wyse結成22周年インタビュー|歩みを共に 心を合わせた4人の思い (2/2)

ステージに立てばやっぱり楽しい

──昨年11月リリースのシングル「Brand New World」は、TAKUMAさんいわく「どうしても形にして、届けておきたかった1曲」とのことでした。今年開催された全国ツアータイトルにも冠されましたが、9月にスタートした「10th Anniversary Live Tour 2021『It's just a "Brand New World" -episode.2-』」の手応えはいかがでしたか?

TAKUMA やっぱりその空間に来ていただいてこそ、はじめて伝えられるものがある、そこにしか存在できないものが確実にあると、改めて感じた時間でした。配信のよさはある、けれど明らかに違うものがそこには存在するということにも改めて気付けました。そういった1つひとつをちゃんと未来につないでいって、これまでのすべての時間があったからこそ今があるんだっていうところに、しっかりと着地できれば美しいなと思います。

月森 どんなに悩んだり思考をこねくり回したりしたところで、やっぱりミュージシャンなので人前でステージに立てばやっぱり楽しいです。入場人数を制限したり、声は出さないお願いをしたり、試行錯誤しながらでも続けてきてよかったなという思いしかないですね。僕は憑依型で歌うタイプなのでライブ中の記憶がないこともあるんですけど、終わってみて楽しいなとか、やってる最中に終わってほしくないと思ったことは記憶にずっとあるので。

wyse

wyse

──「wyse tour2021『It’s just a "Brand New World"』(2021.4.17~6.19)」と題したドキュメンタリーDVDも制作されたんですね。こういう状況下でカメラを回しておくことって、すごく大事だと思います。こんなこと、おそらくこの先もそうそうないと思いますし。

TAKUMA 歴史ですよね。僕たちとしては周年記念でもあったし、このツアーは来たくても来ることができないという方がいることをちゃんと理解している気持ちでいたので、せめて映像として残しておこうと。形として残れば触れてもらえるし、そこから僕たちのメッセージや考え、生きた証をたどってもらえるかもしれない。また参加してくれた方にとっても、1つの大きな思い出となってくれたらうれしいですし。行ったことのない各地の会場、そこでのwyseに触れて、いつかあの場所、あの土地へ行ってみたいって、そうなってくれたらまた未来への楽しみが増えるかもしれない。それがこのドキュメンタリーのテーマです。

──ツアーに参加された方、行けなかった方、たくさんの方に観てもらいたいですね。そしてライブ会場と通販限定で、過去の楽曲をリテイクしたミニアルバム「Style」もリリースされました。タイトルはMORIさんが決められたそうですね。

MORI 要は芸術様式の様式=Styleみたいな感じです。流行というより、僕らの年表の中で当時の自分たちを切り取ったものにしたいというか。TAKUMAがまだ10代のときに書いた曲もありますし、それを今の僕らが演奏したとき、あの頃の勢いとはまた違う熱量が出せるんじゃないかと。ライブで経験してきたことが自分たちの歴史になっていて、プレイスタイルが変われば自然と曲の肌触りも変わってくるので、新鮮に聴いてもらえるものもあると思います。いろんな時代に生まれた楽曲たちですけど、今の僕らってところで切り取ったときに様式がちゃんと残せればいいなと思って。耳触りがよく、誰でも想像し得る1個の単語がいいなというところで「Style」に決めました。まだ今後どうなるかわからないですけど、TREE seriesのように2作目、3作目と続けて、その時その時に感じたものを残せればいいなと思っています。

MORI(G)

MORI(G)

──インディーズ時代の「D&D」や「It's not like me, It's not like you」といった最初期の曲も再録されていて、20年の月日を感じます。

TAKUMA レコーディングしながらいろいろと感じるものがありましたね。「D&D」の歌録りのとき、ブースの中で月森が歌って、僕は卓の前でディレクションするんですが、形や環境は違えどあの頃と何も変わっていなくて。20年も前の曲を2021年の今、あの頃と同じようにムキになって、一生懸命で……あの日の大阪の町のスタジオで「D&D」の歌録りをしていたときのことが重なったりもして。俺らいったい何やってるんだろうって。当時思っていた夢のいくつかは叶っただろうし、そのうちのいくつかは叶うことはなかったのかもしれない。そんなことを知ることもない2人が純粋にまっすぐに音を作り未来に向かい発信しようとしているそのときの光景すべてが、今の2人のそのさまと重なって。なんだか20年前の僕たちとシンクロしながらレコーディングを進めていったような、そんな感覚でした。月森もすごくいい歌を残してくれて、作品を残す意味ってこうだよねって。ライブとはまた違ったよさがあるということを思い出させてもらいました。

23周年ライブはみんなで心を合わせる2日間

──バンドがとてもいい状態のまま、来年2月11日に開催される結成23周年ライブに向かうわけですが、こちらはどういうものになりそうでしょう?

TAKUMA 僕らとしてもとても大きく、重要な意味を持つことになる区切りですが、何よりこの周年公演というのはファンの方々のためのものであるとそう考えていますので、ただただ楽しく素敵な時間を届けてあげたい。コロナ禍でまだまだ先の状況もわからないですけど、だからこそネガティブな要素なんて欲しくなくて、皆さんの「そこに行きたい」と思う気持ちが増えるようにしてあげたいなと。もっと言うと、これまで来れなかった方も集まれる日であってほしいという願いも込めて。じゃあ、どんなことをやれば特別感を出せるか?と考えたときに、会場のニューピアホールはとても広くてキレイで、環境もいいので、そこでwyseを見せてあげられたら素敵だなと。いろんな案を出しながら、今まとまっているのは360°のステージでやろうということですね。

──360°ステージですか!

TAKUMA 2018年に一度、TOKYO FMホールで360°ライブをやったので、そのときに来られた方はどういう感じかイメージが湧くかもしれませんが、今回はそれ以上です。「あれをやるんだ!」って、ときめいてくれたらやる意味がさらに上がるし、前回とはまた違う会場でさらにできることも増えるので、どこまでできるか僕たちもワクワクしながらステージ作りとか演出を考えているところです。360°ライブもアーティストによっていろんな形があると思うんですけど、僕らがTOKYO FMホールでやったときは360°客席に囲まれたセンターステージの真ん中にドラムとキーボードがいて、僕たちはそれぞれ四方向にお客さんの方を向いて演奏したんです。途中、ブロックごとのタイミングでメンバーが入れ替わりながら。今回それと同じでも絶対面白いし、演出面で何か新たにできることもあるはずなので、まずはショーとしてワクワクしてもらえる1日をイメージしてもらいたいです。

──タイトルも決まっているんですか?

TAKUMA 「心合わせ」です。今回2日間あって、1日目はファンの方がセレクトしたセットリスト、2日目はメンバーがそれを受けて構成しようと思っています。両日違う内容で、ファンの方と僕ら、メンバー同士、ファン同士、みんなで心を合わせられる2日間にしたいと思っています。

HIRO まだまだ蓋を開けてみないと状況がどうなるかわからないですけれども、来る方に絶対楽しんでいただけるように最善の準備を進めてますので、楽しみにしていただけたら。

HIRO(G)

HIRO(G)

月森 2日目についても、バンドとして「今だからこそ」という曲もあると思うので、じっくり考えていきたいですね。もしかするとファンの方がセレクトした曲とだだかぶりするかもしれないので。

TAKUMA 心が合ってしまって(笑)。

月森 そうそう、合いすぎてね(笑)。

──しばらくライブに行けなかった方も、今回初めてwyseのライブに行くという方も、ぜひ足を運んでいただきたいですね。1日目のリクエスト募集も、たくさん応募が集まることを楽しみにしています。

TAKUMA リクエストライブと言うと平たく聞こえますけど、wyseのファンの方、気になってくれている方、みんなで「wyse史上最高のセットリストを作るぞ!」ぐらいの気持ちで参加いただけるとうれしいです。またこの公演は望めるなら、これまで会場へ足を運ぶことを見送り、断念していた方々がそれぞれのあの日以来に僕たちと、みんなと再会することのできる大切な場所になってほしいとそう願っています。会場、またその環境、再会の場として、これほどベストなところは今のwyseにはないと思っています。2022年2月、もう一度みんなで同じ場所で同じ時を共にして、心を合わせて、新しい未来へと一緒に歩き出したいと思っています。

wyse

wyse

プロフィール

wyse(ワイズ)

1999年2月に結成された4人組ロックバンド。2001年12月にアルバム「the Answer in the Answers」でイーストウエスト・ジャパン(現ワーナーミュージック・ジャパン)からメジャーデビューを果たすも、2005年2月に解散。2011年に再結成し、2017年8月にアルバム「Breathe」で再メジャーデビューを果たす。結成20周年を迎える2018年には、手塚プロダクションとのコラボ企画でシングル「ヒカリ」をリリース。2019年2月に行われた結成20周年記念ライブで“充電”と銘打った活動休止期間に入ることを発表した。同年12月に“充電完了”を報告し、活動を再開。「RAYS」配信リリースするとともに、手塚プロダクションが制作したアニメーションを公開した。2020年5月に3年ぶりのアルバム「Thousands of RAYS」を発表。2021年には再結成10周年を記念した全国ツアーを行い、このツアーのファイナル公演を収めたBlu-rayが通販限定で販売中。2022年2月に結成22周年を記念したワンマンライブを開催する。