坂本美雨 with Wican Earmuffs for Entertainment|音楽を親子で一緒に、同じ目線で楽しめたら 「子ども向けエンタメ観賞用イヤーマフ」に触れながら考える“家族のエンタメ時間”

ママの声が聞こえる!

──先ほど音の大きなライブでなまこちゃんの耳にティッシュを詰めたとおっしゃっていましたが、やっぱり大きな音が子供の耳へ与える影響は気になりますか?

気になりますね。やっぱり鼓膜は、一度破れちゃうと修復しないから。私自身も思春期とか、スカッとしたくてイヤホンで爆音で音楽を聴いていたら、親に「元に戻らないんだから気を付けなさいよ」と言われてたんです。子供向けの防音イヤーマフも持ってはいるんですけど、締め付けがキツくて子供が長時間は着けたがらないので、最近はもうほとんど使わなくなっちゃって。

──私も音の大きなバンドをしていたのでライブ会場に連れていくときは子供に防音イヤーマフを着けさせていたんですけど、ほっぺの肉がギュッと寄せられてしまうくらい側圧が強かったりするんですよね。Wicanのイヤーマフはそのあたりを考慮して、長い時間着けても耳が痛くならないように設計されているそうです。

(試着して)確かにこれは軽い着け心地ですね。いいかも。私、密閉感がすごく苦手で、ノイズキャンセリングのヘッドホンとかも使えないんですよ。

──デザインもシンプルで、色使いも普段着になじみやすいかなと。

おしゃれだし、たためてコンパクトになるというのもいいですね。付属のサコッシュは、娘がすっかり気に入って、さっそくあっちに持って行って遊んでますね……(笑)。

なまこちゃん(左)と坂本美雨(右)。

──さっそくお人形を入れて使ってもらえてうれしいです(笑)。従来品は耳を守るという目的に特化して作られているものが多いので音がくぐもって聞こえがちなんですけど、Wicanのイヤーマフは「耳を守りながら音楽を楽しめるように」という主旨で作られているので、音楽が聴きやすく作られているんです。従来品が目隠しだとしたら、このイヤーマフはサングラスのようなイメージですね。

確かに、さっき娘が着けたときに「ママの声が聞こえる!」って言ってたから、「え、聞こえるんだ」って思いました。なるほど、だからこそ「家族で一緒に音楽を楽しむ」が実現できるんですね。最近は子連れOKなライブも増えてますよね。ライブハウスも、少し前まではタバコの煙がもくもくで……みたいなところばかりでしたけど、今は全然そうじゃないし。

──禁煙のハコも増えましたし、この10年くらいでだいぶ変わりましたよね。まさに私も、子供をライブに連れて行くときは罪悪感しかなかったというか、人の目がとにかく気になっていました。きっとそういう思いからライブやコンサートに行くことをあきらめている親御さんも多いでしょうし、このイヤーマフがそんな気持ちを軽くするきっかけになるといいなと。

「行きたいけどなかなかライブに行けない」という子育て中の人は、私の周りにもたくさんいますね。でも逆に、フリーダムな人もいて。同じマンションに激しめなバンドをしているカッコいいお母さんがいるんですけど、お子さんを赤ちゃんのときからライブ会場に連れて行ってて。子供たちも楽しそうですし、遅くなったら抱っこ紐でスヤスヤ寝てる。実際私も小さいときはそうだったし、「子供って大丈夫なんだな」とは思います(笑)。

大人が真剣に楽しんでいれば、子供に伝わる

──坂本さんのライブは音楽性的に爆音になることはないと思うんですが、子供連れOKのイベントもけっこうやられているんでしょうか?

はい。会場に制限がある場合は仕方ないですけど、子供がいる方にも気軽に音楽を楽しんでほしいので、自分で主催するものはほとんど赤ちゃんから入場OKにしています。授乳室やキッズルームを設けることもありますが、子供たちは全然騒がないというか、意外と静かにしてくれるんですよ。親御さんたちはみんな気を遣ってくださって、途中退場する方も稀にいるんですけど、仮にお子さんが泣いちゃってもMCでフォローしたり、できる限り楽しんでもらえるように意識するようにしています。

──坂本さんは子供と一緒にエンタメを楽しむという主旨の企画にも積極的に参加されている印象です。それはそういう場をどんどん増やしていこうという思いがあるのでしょうか?

そうですね。でも、そこにはまた別の思いもあって……。「子供と楽しい時間を」というのはもちろんなんですけど、それはそれでなんというのかな、そういうカルチャーとして固まっちゃうじゃないですか。

──ああ、わかります。子供向けに用意された世界観の域を出ない、というのか……。

そうそうそう! そうなるとやっぱりどこかほんわかしてしまうし、子供向けの内容にどうしても寄って行ってしまう。親御さんは、純粋に自分が楽しめるかと言ったらそうではなくて、6割くらいは子供のためを思ってそういう場に連れて行ってると思うんですよ。大人も全力で楽しめて、子供と一緒に足を運べる感覚のものって、すごく少ない。だから今はそういう機会をもっと増やせるようにやっていきたいなと思っていますね。

──子供向けに用意された世界じゃなくて、親も子供も楽しめるものを。

純粋に同じ目線で楽しめるものができたらいいですよね。子供目線にしなくても、子供って大人と同じ内容のものを十分楽しめると思うんです。そのほうが未来につながるよなって。野外フェスにお子さん連れの方が増えてるのは、みんなそういう場を求めているからなのかなと思っていて。単純に考えると子供を連れてアウトドアもライブ鑑賞もなんて、シミュレーションしただけでものすごく大変じゃないですか。

──荷物はかなりの量になるし、子供がしっかり自分の足で歩いてくれるかわからないし……(笑)。

突然「トイレ!」ってなったらどうしようとか、考えただけですごく大変(笑)。でもそれでも行く人が多いというのは、みんながそういう場を必要としてるからなんですよね、絶対。

Wicanのイヤーマフ

──そう思います。なまこちゃんも、大人向けのものでも楽しんでいることが多いですか?

そうですね。激しい音楽も好きだし、逆に緊張感があるライブにも行きます。3歳になるかならないかの頃に、母のライブを観に一緒に行ったんですけど、事前にすごく言い聞かせたんです。「静かにしてね!」とただ訴えるんじゃなくて、「矢野さんの年1回のライブのために、お客さんはみんな仕事を休んで楽しみにして来ているんだから、あなたが絶対にそれを邪魔しちゃいけないんだよ」って、ものを作る現場の大変さを交えて真剣に話したら、すごく神妙な面持ちで聞いてくれて。ライブが始まったら真剣に数曲観てくれて、そのあとスッと寝たんですよね(笑)。

──真剣に伝えれば、子供にもちゃんと伝わると。

そういう経験も含めてですけど、大人が真剣にやっていることや真剣に楽しんでいることは、子供にちゃんと伝わるんだと思います。あと、子供と楽しむという話になると「お母さんと子供」が定型としてイメージされがちだと思うんですけど、それだけじゃなくて、独身の方も、男性も、老若男女が混ざっている環境が普通になるといいなと。みんなで子供たちを見守ったり必要なときは注意したり、そんな環境が当たり前になったら、社会の底上げになるんじゃないかなという思いがずっとありますね。

──最後に、お子さんと一緒にエンタメを楽しみたいと思っているけれど足踏みしてしまっている親御さんたちに、何か応援のひと言をいただけますか。

繰り返しになっちゃいますけど、子供向けじゃなくても、自分たちがまず純粋に楽しいと思うものを、一緒に楽しもうとしていいんじゃないでしょうか。親が幸せでいることが、子供も一番幸せ。だから自分が好きなもの、楽しいと思えるものをもっとメインに考えていいんじゃないかな、と思います。

──子供に合わせてばかりではなくて、少し子供にも親に歩み寄ってもらうというか。

そう! たまには子供にも合わせてもらって。それで子供も十分楽しんでくれると思いますよ。

イベント情報

「SOUND&GROUND Wican in KARUIZAWA」

2020年11月29日(日)〜12月13日(日)
OPEN 10:00 / CLOSE 19:00(予定)
長野県 軽井沢・プリンスショッピングプラザ内
ツリーモール芝生のひろば(イベント) / ニューイースト(ポップアップショップ)

Wicanが「お出かけと音楽で、家族時間をより豊かにする」をテーマに長野・軽井沢・プリンスショッピングプラザ内で開催するポップアップイベント。期間中は施設内にイヤーマフの体験ゾーンが設置されるほか、ブランドのオリジナル製品が販売されたりワークショップやトークショーなどが開催される。

なまこちゃん(左)と坂本美雨(右)。