w-inds.「winderlust」インタビュー|橘慶太プロデュースの新作で得た絶対的な自信 (3/3)

今の自分がどういう姿かを見てほしい

──「Who's the Liar」を起点に、アルバム後半は「Look at me」や「Feel the beat」と変化に富んだ構成を見せます。

 「Look at me」もメッセージ性の強い楽曲です。これは“長く活動しているアーティストあるある”だと思いますが、新曲を作るたびに過去の自分と比べられる機会が増えていくじゃないですか。もちろんそれをやめてくれっていうわけじゃないんですけど、やっぱりアーティストはみんな今の自分がどういう姿かをみんなに知ってほしい、見てほしい気持ちが強いわけです。そういう思いを、この曲に込めました。

──「Who's the Liar」のあとに並ぶからこそ、だいぶ刺さるメッセージだと思いますし、これも20年以上活動している今のw-inds.ならではの楽曲だと思いました。

 デビュー5年以内とかだったら、きっとスタッフに止められますもんね(笑)。やっぱり長く続けていると、こうやって自分たちの腹の底にある思いも表現できるようになるから、面白いですよね。

──大人になっていくことで感情の表現もどんどん変わってきますものね。

 確かに。そこが音楽のよさですよね。「Who's the Liar」に込めた「SNSは嘘ばっかりだから、信用するな」というメッセージは言葉では言いづらいけど、音楽に乗せて表現することはアリだと思っていて。音楽だからこそ伝えられる自分の意思はいくつもあるなと感じています。

橘慶太

橘慶太

──ニュージャックスウィング感のある「Feel the beat」は、懐かしさと新しさが混在する、ひたすら気持ちいい1曲です。

 シンプルに気持ちいいですよね。

千葉 うん。ただ気持ちよく楽しむための1曲だよね。

 「Feel the beat」はこのアルバム制作で最後にレコーディングしたんですけど、仕上がったあとの達成感と楽曲の空気感が僕たちをだいぶチルい気持ちにさせてくれました。

千葉 「やっと終わったね」みたいな感じでね。

──この曲がアルバム終盤にあることで、ホッとするんですよ。

 今作は強い曲が多いですし。

千葉 そこを緩和させてくれるという意味でも、「Feel the beat」の存在は重要かもしれませんね。パフォーマンスにおいても、この曲ではいろいろ遊べそうな気がしますし。

ゲストだけじゃない、ファンとの関係性も「Like a fam」

──9曲目「Like a fam feat. 島袋寛子, 谷内伸也(Lead), KIMI(DA PUMP)」は事務所の仲間を迎えた楽曲です。

 はい。ありがたいことに事務所の先輩後輩に参加していただいて、すごく豪華な楽曲になりました。実はこれ、僕が楽曲制作を始めて1年未満のときに作っていた曲で、コード感が好きでずっと取っておいたんですよ。で、最近ツアーリハーサルの合間にこの曲のデモを見つけて、「次のアルバムにぴったりだな」と思って涼平くんに「こういうトラックがあるんだけど、どう?」と聞いてみたら「いいね」と言ってくれて。でも、さっき確認したらその会話を覚えていないらしくて。

千葉 ごめん(笑)。

 (笑)。タイトルの「Like a fam」は事務所の先輩後輩だけじゃなくて、自分たちとファンの皆さんとの関係性にも当てはまると思っていて。そういう楽曲を満を持して、家族とも言えるような仲間と一緒に完成させられたことで、すごく納得のいく作品になりました。

──アルバム終盤、「Feel the beat」のあとに配されていて、すごくいい流れだと思いました。

千葉 めちゃくちゃ温かい曲だし、すごくホッとしますよね。

千葉涼平

千葉涼平

──そしてラストナンバーは、次へ進む覚悟を伝える「Imagination」です。

 自分たちの次のステップまでの間、このアルバムを聴いて楽しんでほしいという意味で最後に「Imagination」を置きました。

──アルバムを通して聴くと、先行シングル「Run」「FAKE IT」「Imagination」は、結果的にこのアルバムにおいて軸になっていることにも気付かされました。

 テーマが切り替わるポイントに置かれていますし、この3曲があるからあとは自由にやれたというのはあるのかな。

──にしても、全10曲で30分に満たないのに、通して聴き終えたときの充実感や満足感は非常に高いですね。

 それは僕も感じました。アルバム収録曲として10曲って決して多いほうじゃないんですけど、これは聴いていて少なく感じないというか。それはやっぱり1曲1曲が濃厚なせいなんでしょうね。

橘慶太が考える千葉涼平の歌声の魅力

──「PONYCANYON SHOPPING CLUB」だけで受注販売されるPCSC限定盤には、ボーナストラックとして「Winter Story」と「New-age Dreamer」をソロで歌った“2025 Ryohei Ver.”と“2025 Keita Ver.”がそれぞれ追加収録されています。これもまさに「Nostalgia」というツアーを経験したからこその企画なのかなと。

 そうですね。「Nostalgia」を経験したことで、みんなが聴きたいであろう楽曲も収録したいなということで、この2曲を選曲しました。ボーナストラックは配信されないですし、この限定盤CDでしか聴けないので、すごく特別な作品になったと思います。

千葉 2曲とも「Nostalgia」というツアーを通じて、自分の中で作り上げていった感覚が強くて。特に「Winter Story」は追加公演でしか披露していないのでより新鮮味が強かったです。レコーディングではツアーで歌わなかった部分も全部1人で歌ったので、ツアーを通じて自分が成長したことを伝えられたらなと思っています。

──慶太さんから見た、涼平さんの歌声の魅力はどういうところですか?

 シルキーで低音成分が少なくて、すごく軽やかな声なので、聴きやすくて心地よい声だと思います。マイクの乗りもよいですし、エンジニア目線だと、扱いやすくて助かるというか(笑)。

千葉 (笑)。

 自分でどう感じているかわからないですけど、涼平くんは自分らしい歌い方をしっかり持っているから、すでに“涼平プリセット”みたいなものが存在するわけです。僕もそれを把握できているから、ミックスにおいても「この成分が出ているから、ここを削っておけばいい声になる」とわかる。僕みたいな気分屋さんは曲によって歌い方を変えるので、プリセットができないんです。なので、涼平くんは本当にエンジニアに優しいボーカリストです。

千葉 ありがとう(笑)。

──25周年を目前に、今のw-inds.を代表する1枚が完成しましたね。今年は結成25周年という大きな節目ですが、現在の編成になってから5年というタイミングでもあります。

千葉 それ、さっき気付いたんですよ。2人体制になって初めての楽曲「Beautiful Now」(2020年12月)を配信したとき、自分たちにとってリスタートだったこともあって、ちょっと新人のような気持ちがあったんです。

 え、もう新人の気持ちが抜けてきた?(笑)

千葉 いやいや(笑)。いつまでもその気持ちを忘れずにいられたらなと思っています。そもそも20周年のときはコロナの影響でやりたかったことができず、いろいろやり残した感が大きかった。それはファンの皆さんも同じはずなので、20周年のときに置いてきてしまったものも一緒に抱えながら、みんなと前進していけたらと思います。

w-inds.

w-inds.

公演情報

w-inds. FAN CLUB LIVE TOUR 2025 "Nostalgia:Echoes"

  • 2025年3月14日(金)愛知県 Zepp Nagoya
  • 2025年3月16日(日)福岡県 Zepp Fukuoka
  • 2025年3月20日(木・祝)神奈川県 KT Zepp Yokohama
  • 2025年4月5日(土)宮城県 SENDAI GIGS
  • 2025年4月13日(日)大阪府 Zepp Osaka Bayside
  • 2025年4月20日(日)東京都 Zepp Haneda(TOKYO)

w-inds. LIVE TOUR 2025 "Rewind to winderlust"

  • 2025年7月5日(土)埼玉県 戸田市文化会館 大ホール
  • 2025年7月6日(日)埼玉県 戸田市文化会館 大ホール
  • 2025年7月16日(水)東京都 NHKホール
  • 2025年7月21日(月・祝)千葉県 森のホール21 大ホール
  • 2025年8月11日(月・祝)大阪府 フェスティバルホール
  • 2025年8月17日(日)東京都 J:COMホール八王子
  • 2025年8月22日(金)福岡県 福岡国際会議場 メインホール
  • 2025年8月23日(土)福岡県 福岡国際会議場 メインホール
  • 2025年8月31日(日)宮城県 トークネットホール仙台
  • 2025年9月20日(土)愛知県 Niterra日本特殊陶業市民会館 フォレストホール

プロフィール

w-inds.(ウインズ)

2000年に結成された橘慶太と千葉涼平によるダンスボーカルユニット。同年11月に東京・代々木公園や渋谷でストリートパフォーマンスを始めて徐々に注目を集め、2001年3月にシングル「Forever Memories」でメジャーデビュー。同年12月には1stアルバム「w-inds.~1st message~」をリリースしたほか、「第43回日本レコード大賞」で最優秀新人賞に輝いた。デビュー15周年を経て、2017年からは橘によるセルフプロデュースを本格化。2020年12月にシングル「Beautiful Now」を発表し、現在の2人組ユニットとして再スタートを切った。複数の賞を受賞するなど、アジアを中心に海外でも人気を獲得している。2024年から2025年にかけて、初期曲だけを届けるライブツアー「Nostalgia」を開催。2025年3月に16thアルバム「winderlust」とライブ映像作品「w-inds. LIVE TOUR 2024 "Nostalgia"」を同時リリースした。