ナタリー PowerPush - WEAVER
前向きエネルギー全開! 幸せを呼ぶ「笑顔の合図」
幸せと涙はつながってるのかも
──3曲目「泣きたいくらい幸せになれるよ」は、ピアノの優しいメロディに心が温まるミディアムバラードで。
杉本 この曲は去年の11月くらいにできたんですが、ちょうどそのころ、改めて「音楽ってすごい自由なんだな」「ライブって自由なんだな」ってことを感じ始めたんです。昔はとにかく、俺のメッセージを受け取ってくれ!みたいな、手拍子もいらんし……くらいに思ってたんですけど(笑)、そうじゃなくて、ライブはやっぱりみんなで楽しみたいなって。
──なるほど。
杉本 それで、初めてライブでお客さんに一緒に歌ってもらうイメージで曲を作ったんです。サビを一緒に歌いたいという気持ちと、いろいろな夢や目標、幸せに向かっていく人が一歩ずつ前進していく感じをしっかり表現したいなって思いました。
河邉 この歌詞は、僕が親戚の結婚式に出たときのことだったり、過去に「幸せ」と言って泣いてる人を見た経験からイメージを膨らませて。「本当に幸せなとき人は泣くのかな」と思ったり、「幸せと涙はつながってるのかも」って思ったところから、このタイトルが自然と出てきました。「この一瞬が本当に幸せ」って聴いてる人に思ってもらえる曲にしたかったし、そういう瞬間をライブでたくさん作っていけたらって思いながら書きました。
奥野 サビの「泣きたいくらい幸せになれるよ」っていうフレーズは、本当にメロディとマッチしてますよね。これこそ、メロディが呼んでくれたフレーズなんだろうなっていうのを僕はすごく感じてます。演奏も、バンドっぽくというか、温かくて等身大な感じを出したかったので、壮大になり過ぎないアレンジを意識して。
──ちなみに、皆さんが「泣きたいくらいの幸せ」を感じたことは?
奥野 去年のメジャーデビュー1周年のライブです。お客さんがサプライズで「ハッピーバースデー」を歌ってくれて、あのときはつい涙腺が緩みました。
河邉 他人のことなのに、こんなにも自分のことみたいに喜んでくれるんだっていうのがうれしかったですね。
杉本 僕は神戸から上京する前に、ずっとライブをしてた地元のライブハウスで「東京へ行きます」と報告したとき。夢見てた場所でもっと多くの人に歌を届けられるんだっていう思いもあったし、そんな自分たちの背中を押してくれる人たちが目の前にいて。「がんばって」って言葉をたくさんかけてもらったときは感無量でしたね。
3人の思いをもっとひとつにしたい
──そして現在開催中のツアー「ジュビレーション ~太陽と月のパレード~」については、ここまで振り返っていかがですか?
杉本 アルバム「ジュビレーション」と今回のシングル「笑顔の合図」は、日常の大切さだったり、笑顔が人に幸せや勇気を与える力があるってことを歌ってて、それをライブで届けてるんですが、僕たち自身もお客さんの笑顔を見ることで、本当にそういう力があるんだなってことを再確認してる感じですね。
奥野 今回は以前行ったことがある場所も多いんですけど、お客さんのほうは初めてだっていう人がすごく多くて。最初はお客さんも慣れてなくて手が上がらなかったりするんですけど、終盤になるにつれてだんだん会場がひとつになっていって。その感覚を楽しませてもらってます。お客さんは知らない人たちの集まりなのに、音楽を通してひとつになれるのは、やっぱり音楽ってすごいな、ライブってすごいなって感じます。
杉本 僕たちの演奏に関しても、3人の思いがひとつになったときの音の出方が違ってて。うまく言葉では表現できないんですが、単純に音を鳴らしててそう感じる瞬間があったり、いいライブができてるときは目がパッと合うだけで「いい感じなんだな」とか感じるし。そういう場面が、今回は以前よりどんどん増えているので、バンドが成長してるのかなって思いますね。
河邉 例えば電車に乗り合わせた知らない人同士が目が合って笑顔になる……っていうのはあまりないですけど、ライブではそれが自然に起こってて。そこからハッピーな空間が生まれるっていうのが、ライブのすごさだなって改めて思います。だから、一瞬一瞬を逃さないよう一人ひとりのことをちゃんと見たいし、本当なら全員の顔を覚えて帰りたいくらい。音についても、今回は今まで以上に1音1音にこだわってて、もっといい音を出したいっていう思いがどんどん強くなってて。ドラムは会場ごとにシンバルやチューニングを変えるとか妥協なくやってるし、今回は細かい部分までいつもに増して本気で考えてツアーをしてますね。
杉本 あとWEAVERは3人で音を鳴らしてるバンドなんで、3人の思いをもっともっとひとつにしたいっていう気持ちが以前よりずっと強くなってますね。2012年も自分たちの音楽の中に新しい景色や夢をどんどん見つけていきたいし、それをお客さんに見せることで感動にもつながっていくと思うので、来年も今年以上に貪欲に進んでいきたいです。
CD収録曲
- 笑顔の合図
- 66番目の汽車に乗って
- 泣きたいくらい幸せになれるよ
- 笑顔の合図 杉本雄治独奏曲(Piano Instrumental Ver.)
- 笑顔の合図(Instrumental Ver.)
【初回プレス分特典】
「笑顔の合図」ピアノ独奏曲
杉本雄治手書き楽譜封入
WEAVER(うぃーばー)
杉本雄治(Vo, Piano)、奥野翔太(B)、河邉徹(Dr)の3人からなる神戸出身のスリーピースピアノバンド。2004年に高校の同級生同士で結成され、2007年に現在の編成となる。メンバーの卓越した演奏テクニックと、ピアノの音色が印象的なメロディアスな楽曲が魅力。2009年10月に配信限定シングル「白朝夢」でメジャーデビューを果たし、デビュー翌日にはflumpoolの日本武道館公演でフロントアクトを務める。2010年2月にメジャー1stミニアルバム「Tapestry」を、同年8月に亀田誠治をサウンドプロデューサーに迎え、au LISMO CMソング「僕らの永遠~何度生まれ変わっても手を繋ぎたいだけの愛だから~」などを収録したアルバム「新世界創造記」をリリースする。その後もコンスタントにリリースとライブを重ね、2011年8月に杉本のピアノ独奏を含むアルバム「ジュビレーション」を発表。同年12月にシングル「笑顔の合図」をリリース。