盛り上がりました。こちらもヒリヒリした感じとともに、思った以上に熱くなったというか。お互いに共鳴できた感覚もあって楽しかったんですけど、あとで映像を観て、客観的に振り返ったときに、いろいろと思うところがあったんですよね。
──この先の課題も見えてきた?
そこまではっきりとしたことは言えないんですけど、まずは単純にライブの数を増やしていきたいと思いました。もちろん状況にもよるんですけど、これから少しずつライブの環境は回復していくだろうから、僕としては「数を打っていきたい」という気持ちがあって。やってみないとわからないことも多いですからね。前回は特別な盛り上がりがあったけど、東京に限らず、いろんな場所でやってみたいので。
──ライブのスタイルについてはどうですか? ショー的な要素を反映させるのか、それともライブハウス的な一体感を目指すのか。
僕はどっちも好きですけど、Who-ya Extendedとしては、どちらかと言えばショー寄りなのかなと思ってます。まあ、それもやってみないとわからないというか(笑)、自分たちが見せたいものと、お客さんが望んでいるものが必ずしも一致するわけではないので。まずは自分たちのスタンスを示して、それに対してお客さんがどう反応するのか。前回は思った以上の熱量を返してくれて、それに乗せられた部分もありましたから。
──リスナーを目の当たりにしたこと自体も、かなり刺激になったのでは?
うん、それはありました。会場に来てくれた方の中には「Who-yaってホントにいたんだ?」という人もいたそうなんですよ。ずっと音源か画面の中にしかいなかったので、実在しないんじゃないか?みたいな(笑)。逆も然りで、僕もファンの方々に初めて会って「この人たちが自分たちの音楽を聴いてくれてるのか」と感慨深いものがありました。デビューして1年半経って、もう一度スタートラインに立った気分でしたね。
今を詰め込んだアルバム
──では、2ndアルバム「WⅡ」について聞かせてください。前作「wyxt.」(2020年4月発表の1stアルバム)から約1年半ぶりのオリジナルアルバムですね。
はい。その間にミニアルバムを2作(「VIVID VICE」「Icy Ivy」)をリリースしているし、かなり早いペースですよね。
──ミニアルバムのタイトル曲「VIVID VICE」「Icy Ivy」も収録されていますが、アルバムの全体像やコンセプトなどはあったんですか?
まず、この1年半の間に自分たちが立っている場所や自分自身も大きく変わったと思います。世界も変わり続ける中でWho-ya Extendedとして活動してきて、今現在の立ち位置や、そこから見える情景を描きたいなと。“Who-ya Extendedの今”を詰め込みたいというか。
──Who-yaさんも、自分の変化を実感しているんですね。
変わらざるを得なかったというのが正直なところですね。「ここが変わりました」とパッと言うのは難しいんですけど、ニュースを見ているだけでも、何もかも変わっているので……。僕は今22歳なんですけど、周りの友達の様子を見ていても、めちゃくちゃ変化してますからね。
──そうか、1stアルバムの頃は二十歳くらいだったんですね。
大人の階段を上ってる時期でした(笑)。「10代の頃に想像していた二十歳って、こんな感じだったかな?」と思いながら制作していた気がします。そのあとは考える時間も多かったし、自分と向き合う中で変化してきたところもあって。「貴重な時間を失ってしまった」みたいなスタンスの友達もいるけど、僕自身はそこまで悲観的に捉えてないんですよね。人生に1度あるかないかの出来事だし、「のちのち話せるネタができたな」と思ってるところもあるので。
──「WⅡ」というタイトルについては?
直球の意味としては「Who-ya Extendedの2枚目のアルバム」ということですね。1stアルバム、2作のミニアルバムを経て、次のステップというか、新たな1歩を踏み出すという気持ちも込めてます。もう1つは、言葉遊び。「VIVID VICE」の頭文字(V)を合わせると“W”になるし、「Icy Ivy」の頭文字(I)を合わせると“Ⅱ”になるので。そういう意味でも、2021年を詰め込んだ作品になってますね。12曲入ってるんですけど、全部今年に入ってから作った曲なので。
──なるほど。アルバムのキービジュアルは前作に引き続きイラストですが、前回のビジュアルより少し成長してますよね?
そうなんです。前作から1年半経っているのでキービジュアルも青年に近付いていて、ちょっと凛々しくなってます(笑)。今回もイラストレーターのよしおかさんに描いていただきました。
「VIVID VICE」を超える楽曲を
──収録曲についても聞かせてください。1曲目は「WⅡ -prologue-」。まさにアルバムの始まりを告げる楽曲ですね。
「WⅡ -prologue-」は8月のライブのSEに使った曲なんです。その時点ではアルバムに入れるつもりはなかったんですけど、さっきも言ったように、ファンの皆さんの前で歌うことで得られたことがすごくあって。そのあと、アルバムの制作に入ったときに「SEに使った曲がアルバムの世界観につながっているかもしれない」と思ったし、1曲目にすることで1本の映画のような構成にできそうだなと。会場に来てくれた方、配信でライブを観てくれた方は「あの曲だ」って気付いてくれるかもしれないですね。
──ライブとつながってるんですね。2曲目の「VIVID VICE」はアニメ「呪術廻戦」のオープニング曲として話題を集め、Who-ya Extendedの存在が広まるきっかけになった曲です。ターニングポイントになった実感もありますか?
そうなんですけど、自分の中ではまだ現実味がないんですよね。リリースから半年以上経ってこんなことを言ってるのはおかしいんですけど(笑)、国境を越えて日本以外のリスナーに届いてるのもすごいなと。ただ、Who-ya Extended自体が浸透したとは思ってないんです。再生回数はずば抜けて高いし、確かに知ってもらう機会にはなったけど、アーティストとしては、まだまだこれからなので。「来年以降、『VIVID VICE』を超える楽曲を作らなければならない」という使命感もあるし、それがモチベーションにつながっているところもあります。