澤野弘之×ソニー完全ワイヤレスイヤホン WF-1000XM5|「もっと音楽を好きになれる、追求したくなる」

もっと音楽を好きになれる

──デザインについての印象も聞かせてください。

見た目がカッコいいですよね。僕は未来っぽい雰囲気のものが好きなんですよ。SF映画なんかを観てると、テクノロジーが進歩した未来のプロダクトはどんどんデザインがそぎ落とされてシンプルになっていて、それがカッコよかったりするじゃないですか。それに近いものを感じますね。

──素材感が違っているのに継ぎ目のないデザインとか、確かに未来っぽいですね。

そうですね、うん。シンプルでカッコいい。

「WF-1000XM5」

「WF-1000XM5」

「WF-1000XM5」を持つ澤野弘之。

「WF-1000XM5」を持つ澤野弘之。

──装着感などについてはどうですか?

違和感はなかったですね。圧迫感がなくて、いい意味で存在感が薄いというか。

──実際、前モデルの「WF-1000XM4」と比べてもかなり小型軽量化されていまして、それが売りの1つにもなっています。

これって、多少動いても落ちにくくなっていたりしますか?

──本製品は小型化したことで重心が内寄りになっていて、落ちにくくなっています。

なるほど。激しく動いても落ちないんだとしたらいいなあ。ダンスとかをしても落ちにくかったりします? それはさすがに激しすぎる?

──それは検証が必要ですね。

はははは。

──それら全部をひっくるめて、この「WF-1000XM5」はどんな方に薦められるイヤホンだと思いますか?

単純に、音楽好きな人に薦めたいですかね。

澤野弘之

──「こういう音楽を好きな人」じゃなくて、「音楽が好きな人」?

そうですね。そもそも音楽を好きじゃない人がこの世にいるのかという問題もありますが(笑)、意識的に音楽を楽しみたい人にはオススメできると思います。いい音質で聴くことによって「こんなふうに聞こえ方が変わるんだ」と思えたり、「ここ、本当はこんなに低音が出てたんだ」と気付けたりすることによって、もっと音楽を好きになれる、追求したい気持ちになれると思うので。

──より音楽を好きになれるイヤホンであると。

はい。いいオーディオ製品を買うことで、聴き慣れた曲でも全然違う聞こえ方をすることがわかると「じゃあ、ほかに持っているCDとかも全然変わるのかもしれないな」というふうに、昔聴いていた曲を振り返るきっかけにもなると思うんですよね。僕は以前そういうことが実際にあったんですよ。

──「持ってるCD、全部聴き直さなきゃ」ってなりますよね(笑)。

そうそう。それってやっぱり作る側からするとすごくうれしいことなので、そういう行動にもつながってくれるといいなあと思いますね。

澤野弘之
ストリーミングウォークマン「NW-A300 series」を操作する澤野弘之。
「WF-1000XM5」

澤野弘之にとってプロとは

──今回の特集テーマである「プロに選ばれたイヤホン」にちなんで、「澤野さんにとってプロとは?」というお話を伺えたらと思います。澤野さんがプロの作曲家として一番大事にしていることって、どういうことですか?

うーん……そんなにすごくプロフェッショナルというものを意識してやっているわけでもないんでアレなんですけども……音楽を作るうえで大事にしてるのは、「ブレないこと」なのかもしれないです。

──ああ、なるほど。

もちろん、そのときそのときで影響される音楽はいろいろ変わったりもするんですが、根本的に「ここは芯として絶対に大事にしないといけない」というものは、人から何を言われたとしてもブレないようにすることが重要なのかなと。それがあまりにもフラついてしまうと矛盾しているように見られますし……逆にこだわりすぎると、融通の利かない作家だと思われてしまう危険性もあるんですけど。

──澤野さんの場合は発注を受けて音楽を作ることも多いですし、表面上はめちゃくちゃいろんなタイプの音楽を作るわけですから、より芯の部分が重要になってくるんでしょうね。

そう言いつつ、自分がまったくブレていないかと言われるとちょっとわからないですけども……できるだけ芯の部分は変えないで今後も音楽を作っていきたいと思ってますね。

──以前、澤野さんがインタビューで「締切ギリギリまでああだこうだこねくり回すことは一切ない」「できたと思ったらそこでスパッと作業を終わりにする」とおっしゃっていたのがすごく印象的で。

ああ、はいはい。

──それはつまり芯が通っているから、迷いがないからできることですよね。

迷いがない……そうですね。確かに作家によっては「ああでもない、こうでもない」と延々やるタイプの人もいるのかもしれないですけど、僕は基本的にスパンスパン決めてどんどん進めていっちゃうタイプではあると思います。

澤野弘之

──そんな澤野さんが「この人は本物のプロだ」と感じた人を1人挙げるとしたら?

そうだなあ……CHAGE and ASKAのASKAさんですかね。

──ASKAさんとは「地球という名の都」でSawanoHiroyuki[nZk]:ASKAとしてコラボもされていますね。

単に昔から尊敬している方でもあるんですけども、やっぱり目の前でご一緒させていただいたことで、ASKAさんの音楽との向き合い方に感服しまして。さっき僕は「ブレないことが重要」という言い方をしましたけど、ASKAさんからは「柔軟性が大事」ということを学んだんですよ。あれだけキャリアも実績もある方なのに、「自分がやってきたことはこれだから、それ以外のことはやらない」なんていう態度をまったく取らない。「澤野くんのやり方、面白いから乗っかってみるよ」という感じで、必要に応じてスタイルを合わせていく柔軟性があるんです。

──それこそ確固たる芯があるからできることですよね。実際、ASKAさんはどんな音楽をやっても圧倒的にASKAさんですし。

そうですね、それは本当にあります。

──僕は澤野さんにもまったく同じことを感じるんですけど。

ホントですか?(笑)

──一見「同じ人が作ったとは思えない」というくらいバラバラな音楽性の曲を作られますけど、全部に「ああ、澤野弘之だなあ」と感じられるポイントがあるというか。

そう言っていただけるとすごくありがたいですけど……自分自身が影響を受けてきたアーティストにそういう方が多いんですよね。常に新しいことに挑戦しながら、ちゃんとその人の色が感じられるものを作り続けているアーティストにずっと憧れてきました。坂本龍一さんもそうだし、久石譲さん、小室哲哉さん、みんなそうですよね。もちろんASKAさんも。

──そうですね。すごくよくわかります。

僕ら劇伴作家って、けっこういろんなジャンルの音楽を求められるんですね。自分の専門分野ではないジャンルに挑戦するとき、そのジャンル一本でやってる人たちと対等に渡り合えるかといったら、経験が浅い分当然難しいわけです。でも、その浅さを補うのが自分のオリジナリティというか。そのジャンルの要素を取り入れつつ、自分のオリジナルとして納得させられる音にすることが必要だと思うんです。

──オリジナリティのない単なるモノマネになっちゃったら、逆にそのジャンルの人たちに失礼ですもんね。

そうなんです。それが、いろんなジャンルをやるうえで大事なことなのかなという気がしますね。

澤野弘之
「WF-1000XM5」

ソニー「WF-1000XM5」

世界最高のノイズキャンセリング(※1)を搭載した完全ワイヤレスイヤホン。LDACコーデックに対応しており、ハイレゾ音質(※2)も高音質に再生できるだけでなく、あらゆる圧縮音源がイヤホン側でハイレゾ級(※3)にアップスケーリングされる。ソニー史上最高クラスの通話品質(※4)を誇り、音や人の声が気になる環境下でも正確かつクリアに集音するため快適な通話が可能。装着性と機能性を兼ね備えつつ、極限まで小型化したボディも特徴で、マルチポイント接続にも対応しているので仕事の現場でもプライベートでも活躍できる。

※1 左右独立型ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン市場において。2023年4月10日時点。ソニー調べ。電子情報技術産業協会(JEITA)基準に則る。
※2 ハイレゾワイヤレス。ハイレゾコンテンツをLDACコーデックで最大転送速度990kbpsで伝送する場合。「Headphones Connect」アプリから操作が必要です。
※3 DSEE Extreme ON時にCDやMP3などの圧縮音源をSBC / AAC / LDACのコーデックでBluetooth再生する際、最大96kHz / 24bitまで拡張(再生機器の仕様によっては圧縮音源をLDACで伝送する場合でもDSEE Extremeが無効になる場合があります)。
※4 ソニー完全ワイヤレス史上最高通話品質。2023年7月25日時点。ソニー調べ。

プロフィール

澤野弘之(サワノヒロユキ)

作曲家。「医龍」シリーズやNHK連続テレビ小説「まれ」、「進撃の巨人」「機動戦士ガンダムUC」シリーズなど、ドラマ、アニメ、映画といった映像作品のサウンドトラックを中心に、楽曲提供や編曲など精力的に音楽活動を展開している。2014年春にはボーカル楽曲に重点を置いたプロジェクト、SawanoHiroyuki[nZk]を始動。2020年4月に作家活動15周年を記念したベスト盤「BEST OF VOCAL WORKS [nZk] 2」をリリース。2021年3月に岡崎体育、優里、アイナ・ジ・エンドなどをボーカリストに迎えたSawanoHiroyuki[nZk]の4thアルバム「iv」、6月にアニメ「86―エイティシックス―」のエンディングテーマ2曲を収録したシングル「Avid / Hands Up to the Sky」を発表した。12月にキャリア初のピアノソロアルバム「scene」をリリース。2022年にはたかはしほのか(リーガルリリー)参加の「LilaS」、JO1の河野純喜と與那城奨をゲストボーカルに迎えた「OUTSIDERS」を発表。2023年1月にASKA、suis(ヨルシカ)らをボーカリストとして迎えた5thアルバム「V」をリリースした。2月には東京・TACHIKAWA STAGE GARDENでライブ「SawanoHiroyuki[nZk] LIVE 2023」を開催した。